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沖縄



ご褒美。

昨年は以前勤めていた会社の社員旅行にこっそり付いて行った沖縄だが、今年は筆者に内緒で台湾へ行ってしまったようなので、今年は自力で沖縄へ行くこととなった。別に行かねばならないこともないのだが、誕生日を過ぎた3月上旬は、やはり自分にご褒美をあげたくなるのである。
去年は1月の沖縄に続いて2月にハワイとご褒美をあげすぎたため、今年は謙虚に2泊3日で軽く行ってくることになった。最近は飛行機の安売り競争が過熱気味で、今回の沖縄便も片道9.8kと超お値打ち価格でゲット、前日のお誕生日会風な単なる飲み会inだいせん翌日で意識朦朧とする中、セントレア飛行場へと向かうのであった。

到着。

飛行機は運良く窓側の席を取れたが、曇り空のためいまひとつな車窓。朝早かったのでウトウトしている内に飛行機は高度を下げ、沖縄那覇空港へ無事到着となった。
早速ゆいレールに乗り換え、県庁前駅で下車、駅前のりうぼうへと向かう。飛行機が到着した時は小雨だったが、いつの間にか太陽も出て、なかなか良い天気である。どうやら気温が21度ぐらいあるらしく、常滑からコートを着て出てきた民にはかなり暑い。
りうぼうの7階で色紙とサインペンを購入(何に使うんだい)、その足で徒歩数分のスカイレンタカー那覇営業所へ向かう。スカイレンタカーはこれまた超お値打ちで、元々安いのに、インターネット予約すると10%OFF、さらに誕生日月の人は5%OFFとのことで、えらい安上がりである。しかも「軽でお申し込みですが、軽がありませんので同料金で普通車にグレードアップします」というサービスもいつもどおりでラッキーだ。店のおねえさんはなんだかツンツンしていてお役所のような対応だったが、最後に「では、気を付けて行ってらっしゃいませ☆」と言って見せた笑顔が八重歯付きで、撃沈した(すぐ沈みます)。

辺戸岬。

今回の旅のお供は日産マーチ。とっても快適な車である(ベン子ちゃんに比べたらどの車も快適でしょうけども)。
天気も良いし、北の先っちょまでドライブすることにした。平日だからか道の混雑も無く、辺戸岬(へどみさき)に到着。
そういえばお昼がまだだったので、売店で何か食べることにした。店のおばちゃんが超ヤル気無さそうで閉口だが、注文した沖縄そばはなかなかの味でちょっと見直した。岬からの眺めは素晴らしく、何かの島が見えるが、鹿児島県の島だろうか。
しばらく休憩した後、今度は逆側の海岸線を那覇市に向けて走る。年度末だからか道路工事が多くてなかなか進まないが、元々車の数が少ないので渋滞にはならない。コザの十字路などではさすがに多少流れが悪かったが、18時頃に無事那覇市到着、宿の指定駐車場に停めてチェックインした。
今回の宿はいつものロコイン松山。どれだけ酔っ払っても帰巣本能で帰れるため、安心なホテルである。

雷雨。

普段ならばホテルで少し休憩してから出掛けるのだが、今回はそんな余裕が無い。実は天気予報が「夕方から雷を伴う激しい雨の恐れあり」とのことで、そろそろヤバそうな雰囲気なのである。いらない物だけ置いてすぐに外へ出たが、すかさず雨が落ちてきた。そして、100m歩った頃には雲取りバケツをひっくり返したような豪雨となり、やむなくコンビニで雨やどりとなった。準備の無かった女学生が滝に打たれてかわいそうな感じだが、筆者に助けるチカラは無く、出来ることと言ったらジロジロ見たりしないことぐらいである。道は既に川のようになっている。嫌な予感がして早く出たのに、10分遅かった。店に入ってしまえばこっちのものだったが、惜しい。雨やどりも限界で、タクシーでも拾うかというところでわずかに雨足が弱まり、その機を逃さず国際通りへダッシュ、大きな被害も無く無事居酒屋へと辿り着いた。

御用達。

今回訪れたのは、御用達の「琉球ダイニングあれんじ」。店の前の国際通りで雨の中店長がチラシ配りをやっており、顔を見た瞬間「おお~、来ましたか!」と言って店内まで迎え入れてくれた。飲み屋の基本とは言え、顔を覚えてくれているというのはとっても心地が良い。
カウンターに座って早速オリオンビールを発注。サーモンの刺身や麩チャンプルーでグビグビやっていると、カウンター越しの店員の女の子が話し掛けてきた。一人旅なので、話し相手がいなければ詰碁の本でも読みながら酒を飲むわけだが、話し掛けてきてくれるというのは大変な肴になる。名札にヤスコと書かれたその女性は「お客さんがここに座ると、ついつい話し掛けちゃうんですよねー」と、刺身を切りながらも口が止まらず、機を見計らって「お客さん、私なんだかノドが乾いてきちゃいました」などと酒をねだったりするしっかり者だ(結局ビール3杯もごちそうしちゃいました。キャバクラか)。
調子に乗って泡盛を飲みまくり、いつもどおりヘニョヘニョになり、店長に「明日も来ま~す」と言って店を出た。普通の居酒屋で10k使ったのは久しぶりである。
ヘニョヘニョだろうと、沖縄の夜は終わらない。さっきのヤスコ嬢に教えてもらった川沿いの「ポリポリ」という500円バーを訪問である。ここは明朗会計の上、イケメン店長とイケメン店員が気さくな感じで心地よい。隣に座ったお客さんとも仲良くなり、記憶が無いので何をしゃべったかは覚えていないが、大満足でホテルに帰り、いつの間にか就寝となった。

ゴルフ観戦。

土曜日。この日は6時に起床して出掛けるはずが、昨日飲み過ぎたせいで起きたら9時になっていた。えらいことである。取るものも取らずにホテルを出て車に乗り込み、この日のメインイベントである女子プロゴルフの「ダイキンオーキッド」観戦のため、琉球カントリークラブへと急いだ。明らかにほろ酔い運転なマーチはゴルフ場へなんとか到着、恒例となった横峯さくら帯同ツアーの開始である。
天気は降ったりやんだりでいまひとつだが、気温はこの日も高く、昨日暑かった反省を踏まえ、Tシャツ1枚で行動だ(ゴルフ場なのでTシャツだと怒られるかと思ったが、おとがめなしだった)。
出店で売っていたJEFのぬーやるバーガーを流し込み、コースへ出てみると、遅刻したせいで既に8番ホール近辺まで進んでいるようだった。この日はツアー2日目でまだ予選だが、横峯さくらと上田桃子という植物系な人気選手が同組とのことで、筆者の目算によると120人のヲタが付いて回っている様子。上田桃子(ももち?)には強力な親衛隊女子が付いており、バーディーを奪うたびに黄色い大声援が飛び交っていた。さくらも5m、10mと長いパットを立て続けに沈め、筆者もこっそりガッツポーズ。良い位置までスコアを伸ばし、最終日が楽しみである(しかし結果は残念ながら5位でした。新人の斎藤選手がツアー初出場で初優勝でした。すげえ)。

苦節10年。

この日の筆者には1つの野望があった。いや、いつもと同じ野望なのだが、横峯さくらのサインが欲しいのである。今までは「飛行機の時刻があるから~」と言って断られてきたが、この日は予選なので、まだ飛行機で帰らなくても良く、サインする時間があるかもしれないとの深いヨミにより、今年は2日目に来てみたのである。
サイン会場は特に決まっていないが、いつも立ち寄ってくれる場所に行ってみると、いるわいるわ、物欲しげな老若男女で溢れ返っていた。
その中に1人、多数のサインが収められているものと思われる立派なサイン帳を片手に「藤田さ~ん」「工藤さ~ん」などと手当たり次第にサインを求めている冴えないオッサンがいた。筆者はそれを見てピンと来た。この人の近くにいれば、横峯さくらをうまいことこちらに呼んでくれるのではないかと。
さくら選手の長いインタビューが終わってカートに乗り込もうとした瞬間、歴史は動いた。まさに筆者のヨミどおり、隣の冴えないオッサンが「さくらさ~ん、サインお願いします!」と叫び、さくら選手が応じたのである!横峯さくらが1m前に立っているのもすごいが、そんな感動に浸っている場合ではない。冴えないオッサン(神様と呼ばせていただきます)の隣に陣取ってベストポジションだというのに、右や左から手が出てきて、なかなか筆者の色紙(前日りうぼうで購入)を受け取ってもらえない。それでも、隣に立っていた係員に強引に色紙を渡し、横峯さくらはついに筆者の目の前でサインを書いてくれたのである!ツアー観戦を始めて苦節10年、こんな良き日が来るとは、素晴らしすぎる。サイン自体は酔っ払いが左手で書いたようなワケわかんないサインだが、そんなことはどうでも良いのである。

また御用達。

横峯さくらのサイン色紙を今すぐ持って帰って家宝として崇めたいところだが、武豊への帰還は翌日のため、仕方なく出店で沖縄そばを注文。至福の一杯である。
小躍りしながら車を運転(あまりの興奮に酔いも冷めました)、夕方前にマーチを返却し、ホテルで一旦休憩の後、再度国際通りへ歩を進めた。
昨日大雨で全く散策出来なかったので、この日は牧志方面まで歩ってみた。昔行ったチャクラや居酒屋波照間などは健在だが、藍カフェが無くなっており、少し残念。折り返して御用達の牛屋前を通り越し、昨日の場所あたりまで行くと、この日もあれんじの店長がビラ配りをしており、顔を見るや否や「あっ、本当に来た!」と言ってまた店内に迎え入れてくれた。旅で同じ店に再訪するのは珍しいが、迎え入れてくれるのだからまあ良かろう(昨日酔っ払って約束しちゃったし)。
この日は昨日のヤスコ嬢は友人の結婚式とのことで欠場、代わりに別の男性がツケ場で切り盛りしていた。その男性も気さくな人で「昨日は良く飲んでいましたね。10k払ったのですか。そんな人なかなかいないですよね~」などと話し掛けてくる。実は昨日500円バーで隣に座ったのはこの人だったようで、記憶が全くなくて「すみません~」の平謝りだ。いつの間にか名刺までもらっており、圭一郎さんであることがわかった。
圭一郎さんが「おススメはヒージャー(ヤギ)の刺身ですよ」と言っているので注文。ヤギなんて初めて食べるので緊張するが、クセの無いラム肉という感じでなかなかの美味。その他、ソーミンチャンプルーなどを食べたが、昨日の暴飲暴食でいまひとつ酒が入っていかず、この日は謙虚に6kぐらいで終了(どこが謙虚や)。店の泡盛を制覇出来なかったため、店長に今年中の再会を約束し、帰途についた。

再会。

まっすぐ帰途につくはずもなく、昨日のポリポリを再訪。ドレスで着飾った美人女性がカウンターで1人飲んでおり、店長が「隣どうぞ」とすすめてくれたため、ラッキーなことに美女とサシで飲むことになった。テレビなどで良く見る光景だが、こんなことが現実にあろうとは!女の子は「昨日はありがとうございました」と言っている。はて、昨日もこの店にいたのだろうか?いや、こんな美女なら酔っ払っていても覚えているはずだが、などと考えていたが、店長が女性に向かって「ヤスコ、お前ちょっと飲みすぎじゃね?」と言ったため、やっとわかった。あれんじでツケ場に立っていた、ヤスコ嬢だったのである。メガネを取って髪を上げて着飾っているので、全くわからなかったのだ。ヤスコ嬢は1月に30歳になったばかりの独身、彼氏無しとのことで勝手に盛り上がってきたが、これからまだ友人と飲まないかんとのことで、颯爽と姿を消してしまった。残念無念知念里奈。

現実世界へ。

起きたら8時半になっていた。7時にウェイクアップコールを掛けたはずなのに、どうしたことか。飛行機は10時半である。急いで身支度を整え(特に何も無いが)、予約してあったホテルの朝食バイキングでチャンプルー的なものを食べまくり、ゆいレールで那覇空港入り。あまり時間が無かったが、売店でお土産を買い、スカイマーク便に乗り込んだ。
それにしても、あっという間の2泊3日だった。いつものやんばる食堂や牛屋には行けなかったが、内容の濃い旅となった。そういえば沖縄には夏訪れたことがほとんど無いので、今度は学生の夏休みが始まる前か後ぐらいに行ってみたいものである。
飛行機はセントレア空港に着陸。デッキを渡る途中、うっかりTシャツ1枚なことに気付き、現実に戻ったのであった。
おわり。