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西日本一周



残念な広島!

3月の東北大地震の翌日、地震とは全く関係無く椎間板ヘルニアを発症して人知れず被災したわたくし、毎年恒例の夏休み登山を引退し、空いた日にちを利用して青春18切符の普通旅に出ることとなった。夏休みは5日間。今回は旅チャンネルなどで人気沸騰中のローカル線「肥薩線」に乗るべく西へ西へと歩を進める計画を立て、今か今かとその日を待ち、最終日待ちきれずにフレックスを取って帰り、ついにお盆がやってきた。ちなみに肥薩線とは熊本・宮崎・鹿児島を股にかけて運行し、何かと見所満載な萌え路線なのである。
前日の秘書飲み会が残念ながら何事も事件無く終了し、翌日早朝から元気に起床。武豊線から東海道線・山陽本線とひたすら西国を目指す。岡山では以前に入店して感動した天神そばというラーメン屋を訪れたが、残念ながらお盆休み。仕方無くお昼抜きで再び西へ向かい、相生から赤穂線で少し遠回りして広島入りを果たした。
広島在住の囲碁ガールを誘ったのだが簡単に撃沈し、一人寂しくお好み焼き屋へ向かう。まずは流川通りの八昌へ。有名店の割には客は10人程度でカウンター席が全て空いており、拍子抜けである。そば玉チーズ入りを発注、味は確かなのだが、店員の態度がいまひとつで、客が観ているテレビ番組を変えてしまったり、終始おしゃべりに没頭していたり。後で調べたところによると、100メートル先に本店があり、そちらは2時間待ちぐらいの行列が出来るそう。そこまで待つのは大変だが、一度ぐらいはチャレンジしてみたいところである(味も違うのかしら)。
今宵の宿にチェックインし、以前行ったJijiという居酒屋に入店。ここは同い年のマスターが1人で始めた店で、前回訪問時にはお客さんもいなくて2人で語り合ったものだが、それから半年も経っていないというのにどうやら覚えてくれていないらしく、「久しぶりに来たよ~」と言っても生返事しか返って来なかった。名物のタコのやわらか煮をいただいて店を出たが、なんとも残念な気分である。やはり自分にはお好み焼き屋のハシゴが合っているのかもしれぬ(淋しいねえ)。

熊本でニセあやや聖誕祭!

2日目も相変わらず山陽本線で西を目指す。この日、下関では海峡花火大会のようで、浴衣姿のお嬢さんの姿が目立つ。海峡花火大会は何年か前に偶然下関で見る機会があったが、縁があるようなので、またいつか来てみたいものだ。下関では昔行って不味かった満潮というラーメン屋に再チャレンジ(あんなにマズいはずはない!)したかったのだが、どうやら下関駅前からは撤退してしまい、存在しないもよう(新下関駅の近くにはあるらしいです)。仕方無いので、駅ビルのカレー屋で昼食にしたが、このカレー屋がなかなかのもので、ビーフカレーとチキンカレーがワンプレートになっており、390円。トンカツやハンバーグを付けてもワンコインとちょっとでイケる。味も良いし、駅という立地柄、出てくるのも早い。店員のサービスも良く、また行きたくなる店だ。あんくるカレーという店で、朝からやっているそうなので便利である。
下関からは関門トンネルを潜り、ついに九州入り。小倉からは快速列車が出ており、快適である。博多には翌日宿泊予定なのでこの日はスルー、鹿児島本線を南下し、熊本駅に到着した。なんとこの日、鉄仲間(?)であややトラベル社長(?)のニセあややが偶然熊本入りしているとの情報があり、花畑町の繁華街で合流。電停花畑町駅近くの「むつ五郎」という馬刺し屋に入店、カウンターで一杯やることになった。この日はこれまた奇遇なことにニセあややの%$歳の誕生日だそうで、いきなり馬肉ステーキなどの大物を発注、豪勢な聖誕祭となった(えらいこっちゃ)。ステーキの他、馬刺し、タテガミなどどれも美味、名物の米焼酎もだいぶ入って気分良くなり、へにょへにょになって店を出た。1人だと食べるものが数種類に限定されるのだが、2人いると幅が大きく広がる。ありがたいことである。
ニセあややは夜行バスで帰るとのことで、1次会で終了。2次会は再びお一人様に戻り、小腹が空いたので近くの「こだいこラーメン」に入店した。この店は、昔熊本でigo君の家にお邪魔した際に「こだいこラーメンが旨いっす」と言っていたのをいまだに覚えており、行きたかった店のひとつである。生にんにく風味ラーメンというものを注文してみたが、これがありえないほど美味。県内で唯一の生にんにく使用とのことだが、「風味」が付いているのはどうしてか。しかしそんなことはどうでも良く、麺もスープも強烈なインパクト。大満足な火の国の夜となった。

夢にまで見た肥薩線!

3日目も早朝から動き出す。熊本駅からさらに南下し、新八代駅から九州新幹線に乗ることにした。青春18切符の最中に他の乗り物に乗ることは大変珍しいが、初物に弱いので仕方が無い。新八代から川内までの3駅はトンネルばかりで眺望は望めないが、初九州新幹線を堪能出来た。
川内駅からは、肥薩おれんじ鉄道からやってきた列車「オーシャンライナーさつま」という快速列車に乗って再び鹿児島本線で南下する。肥薩おれんじ鉄道ではガイドの女性が見所案内をしてくれるのか、川内駅でオレンジ色のスカートを穿いた女性が降り、乗客に手を振っていた。これは見逃せない。今度是非乗ってみようと思う。
鹿児島中央駅で日豊本線に乗り換え。鹿児島でもラーメンなどを食べたいところだが、今回は時間が無く、涙を飲んでガマンである。今度肥薩おれんじ鉄道とセットで考えたいところだ。右手に桜島を望みながら日豊本線を走り隼人駅で乗り換え、ついにこの旅のメインイベント、肥薩線の登場である。
肥薩線は単線非電化の素晴らしい環境。山に向けてノコノコと進む。表木山などの秘境駅を通り、吉松駅で観光列車「しんぺい号」に乗り換え、そこからが本番スタートだ。しんぺい号はテーブル付きのボックス席がメインで、車内には運転席から見た風景がモニターに映され、売り子の女性がお土産品などを売っており、通常の列車とは全く異なった雰囲気。見所が近づいてくると列車の速度を落としたり、マイクで風景の説明をしてくれたり、ワンマンカーなので全て運転手がやっていて大忙しである。
吉松駅からはいきなり険しい登りが続く。昔、機関車で登り勾配を登り切れずにトンネル内で立ち往生し、排煙から逃れようとしてトンネル内を歩いて脱出を図った乗客を逆行した列車が次々と轢いてしまったという忌まわしい事故があったようで、それも車内アナウンスで紹介されていた。
最初の停車駅は真幸(まさき)駅。辺りに人家や車道は全く無く、日本有数の秘境駅だ。「真の幸せ」という駅名ゆえ訪れる人も多いようで、無人駅なのに物売りのおばちゃんが何十人もワーと手を振っている。駅のホームには幸せの鐘が設置されており、幸せな人は3回鳴らすというルールらしく、誰かがガンガンと鳴らしまくっていた。記念入場券なども販売しているようだったが、急に大雨が降ってきたこともあり、次回への楽しみに取っておいた。
真幸駅は急勾配の途中にあり、スイッチバック駅となっている。一度駅に入り、引き込み線を少し戻り、勢いを付けて山を登って行くのである。最近は列車の性能が向上してどんな山でも登っていくため、このようなスイッチバック駅は珍しい。ワンマンカーなので運転手がスイッチバックのたびに車両の反対側まで歩って逆方向へ進むため、しんぺい号は3両編成なのでかなり大変だ。真幸駅を発車した列車はスイッチバックで真幸駅の少し上を再度通過し、余韻に浸りながら山登りを再開。程なくすると、列車がしばらく停車した。日本三大車窓の1つがここ、いわゆる矢岳越えと言われる場所だ。あいにくの天気だが、遠くに見える霧島連峰と手前に広がる平野がまさに絶景。天気が良ければ桜島なども見えるそうである。
次の停車場矢岳駅もかなりの秘境。SLのデゴイチが展示されているようである。矢岳駅を出発、峠の最高地点で列車がまた停車。その地点から、遥か下の方に人吉方面へのレールが見えている。かなりの急勾配だ。この急勾配を直接登り下りは無理なため、線路はループ状に一回転しており、これがまた珍しいため、観光客の萌えスポットとなっているのである。列車は右回りに円を描いて山を下り、一回転して大畑(おこば)駅に到着。実は大畑駅もスイッチバック式になっており、ループとスイッチバック併設は唯一ここだけとあって、鉄ヲタの間では超有名スポットとなっている。もちろんここも民家など全くなく、素晴らしい秘境駅。大畑駅からはさきほどのループの真下をトンネルでくぐり、人吉駅でしんぺい号とお別れとなった。それにしても、吉松駅からわずか4駅の間にこれだけの素晴らしいイベントが盛りだくさんとは、肥薩線恐るべしである。九州新幹線開業で廃線の噂もあるが、なんとか存続して欲しい路線だ。
人吉駅では1時間待ち。駅前でラーメンでも食べようと思って散策したが、ラーメン屋が無かったので諦め、昼食抜きで駅へ戻る。人吉からは「SL人吉号」が出ているのだが、時間的に少し厳しいため、今回は普通の列車で八代駅を目指す。
吉松-人吉間が山線と呼ばれているのに対し、人吉からは球磨川沿いを進む川線。雨の割に水が綺麗で、素晴らしい景観である。
終点の八代に到着、念願の肥薩線の旅が終了となった。今度は良い天気の時にまた訪れてみたいところだ。八代から熊本に戻り、駅構内のラーメン屋で遅い昼食。しかし、前日のこだいこラーメンによって期待が高まりすぎ、特に感動も無く完食(店の名前も思い出せない)。熊本からは前日の逆の路線を辿って博多入りとなった。

便利、中洲屋台横丁!

博多はGWのライブ以来、3ヶ月ぶり。なかなかの良いペースである。まずは長浜屋台に行ってみたが、目当ての屋台「ナンバーワン」が混んでいたのでやめて、前回訪れて500円の割引券をもらっていた中州の「中洲屋台横丁」という店に入った。ここは、ラーメン屋・魚屋・焼き鳥屋・もつ鍋屋などが建物内に揃っており、席を移動しなくても何でも注文出来るというくいしんぼうには便利で嬉しい仕組みなのだ。店員の女の子が八重歯ガールでカワイらしいため、餃子・焼き鳥・明太子・もつ焼きラーメンなどを小出しに発注。酒も博多の森という辛口なものをチビチビやり、ご当地グルメに囲まれて幸せであった(注文しているメニューが観光客丸出しですな)。

山陰本線で鳥取へ!

4日目は一転して山陰を目指すことに。小倉から九州とお別れ、下関から山陽本線で新山口まで出て、そこから山口線という単線ディーゼルで日本海側を目指す。昨日の肥薩線ほどの秘境度は無いが、山間を登り、津和野などの町並みを走りぬけ、なかなかの雰囲気。
終着の益田駅には何も無かったが、駅前に餃子の王将があったので、餃子定食で腹を満たして山陰本線へ。益田駅から快速列車が出ており、かなり便利である。この日は天気が良く、日本海の眺めは最高。山陰本線は基本的に単線区間が多いので、特急列車や対向列車の待ち時間が多い。それでも夕方にはやっと鳥取駅に到着、早速居酒屋探しに出掛けた。
鳥取でもこの夜は花火大会があるようで、浴衣美人がうじゃうじゃ。急遽会場に行くかどうか迷ったが、どちらかと言うと飲みに行きたい気分だったため、居酒屋優先である。しかし、その内花火が始まったようで、市内にいてもかなりの大輪と大きな音を楽しむことが出来、結構な人が家から出てきて道端で花火を楽しんでいた。
鳥取の夜は初めてだったので、今回は謙虚に駅前の「山陰海鮮炉端かば」に入店。東京などにもあるチェーン店のようだが、まあ次回来た時に他店をいろいろチェックしてみよう。広島や九州や餃子の王将でこってり系なものを食べまくったので、この日は海鮮モノを中心に楽しんだ。飲み終わって外に出ると大雨になっており、花火帰りの浴衣美人が「うわー」と言いながら走っていた(花火大会は最後までいったのだろうか)。

帰りもローカル線!

最終日はひたすら武豊を目指すのみだが、鳥取から出ているローカル線は見逃さない。因美線で津山駅まで出て、そこから津山線で岡山入り。因美線も山中をゆっくり走るディーゼルカーで、知和駅などの秘境駅を楽しめる。上手にやれば乗り換えの接続も良く、この日も快適であった。
岡山で麺王という徳島ラーメン屋で昼食。黒系で美味、お客さんも良く入っている。岡山からは赤穂線・山陽本線・東海道本線で大阪駅に出て、そこからは大和路快速で加茂駅、そして関西本線で伊賀上野を経由して亀山、名古屋へと戻って来た。
今回の旅もやや強引ではあったが、憧れの九州新幹線・肥薩線・因美線などに乗ることが出来、大満足である。食べ物ではやはり熊本が秀逸。ニセあややの登場により、普段よりもいろいろな種類のものを食べることが出来、ありがたい限りであった(高くつきました)。こだいこラーメンの味も忘れられない。肥薩おれんじ鉄道などの課題も残ったので、近い内にまた訪れたいものである。いやー、仕事しとる暇、無いですな。
おわり。