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四国



ラーメンの鬼、たけちんと四国2人旅!

「全国47都道府県の内、行ったことのない県が四国に3つもあるから行きてぇ」「車買ったからどっか行きてぇ」「徳島ラーメン食いてぇ」等の思いが一気に高ぶり、週末に四国へ行くことになった。えらい簡単に行くことが決まったが、伊賀転勤により少~し西日本に近づき、簡単に行けそうな錯覚に陥っていたためだろう。
一人旅でもよかったが、ラーメンがからむとあってはラ会メンバーを誘わないわけにはいかない。「今週末、四国行かない?」とたけちんにダメモトで問い合わせると、「いや~、珍しく今週末だけ空いておりますな~」と暇人にありがちな回答が返って来、急な旅であるにもかかわらずあっさりと一人釣ることに成功した。
おそらく暇であろうラ会顧問にも声を掛けたが「その日はちょっと忙しいのよね~」と、これまた暇人にありがちな見栄っ張りによって残念ながら門前払いとなった。
結局、筆者とたけちんの2人で行くことが決定。一泊二日の四国一周大旅行のスタートである。車は、たけちんの「ポルシェは疲れるもんで」の一言によりあっけなくセドリックと決まり、上野を出発。
今回の計画はこうだ。まずは和歌山でラーメンを食べ、フェリーで四国に渡って徳島ラーメンを食べ、高知で一泊、翌日は松山城などを見学しつつ尾道でラーメンを食べて帰ってくるという、まさに「香川県以外四国一周ツアー」である。香川県には一度出張で高松支社を訪れているため、筆者の心の中では香川県に対する情熱はもはや薄い。

まずは和歌山ラーメン!

さて、道中混雑することもなく、予定どおりの時刻に和歌山入り。残念ながら巷で有名な「井出商店」は開店前らしく、その代わりといってはなんだが井出系で知られる「丸三ラーメン」へ。
開店直後だというのにかなりの客で賑わい、我々は絶妙のタイミングで席に座れたものの、それを逃した後の客は既に列を作っていた。
ここのラーメンはさすがに井出系というだけあって、筆者が昔6時間かけて行った井出商店のそれとよく似ている。早くも「ハシゴ、行っとく?」という雰囲気が漂うも、万が一満腹で徳島ラーメンが食えないと困るという目先の利益にとらわれない冷静な判断により、次へと進む。
実は城好きの2人である。和歌山城を見逃すはずもあるまい。桜の頃にはちょっと早いが、なかなかのたたずまいである。しかし中に入ると、板張りの廊下ではなく「フロアー」という感じの床が続き、名古屋城のようにエレベーターはないながらも天守閣に両替機(どうやら望遠鏡の100円を捻出するためのようだ)が鎮座していたりして少々興ざめだ。
そうこうするうちに小腹も空いてきて「ハシゴ行けたのでは?」という後悔の念も生ずるが、そんなことをいちいちくよくよしていても始まらない。予定通り和歌山港から「南海フェリー」に乗りこみ、徳島港までの2時間を船内で過ごすことになった。内海だけあって船が大きく揺れることもなく、静かにゆっくりと進む。我々は大部屋で寝転んだり、上にあがって風に吹かれたりしてのんびり過ごし、うとうとしかけたところでもう徳島到着だ。たけちんは正真正銘の四国初体験らしく、「うひょ~」だか「むお~」だか、よくわからない感嘆の言葉を発している。

徳島ラーメン!

ついに四国上陸を果たし(車の中なので吟の原理によるとまだ本当の四国上陸は果たしていないが)、鼻歌交じりにラーメン屋へ。たけちんが事前に一日かけてインターネットで調べた徳島ラーメンマップをたよりに、最も旨そうな「いのたに本店」が標的となった。
たけちんはまだ四国上陸の興奮が冷めないのか、店に着くなり恥ずかしげもなく写真を撮りまくって道行く人の失笑を買っていたが、「旅の恥は掻き捨て」という明言を武器に突っ走る彼はもう誰にも止められない。
さてここのラーメンであるが、トンコツショーユがベースで、チャーシューの代わりに「肉」が載り、どちらかというとコッテリ系だ。徳島の人はラーメンをおかずにしてごはんを食べたり、とにかくラーメンを単品で食べることは少ないらしく、ラーメンドンブリは少々小さめだ。これがまた旨いのなんの。筆者の味覚にぴったりである。生玉子がコッテリ感をまろやかにし、まさに絶妙だ。来てよかった。
調子に乗った我々、ついにハシゴを決行。「専門亭」という、まさにラーメン専門という感じの店にたどり着いた。ところが、さきほどの店が旨過ぎたのか、あるいは腹一杯だからか、先程のような感動を得ることは出来なかった。

讃岐うどん捜索!

筆者の当初の予定ではこのまま高知へ向かって一泊という感じだったのだが、たけちんが「四国初めてだもんで、どうせだから香川県にも行って讃岐うどん食いたい」と言い出した。「えー?やむをえんなー」といいながらもうどんも好きな筆者、快く予定変更だ。
 海沿いの道を走りながら讃岐うどん屋を探したが、これがまた意外と見つからない。見つかるのは変な「日本最大の喫茶店」とかいううそくさい看板の喫茶店だったり、変な鍋焼きうどんの店だったり。ラーメンマップは用意していたもののうどんマップまでは準備しておらず、走りながら店構えで判断せねばならない。しかも、なぜか「うどん」と書いてある店は多々あるものの「讃岐うどん」と名言された店がなかなか無く、「ここまで来て讃岐以外のうどん食わされちゃかなわんからなー」と、慎重な2人である。慎重に慎重を重ねて入ったうどん屋が実は居酒屋だったりして、「すみません~」といって水だけ飲んで店を出たりする体たらくだ。
結局どこを走っても讃岐うどん屋を発見することが出来ず、「もしかしたら香川ではうどんといったら全て讃岐うどんなのかもしれないし」と自分を納得させてそこらのしがないうどん屋に入った。しかしこの店はイマイチであり、長く待たされた上にそれほど美味しくもなく、それでいて結局「讃岐」なのかどうかは最後まで謎であった。一応「讃岐うどん風うどん」を食べたということで2人合意し、満足なのか満足でないのかわからないまま酒を買って高知の宿泊所へ向かう。

高知県は四万十源流の家!

そういえば酒といえば昔飲み屋でどっかの娘が「酒と言ったら高知のタカイサミよ。これを飲まない内は死ねないよ~あんた」とからんできたのを思い出す。四国の酒屋でこの「タカイサミ」を発見することは出来なかった。幻の一品なのか、本当に幻だったのか…。
高松から高知まではえらい距離である。高松道から4つの高速道路が交差する凄まじいジャンクションを経由して高知道に入り、19本というえらい数のトンネルを抜けて高知県入りを果たす。
この日の宿泊所は「大野見村(おおのみそん)」という村で、高知市からも数時間行かないとたどり着きそうにない秘境である。高速を降りてからも狭い山道を地道に飛ばしつづけ、「こんなところ一人で走ったら怖くて死んじゃう~」というような真っ暗けっけの細道をも通り抜け、夜11時頃にようやく宿泊所「四万十源流の家」に到着、無事チェックインを果たした。真っ暗なのでよくわからないが、宿泊所のネーミングからしてもかなりの秘境だと思われた。我々の部屋は4畳半ぐらいの2人用コテージで、あまり細かいことを気にしないタチの人であればなかなか快適である。なにせ、宿泊料金は2人合わせて3,000円なのだから。明日の予定を考えながら飲みまくり、夜中の2時頃就寝した。
こういう場所では早朝の散歩が大変気持ち良い。朝の苦手なたけちんは昨日筆者に「朝になったらたのむから起こしてくれ」と懇願していたが、いざ朝になってみると叩こうが殴ろうが一向に起きず、やっと起きたと思ったら「やっぱりいい。寝る。」と言って布団にもぐってしまったため、仕方なく一人で四万十川源流の散歩に出かけた。予想通りそこは秘境中の秘境で、どうやらもう少し行くと本当に川の始発点があるらしい。川の水もさすが清流と言われるだけあって綺麗で、滝壷のようになっているところでも川底まで透き通って見える。8時を過ぎた頃なかば強引にたけちんを起こし、本日の作戦会議に突入。

希少体験!宇和島の闘牛!

当初の予定では松山あたりで散策して橋を渡って本州に入り、おとなしく帰途に着く計画であったが、ガイドブックの隅っこのある記事によって我々の運命はガラリと一変。どうやら、念に数回しか開催されない宇和島の闘牛が、偶然にもこの日開催日だったのである!宇和島の闘牛といっても桃鉄で宇和島駅の闘牛場を買い占めたというぐらいの貧弱な知識であるが、年に数回しかない開催日が我々を待っていてくれたかのような不思議な気持ちになり、満場一致で行くことが可決された。
たけちんの「佐田岬の先っちょまで行ってみたい」という野望も闘牛によって闇に葬られ、我々はわき目も振らずに宇和島闘牛場へ向かう。小高い丘の公園内に闘牛場は存在した。想像していたよりも大盛況で、市民全員がこの日を待ちわびているかのようである。
恥ずかしながら筆者、闘牛といえばスペインのように「牛対人間」だと思っていたのだが、実はここのは「牛対牛」という、まさに大相撲のような力と力のぶつかり合いなのであった。
ルールは至って簡単、ツノむき出しの頭同士をからめ合い、押し合いへし合いの末、相手の牛にしっぽを巻いて逃げ出させた方の牛の勝利である。対戦の仕組みも大相撲と同じで、新入幕を果たして間もないヘッポコな牛同士の試合から、徐々に上位の対戦へと進む。
最初の対戦ではツノを合わす前から片方の牛が逃げ出したりして「はい?」と思ったりしたが、さすがに前頭の対戦あたりから白熱するようになった。やはり圧巻は横綱戦だ。「日本で一番大きいらしい牛」という巨漢を比較的小柄な牛が自慢の得意技で一蹴するなど、かなり萌えた。
それにしても一番面白いのは、負けた牛が暴れて係の人間に体当たりしたりする場面であり、その場面で一番歓声が多いところをみると、観客もそれを楽しみに観に来ている人が多いものと察する。必ずといっていいほど負けた方が暴れる。人間も牛も同じである。なんにしても、次回はこの番付がどうなるのか、気になって仕方がない。機会があったらまた観に来てしまいそうである。

シメは尾道ラーメン!

さて、闘牛のせいで予定時刻を大幅に遅れて松山へ向かう。松山城は是非見学したかったのだが着く頃には既に辺りも薄暗くなっており、残念ながら断念、家路を急いだ。道中、昨日食べ逃した讃岐うどんを一口食べたいと店を探したがやはり「讃岐」と書かれた店には巡り会えず、またしても普通の店でうどんを食べてごまかした(昨日の店よりは旨かった)。今治から橋を渡り、因島を通って本州入り。夜9時に尾道到着を果たす。
ここで入った「味龍」という店がこれまたなかなかの美味で、今回の旅ではうどんに恵まれないながらもラーメンには恵まれてまあまあ幸せだったといえよう。尾道ラーメンの特徴は魚の背油が浮かんでいるところだが、油好きの筆者は言うまでもなく尾道ラーメン好きとなった。
さて、尾道からは只管高速走りまくりである。上野に着いたらもう1時半を回っていた。これから常滑まで帰るたけちんの安否が気遣われるが、そんなことを考える間もなく眠りにおちる筆者なのであった。
ハードながらもなかなか実のある良い旅だったと思うが、いくつか課題も残った。「讃岐うどん」「佐田岬」「松山城」などはもう一度行ってリベンジせねばなるまい。また、今回の計画には入っていなかったが「大歩危小歩危峡」「鳴門のうずしお」なども行ってみたいスポットである。
今回は土日を使った強行軍であったが、次回はもう少し余裕を持って、ゆっくりと観光したいところである。なお今回の旅とは関係ないが、昔出張で乗った「サンライズ瀬戸」という寝台特急もかなりイカす。朝ぼらけの瀬戸大橋は筆舌に尽くせないほど美しい。残念ながら深夜に通過のため名古屋駅には停車しないので、東京か横浜あたりから乗ることになろう。
しかしやっぱり筆者の夢は、ぽる吉君で四国一周なのでありました。それまで壊れないことを祈りつつ、筆を置くとしよう。
ではまた、日本のどこかで会いましょう。
おわり。