右近ちゃんの登場です。 ある殿方に言い寄られて困っていた右近ちゃんですが、「君を一生愛し続けると誓うよ」という言葉を信じ、付き合うことになりました。ところが幸せというものはそんなに長く続くものではありません。「そういえばあの方最近いらっしゃらないわね。。。」と、捨てられたことに感づいた右近ちゃんが詠んだ一句が次のものです。 「忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな」 素晴らしい。「忘れられてしまった私のことはどうだっていいのです。 ただ、『一生愛し続ける』と神にお誓いになったあなたの命が心配でならないのです。」といったような意味になるでしょうか。 「ああ、なんと心優しい女性なのでしょう」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし私には「あなたなど神の天罰にでも会い、さっさと死んでおしまいなさい」と聞こえます。 右近ちゃんは一体本当はどのような心境でこの歌を詠んだのでしょうか。 右近ちゃんを捨てた殿方は藤原敦忠でした。彼に何らかの天誅が下ったことを願わずにはいられません。 ところで彼も百人一首に一句残しています。 言うまでもなく、右近ちゃんとの恋の歌です。 「逢ひみての後の心にくらぶれば昔は物を思はざりけり」 「君と逢って帰った後の『また逢いたい』という苦しい思いからすれば、昔片想いしていたころの苦しさなど、なにもなかったのと同じです。」といった意味ですが、全くもって調子の良い殿方ですね。右近ちゃんかわいそう! |