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台湾



台湾的総統。

コトが起こったのはゴールデンウィークのモーニング娘。中野公演での出来事であった。集まった仲間(何仲間じゃ)11人ぐらいのうち、なんと10人が「今月末の台湾公演に行く」というのだ。私以外全員じゃないですか!
はっきり言って全く眼中になかった台湾公演だが、みんなが行って自分だけ行かないのは少し悔しい。しかし、いくら日本から近いといったって、簡単に行ける場所ではないはずだ。
何か他に行く理由でもあれば、とライブ中に飛び跳ねながら考えていたが、その時!ある人物の顔がピコーンと思い浮かんだ。いるじゃないですか~、山仲間・阪神仲間・モー娘。ドンジャラ仲間でお馴染みの台湾在住の某総統が!
週明け、早速総統にメールすると、社長さんは暇なのか、5分ぐらいで返信が来た。どうやらその週末は空いているようだ。
さて、台湾行きに向けて、いくつかのハードルを超えねばならぬ。①有休②航空券③台湾公演のチケット、である。
まずは休みを取らねば話にならない。いや、土日で行けないことはないが、アフリカの外人に「モッタイナイ」と言われそうである。
金曜日有休を取ろうと画策していたところ、隣の後輩が動物的カンで何かを察知したらしく「金曜日有休で~す!」と先手を打たれてしまった。ライブは土曜日の夜なので、金曜日の夜か土曜日朝の出発に限られる。早速HISに出向いて調査した結果、仕事が終わってから金曜日夜の便の2時間前に成田空港入りするのは困難なもよう。1時間前でもイケる可能性はあるが、窓口カウンターが閉まってしまう恐れがあるとのこと(少しぐらい待ってくれたっていいのに)なので、そこまで冒険は出来ない。というわけで、自動的に土曜日便に決定だが、翌日総統に問い合わせると「台北空港からライブ会場までは結構あるので、昼の便では間に合うかどうか微妙」とのこと。また、社長さんは暇なようでいろいろ調べてくれたらしく「ANAのインターネット予約が安くて良い便があるみたい」と教えてくれた。早速ANAの往復便をインターネット予約し、「月曜日有休で~す」と部員にメールを打ち、有休申請もし、①と②をダブルクリアした(調べるだけ調べてもらったHIS、スマソ)。
残る問題は③だ。というか、③がダメだったら行く意味半減である(というか、仲間がライブ観ている時に自分だけ会場にいないなんて、そんなのいや~ん)。
台湾公演のファンクラブチケットは既に募集を終了しており、後は現地で購入するしかない。「あの~」「何?」「モー娘。のチケット取って欲しいんですケド~」「なんと!」「席は空いていそうなんですけど、言葉がわからなくて取れないです」「え~っ、恥ずかしいなぁ」「そこをなんとか!贅沢は言いませんけど、B席の左寄り前寄りで隣はいないけどあまり寂しくなさそうな席キボンヌ」「どうせ暇だし、2枚取っちゃおうかな(笑)」というやりとりが10分ぐらいの間(メール)に成立し、どうやら③もクリアである。これで全て万全、るるぶ台湾も購入し、ココロはもう東シナ海といった週末であった。

我要去吧。

当日。5時の地下鉄に乗らないと飛行機に間に合わないため、4時起きで準備。5月末とはいえ、東京で南国風ないでたちは少し恥ずかしい。「我要去吧!(和訳:行くのだぴょ~ん!)」と叫び、成田を目指す。
ちょうど7時に成田空港着、手続きを済ませてしまうと2時間暇なのが飛行機の泣き所だ。るるぶ台湾を穴が開くほど読み漁り、搭乗。今回は最初から窓際席を指定しており、楽しみである。
誰かが「国際線はトイレに行きたくなった時困るから、通路席がよろしい」と言っていたが、英国までの12時間を一度も立たずに耐え忍んだことのある私には関係無い。飛行時間はおよそ3時間だが、ワインを飲んだり(国際線はお酒がタダで良いねぇ)、ラジオで落語を聞いたり(楽太郎にハマってしまい、行き帰りそればっかり聴いていた)している内に到着。日本と台湾には1時間の時差があるようで、成田を10時前ぐらいに出ても台北ではまだ12時過ぎであった。
到着ロビーを左手に行くと喫茶店がある。メニューを見てもわからないので「コーヒーのアメリカンください」と無難に注文してしまった自分が恥ずかしい。総統は朝からゴルフとのことだったが、5アンダーぐらいで回ってソッコー駆け付けてくださるとのことで、しばしの時間があった。待っているうちにトイレに行きたくなり、店の外にあるトイレへ。「また戻って座るのもナンだな~」ということで、折角座って待つつもりが結局立って待つことになったが、総統はすぐにやってきてくれた。「出会えなかったらどうしよう」と少し不安だったが、ひとまず安心である。
総統は某会社の総経理(社長)ということで、お抱え運転手がいる。飛行場から何もわからず移動しなくて済むので、とても快適だ。台湾は道も景色もキレイで、コテコテの中国な感じはしない(ちなみに台湾を中国だというと怒る人がいるので、注意が必要)。事前に調査した天気予報では曇り予報だったが、まあまあの天気である。
1時間ほど走って川を渡ると台北市内に突入、取り急ぎ行きつけらしい料理屋で昼食となった。この店(名前忘れた)は魯肉飯、鶏肉飯が超美味。普通の食堂といった感じだが、ヘタな高級店よりもこういった店の方が美味しいらしい。台湾の方々は並ぶのが嫌いなようだが、それ故に「それでも行列の出来る店は、確実に旨い」と評価できるようだ。

萌点珈琲。

総統が何かを買いに行っている間、運転手の方と話をした。彼は日本語がなかなか上手で、「勉強しておりますアルヨ」と言っていた。台湾では英語の他、日本語が一種のステータスのようである。名前をトンさんというらしく、聞いてみたら37歳で私と同じ独身貴族だった(私は最近資金繰りが苦しく、独身平民に格下げ)。
総統が買って来たのはタピオカ入りの紅茶、しかもビッグサイズ。そういえばコレ、昔モー娘。の飯田か誰かがロケで飲んでいたような?
総統邸は高級マンション。家賃は20万円、買うと1億円するそうである(いわゆる億ションで砂)。室内はやや狭い感じ、と思いきや!階段を登って2階も自分ちだった。階段を登ったロフト風な部屋が私の寝床。こんな部屋に住んでみたいねえ。
テレビではなぜか日本のプロ野球がやっており、異国情緒が漂っている。さっきのタピオカ入り紅茶をはふはふ言いながら完飲し、出かけることになった。
近くのバス停から10分ほどに石牌というMRT(地下鉄)駅があり、そこから台北駅で乗り換え、西門駅で下車。このあたりは東京で言えば原宿みたいなところで、若者の人だかり。その波を縫って我々青年2人が向かった先は、総統が「どう~しても来てみたかった」と言って聞かないメイドカフェであった。秋葉原でも行ったこと無いんですケド~。
フランスなどの外国でマンガやコスプレが流行っているが、台湾でも日本文化が流行っているようで、メイドカフェも立派な台湾文化になりつつある。店の名前も「MoePoint(萌点珈琲)」ということで、内装もしっかり萌え萌えだ。もちろんメイドの方々も大変萌え萌えで、2人で「ええのんかー!」と叫んでいた(アホ)。
隣の席に1人で来ていた台湾人がいきなり「この店いいでしょう~?」と日本語で話しかけてきた。彼も日本語練習中とのことで、かなりペラペラである。この店に週に1度は入り浸っているようで、「この店ではこのジュースが名物なので、是非注文してください」と親切に教えてくれたので、早速注文。すると、2リットルぐらいのドデカい物体がど~んと現れ、さっきタピオカ入り紅茶でお腹大洪水の私は気を失いそうになった。

早安少女組。

近くの電気屋でハロプロDVD(ハロプロトランプ付き)を格安で購入し、ホクホク気分でライブ会場に向かう。駅からのバスが渋滞してヒヤヒヤしたが、無事開演30分前に会場入り。総統は近くのショップでお茶を飲んでいるとのことだったが、もしかしたらチケット持ってないと言っていながらも実はこっそり会場入りするかもしれないと思い、そっとその場を離れた。
会場の南港展覧館に入ると、早くも仲間の1人が台湾限定グッズ売り場を漁っていた。たぶん、他の面々も会場のどこかにいるのだろう。
ホールはめちゃくちゃ広く、島国との違いを痛感する(台湾も島国か)。私の席は後ろの方なので舞台の人は米粒ぐらいにしか見えないが、実は現地優先席みたいなものがあって、現地で早めにチケットを取るとファンクラブ席よりも良席をゲットできるらしい。こんなことならもっと早く台湾行きを決断するのだった。
まわりは台湾人ばかりだが、1つ前の席には日本人の青年がおり、開始前から「本場の応援というものを現地人に見せ付けてやりましょう。がんばりまっしょい~!」と必要以上に気合を入れていた。
さて開演。曲目は日本国のライブと同じだが、MCで中国人のJJとLLが大活躍、何を言っているかわからないが、台湾人が「ウォー!」「イェー!」などと熱狂していた(押され気味)。それにしても素晴らしい応援だ。登場するメンバーに合わせてペンライトの色を変え、練習でもしたかのように統率が取れている。相当研究しているようで、かなり感動した。どうやら現地ではリーダー高橋愛が人気のようで、声援が大きいようだった。
日本人の我々も頑張り、最初は突っ立って見ているだけだった隣の人たちもそのうち声を出したりジャンプするようになった。台湾との文化交流に一役買ったと言えよう。

饒河街観光夜市。

外に出ると、総統が何食わぬ顔でベンチに座っていた。こっそり熱狂していたようには見えないが、アリバイも無い。
帰りは会場からバスが出ていたが、すごい行列でいつ乗れるやらわからない。そこでタクシー乗り場に並んだのだが、現地のタクシー誘導係が全くもってヘナチョコリンで、道を走っているタクシーは一杯いるのに、会場に全く入って来ない。将来、台湾でも多くのイベントが行われるだろうから、環境の整備が必要であろう。
1時間ほどでやっとタクシー乗車、台北で一番歴史が古いと言われる饒河街観光夜市へ。ちなみに台湾人はほとんどが外食で、遅い時間でもノコノコと夜市に出てきて遅くまで飲み食いして帰って行くらしく、各所に夜市が発達しているようである。
この夜市の入口にある胡椒餅屋が有名で、早速列に並ぶ。前述のとおり、行列が出来ている屋台にハズレは少ないもよう。胡椒餅、超美味!食の猛者、総統のチョイスであるから、これまたハズレの確率は極めて低い。
また、台湾の夜市ではカキ氷が有名。果物がゴロゴロのっかっている超巨大カキ氷も火照った身体を冷ましてくれる(ライブで火照っているわけではなく、元々アツイんです)。その他、ニラまんじゅうみたいなものなど小物をつまみ食いしまくり、どれもこれも美味で感動である。唯一、臭豆腐の匂いだけはどうしても馴染めず、豆腐屋の前では息を止めて歩いていた。味はウマイらしいのだが、どんなものか。帰りは台湾の国鉄?で松山駅から台北駅まで戻り、鉄道もいろいろ楽しんでの一日目終了となった。

御疲麗奈。

やっと2日目になった。台湾にはもちろん様々な観光スポットがあるので悩ましいが、取り急ぎ初めての台湾なので、観光の王道を突き進むことになった。まずは駅近くの吉野家台湾版(これは別に王道ではない)で朝食でも、と行ってみたら、なんと昼からの営業!たるんでますね、台湾の吉野家は。仕方なく近くの店でニラまんじゅうみたいなやつとか、なんという料理かわからないやつ(美味かったんだけど、記憶が~)を食べて一日の激務に備える。ちなみに、日本人は食べ終わったら次のお客さんのためにすぐ席を空けるが、台湾ではそのような文化がなく、近くにお客さんが立っていても気にせず座り続けるそうである。我々も食べる場所がなくて困っていたが、だいぶ立ったまま待つことになってしまった。
さてまずは、台湾新幹線!2007年に出来立てホヤホヤで、日本の新幹線がモデルになっていることはあまりに有名だ(鉄の間で有名なだけか?)。台北駅から板橋駅(台湾の駅名は日本っぽいものが多いねえ)までの切符を買い、早速乗車。その距離、東京と品川ぐらいで、地上に出る前に終わってしまった。降りるのが恥ずかしいが、同じような作戦だと思われる現地の家族連れもいたりして、心強い(もしかしたら近くでも新幹線使うぐらいの超金持ちかもしれんけど)。今度は終点までズバッと行ってみたいものである。
板橋駅からはJRとタクシーを乗り継いで、101へ。ご存知、アジアで何番目かに高い、101階建ての超高層ビルである。雨後のタケノコのようにそびえ立ち、市内のどこからでも臨むことが出来る(実は本当にタケノコがモデルだそうで、途中に8つの節があります)。最上階の展望室は360度、街や山や川などを見渡すことが出来る。この日は天気も良く、最高の眺めであった。日本語ガイドも貸し出しされており、「は~、あれが昨日の南港展覧館かー」などとわかる仕組みになっている。
展望室から1階に降り、タクシーに乗ろうとした時に事件が起こった。誰かが私に向かって「お疲れいな!」と叫んだのである。「お疲れいな」はモー娘。田中れいなの決めゼリフで、ライブの締めなどではもちろん、ファンの間でも「じゃ、今日はありがと。お疲れいなー。」などとフツーに使用されているが、なぜ私が田中れいな推しだとバレたのであろうか。声を掛けてきた青年のTシャツには「おつかれいな」と平仮名で書いてあった。きっと昨日のライブを観に、日本国から遠路はるばるやってきた田中推しだ。日本では小さくなってバレないように生きているアイドルヲタの方々も、海外では推しメンのTシャツ着て街を闊歩したい気持ち、よーくわかる。そして、私のTシャツも良く見たら、REINAとローマ字で大きく書いてあるのだった。

士林夜市。

お腹が空いたので、永康街で昼食にする。永康街は美味しい店が並ぶ食処で、これまた人で賑わっている。
まずは永康牛肉麺館で牛肉麺。店内は人が通る隙間も無いほど椅子とテーブルが並び、ある種のものすごいパワーを感じる。名物の牛肉麺は少しクセがあるものの、スープが真っ赤でも食べられないほど辛くはないし、美味。ただし、現地で食べるから美味しいのであって、日本に同じ店があったらどうかな~と思わないでもない。
汗だくで店を脱出し、すぐ近くにある小籠包の名店、鼎泰豊へ。こちらも有名店だけあって、ものすごい行列が出来ている。整理券を受け取って隣の本屋で中国語の本を読むこと30分、やっと出番がやってきた。私も小籠包のプロではないが、ここのはウマイ!猫舌の私でも大丈夫なように、温度の管理がきっちりなされている(私に合わせたわけではないでしょうけども)。
台湾といえば、パイナップルケーキである!総統によると、犁記餅店の品が一番ウマイとのことで、早速行ってみた。50年以上の老舗とのことだが、店は小奇麗で、建て直したのだろうか。他の店のものを食べていないので比較は出来ないが、噂に違わぬ味。気に入ったのでここでお土産を買った(ブツが届かなかった方、どうもすみません。半分以上自分で食べました)。
その後変なアヤシイDVDやフィギュアなどを売っているヲタク市場みたいなところをウロウロし、待ちに待った夜市へ向かう。今宵は士林夜市という、台北最大の夜市だ。ここの名物だという鶏肉のフライドチキンみたいなやつを購入、道に座って食べる。これまた美味。夜市は本当に美味ばかり。銀座にも作って欲しいものだ。
台湾ではゴミを道端にポイ捨てが普通らしく、とてもキレイとは言いがたい。日本人の私としては、どうしても捨てるのに抵抗があるのだが、翌日に誰かがちゃんと掃除したりしているのだろうか。また、夜市に出ている店舗は合法だが、道の真ん中などで荷車に商品を載せて売っているのは違法とのことで、警察が見回りに来ると皆「来たぞ!隠れろ!」と合図し合って逃げて行く。発展著しい台湾だが、やはり貧しい人たちも一杯いるのだろう。
この日もカキ氷やラーメン風のもの、まんじゅうなど、食べに食べて食べまくり。死ぬほど食べて1,000円いかないぐらいなので、経済的である。

謝謝你。

翌日、朝6時頃からやっている食堂で食べていると、トンさんが迎えにやってきた。台湾の旅もおしまいである。総統は朝から海外出張とのことで、2人揃って飛行場に向かう。2日間という短い旅だったが、内容が濃く、空港へのハイウェーもかなり昔のことのように思える。
食べ物はどれも美味しかった。中でも、まんじゅうとカキ氷は最高。総統がいるうちに次回台湾公演がまた開催されたら、また行ってしまいそうである。総統には暑い中いろいろなところへ連れて行っていただき、しかもタクシー代などほとんど出してもらっちゃって、感謝感激である。またお願いいたします(笑)。
それでは読者の皆さん、再見。お疲れいな~!