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みちのく



独身平民の悩み。

なんせ、お金が無いのである。不景気でボーナスは減るし、家のローンは厳しいし、銀座は高いし、仕事が暇で残業代も無いし、困ったものだ。今回の年末年始は9連休だが、その予定に苦悩していた。昔独身貴族だった頃は考えるまでもなく「8泊9日北海道湯めぐりツアー」を組んだことであろうが、旅費・宿泊代・ラーメン代などを合計するとどれだけ節約しても10万円ぐらい掛かってしまうため、独身平民に格下げとなった私にはやや荷が重い。しかし、9連休などそうそうあるものではないし、くよくよくよくよ。。。と考えていたら、ニュースで「年末は北国が暴風雪で、既に飛行機や寝台特急などが不通になっております」とやっているではないですか。「ケン~、北海道に行ってはいかん~」と神様の声が聞こえるようであった(トムとジェリーの「トム~、ウソはいかん~」という神様の声参照。知らんか)。
これで決心がついた。暴風雪は休みの初日がひどいようなので、「1日遅らせて出発し、みちのくを安近短で回って帰って来る」という代替案で妥結。これならお金も当初の半分ぐらいで済み、他のことで贅沢出来そうである(それがいかんっちゅうに)。

白河ラーメン紀行。

12/27から冬休みスタートだが、計画どおりこの日は自宅待機で、寝たり洗濯したりDVD観たりネット碁打ったり寝たりして過ごす。なかなか休日をぐうたら過ごすことも無いので、たまには良いものだ。
さて、翌日から旅のスタート。6時起きで青春18切符片手に有楽町駅へ向かう。京浜東北線で上野に出て、東北本線を宇都宮、黒磯と乗り継ぎ、向かうは白河駅だ。出発を1日遅らせたのにこの日も寒波が日本列島を覆っているらしく、白河駅近辺は雪まるけ。時間があるので歩って散策しようと思っていたが、どうやら断念した方が良さそうだ。
白河といえば、今流行りの白河ラーメンを食べぬわけにいくまい(というか、それ目当てで途中下車しているのですが)。白河駅からバスに乗って南湖公園を目指す。途中、新白河駅に寄った。新白河駅、さっきJRで通って来た駅である。ここでバスに乗ればバス代が少し得であった。焼肉で1万円使うのは何とも無いが、こういう数十円はなんとも勿体無い。ただし、経験しないとわからないことではあるので、勉強代ということで今回はガマンしよう。
車窓から街中を眺めていると、ラーメン屋の多いこと多いこと。人口の比率からすると、日本でも有数のラーメン処ではないだろうか。
さて南湖公園前バス停で下車(230円)、向かうは徒歩数分の「火風鼎」。ネットで評判のようだったので、事前にチェキっておいたのだ。行列を覚悟したが、運良く待ち時間0分で入店、チャーシューメンを注文した。店の看板に「究極のチャーシュー」と書かれては、チャーシューメンを注文しないわけにいくまい。ただし、メニューには「幻の塩ラーメン」というものもあり、それも捨てがたく、悩ましい。今度来た時には幻の塩をいただくとしよう。究極のチャーシューは脂身の少ないタイプで、燻製の香ばしさが食欲をそそる。個人的には脂身の多いチャーシューが好きなのだが、これはこれでイケる。麺もさすが手打ちでしっかりしており、美味。店員の女の子がこれまたえらいカワイ子ちゃんで、しかも福島訛りのズーズー弁が立派な萌えアイテムだ。究極の店員さんである(注文したいぞ)。帰る頃には20人ぐらいの行列が出来ており、寒い中待たなくて済んでラッキーであった。

もう1軒。

バスまで時間があったら南湖公園を散策しようと思ったが、バス停に戻って時刻表を見ていたらちょうどバスが来てしまったので、仕方なく乗車。さっきのラーメン屋にはまた来るであろうから、南湖公園はその時までのお楽しみにしておこう。
先ほどの教訓を生かし、新白河駅で下車(160円。行きは70円分も勉強してしまった)。残念ながら電車が行ったばかりで1時間ぐらいあるので、やむを得ず駅前のラーメン屋でも行くことにした。店が3つほどあって迷うが、しばらく観察しているとあるラーメン屋の客の入りが多いようなので、その店「かづ枝」に決定。店名は店員の誰かの名前だろうか。店員のおばちゃんがたくさんいるため、どの人がかづ枝さんなのかわからないが、どうでも良いので尋ねたりはしない。この店では「からしタンメン」という変り種メニューが名物のようで、回りを見ると確かに、客の半分以上がタンメン系を食べているようだ。しかし今日は初回なので、普通のラーメンを注文。麺はここも手打ちで、かなりのモチモチ感だ。こういう麺、結構好きかも。。。タンメンと合うのかどうかは謎だ。機会があったらもう一度来てみよう。

またラーメン?

新白河からはまた東北本線で郡山、福島と乗り継ぎ、今宵の宿である仙台に夕方到着。夜まで少し時間があるので、ラーメンでも食べることにした(我ながら、良く食べますなあ)。
昔旅チャンネルでやっていた番組に出てきた店が東口にあるのを覚えていたので、その店「くろく」に突入。微妙な時間だったこともあり、客は私一人。この店のメニューは大きく分けて「黒」と「白」。黒が濃い口醤油のストレート麺、白が少しあっさり目な縮れ麺とのことで、券売機の前で数分悩み、今回は「黒くろく」を注文。白河で2杯食べているため普通のラーメンにする予定が、うっかり「黒ラーメン」ではなく、全部のせの黒くろくボタンを押してしまったが、神様が「ケン~、普通のラーメンはいかん~(前述同様)」と言っているのだと思い、そのまま運命に従った。この店はラーメンの味も良かったが、店員の姿勢が買える。ドンブリを麺ゆで機?の上で温めてアツアツで出てくるし、麺の湯切りも丁寧、何より、食べ終わって店外に出ようとすると、店員が外まで出てきて頭を下げてくれる。どこかの料亭みたいでものすごく気分が良い。ちなみに店長はかなりのイケメンである。ラーメンイケメン僕ツケメン。

やっぱり牛タンでしょ。

今日のホテルは国分町近くのパールシティ仙台。昔一度泊まったことがあり、迷わずにチェックイン出来た。ここはそれほど新しくもないし設備も普通だが、安いのでチープ旅にはよろしい。朝食バイキング付きで4.5kだ。
腹が減らないので(当たり前か)少しテレビを観て、夜に行動開始。仙台といえば牛タンである。お気に入りのべこ政宗という店を目指す。ここはサービスもセンスも良く、昔アンケートに答えたら牛タンを自宅に送って来てくれたので、大好きなのだ。店の階段の前で1組のカップルが入店するかどうかで迷っている様子。優しい私は「ここは味も良いし、店員もサービス良くて気持ち良いですよ」と教えてあげたら、意を決したようで入店していった。カップルの後について私も入店すると、店員が「すみません、今席が埋まってしまいまして~」。おい、今のカップルが最後の2席に座っとるがな。
情けは人の為ならず。そのうち私にも良いことがあるでしょう。というわけで、べこ政宗は諦め、利久に入店。利久はもちろん有名店だし味も確かなのだが、それ以上の何かがあるわけでもなく、ちょっと飽きてきた感がある。少しグレードの高い牛タンを注文したが、美味しいけど、うーんという感じ。それとも舌が肥えてしまったのかしら。

湯けむりライン。

2日目。朝食バイキングは米がササニシキで美味。鮭やカレー風味な肉じゃが等、料理も美味しくて良かった。それにしても、バイキングを食べると歳を感じる(泣)。
今日は秋田を目指して進むため、まずは小牛田行き列車を待つ(小牛田の読み方をご存知の方はなかなかのツウですよ。ちなみに「コゴタ」と読みます)。この日は風が強いようで、列車にも遅れが出ているようだった。朝イチの列車がちょうどやってきて予定よりも早く乗車出来たが、途中ノロノロ運転で、結局小牛田到着は予定よりも遅くなった。小牛田からは生涯初の陸羽東線に乗るためウキウキだが、秋にデビューしたてホヤホヤの「みのり」という快速列車に乗るかどうか、相当悩ましい。普通列車が9時発、みのりは10時発だが、風や雪の影響で1時間の差がどう出るか、やや不安なのだ。駅員のアナウンスでも「陸羽東線は風の影響で、途中までしか行けないかもしれません」と曖昧なことを言っている。協議の結果、今回はみのりを諦め、普通列車に乗り込んだ。
陸羽東線は非電化の単線で、とっても良い雰囲気。風は強いながらも天気は最高で、素晴らしい眺めが続く。しかし、川渡温泉駅に到着した時、恐れていたことが起こった。車掌が「えー、風の影響で、ここから先は進めません」と言っているではないか。えらいこっちゃ!ところがさすがみちのく、こういう事態は朝飯前とでも言わんばかりに「そんなわけで、代行バスが来ますので、そちらにご乗車ください」だそうで、全員降りてマイクロバス(その程度の乗客数です)に乗り込んだ。少し面倒ではあるが、バスでも観光出来ると思えば得な感じだ(前向き)。汽車がダメでバスがOKとは不思議な気がするが、たぶん橋が高架になっていてそこが危ないとかそういうことなのだろう。2駅先の鳴子温泉駅までバス移動し、待っていた汽車に再び乗り込んで発車、事無きを得た。
陸羽東線は別名「奥の細道湯けむりライン」というらしく、確かに駅名に「○○温泉」と付くものが5つぐらいある。そんな山間のクネクネ道を往き、昼頃にようやく新庄駅に到着した。

山形線の謎。

新庄では次の列車に接続予定だったのに、代行バスに乗ったせいで到着が遅れ、接続せずに行ってしまったようで、だいぶ時間が空いてしまった。新庄駅を散策すると、面白いことに気付いた。新庄駅は山形新幹線の終着駅なので、新幹線と在来線の両方が乗り入れる。新幹線と在来線はレールの幅が異なり、新幹線はいわゆる標準軌といって幅広、在来線は狭軌といって幅が狭いのだが、なんと、どう見ても幅の広いレールの上に、在来線車両が乗っかっているのである(一般の方には伝わらないかもしれないが、これはかなりの衝撃である!)。後で調べたところによると、山形線と呼ばれる山形-新庄間はやはり標準軌用の改造在来線車両が走っているとのことで、それ故、それ以外の区間への在来線乗り入れは不可能だとのこと。はー、なんて勉強になるのでしょう。

憧れの横手やきそば。

新庄からは秋田行き普通列車。車掌が「信号トラブルで遅れている山形新幹線の乗客を待ってから出発します」と言っている。それならさっきの陸羽東線の列車も待ってくれたっていいのに、やはり新幹線は特別なのだろうか。待っている間に、快速みのり号が到着。くぅ~、結果的には快速に乗っても同じ列車に間に合っており、痛恨である。まあ次回の楽しみにとっておこう。
奥羽本線は複線。途中にある及位駅は、読み方が難しいのと変な読み方で結構有名である(ノゾキ駅です)。しばらく行って横手駅で途中下車。横手といえばかまくらがあまりにも有名だが、実は横手やきそばというB級グルメも侮れない。
駅から徒歩1分ぐらいの店に行ってみたが、列車が遅れた影響で間に合わず、既に準備中に。夕方前の微妙な時間なのに加えて年末なこともあり、どこも店がやっていないが、30分ほど歩きまわってやっと「食い道楽」という店を発見。飛び込んだ割にはなかなかのヒット店のようで、横手やきそば四天王に選ばれたというポスターが貼ってあり、期待できる。ここの名物は「マーボーやきそば」だそうで、途中でマーボータレを混ぜて2つの味が楽しめるというもの。横手のやきそばは普通のソース焼きそばに目玉焼きが載って、ひき肉が混ざっているのがポイント。普通に食べても美味だが、マーボーを混ぜると引き締まった味になり、さらにうま味が増す。これは結構な掘り出し店であった。後で気付いたが、同じ名前の店が駅前にもあった。今度来たら駅前店に入ってみよう。それにしても、列車が遅れなければ今回の店は発見していなかったかもしれず、何が幸運をもたらすやらわからない世の中である。

行きつけのきりたんぽ屋。

横手からは次の秋田行き列車に再び乗車。大曲からは秋田新幹線乗り入れ区間だが、さっきの山形線とは違い、標準軌と狭軌が別々になっているか、同じ場所に両方敷いてあったり(つまり、レールが3本)して区別されている。
暗くなった頃に秋田駅に到着、早速今宵の宿であるアキタシティホテルにチェックイン。このホテルは駅から徒歩20分と少し遠いが、朝食バイキング付き4.2kとこれまた安い。ちなみに秋田ではドーミーイン中通温泉こまちの湯というホテルが大好きなのだが、今回は珍しく違うところにしてみた。アキタシティホテルも設備的には普通だが、ウォシュレット付きが嬉しい。
さて、早速行きつけの店「津ねや」を目指す。かれこれ6年ぐらい通っているきりたんぽ屋である。入店すると、カウンター席がガラ空きだったので、いつもの場所に座る。店の人も顔馴染みになっており「あらー、また来たわね」ぐらいの感じだ。昨年も同じ日に来たのだが、昨年と同じように2階で宴会をやっているようで、コンパニオンの女性がじゃんじゃん入って来る。どういうカラクリなのかわからないが、来る女性全員上玉(下品な表現ですみません)で、「うひょー、タダで見させてもらって良いのかしら!」という感じ。秋田美人、恐るべしである(来年も同じ日に来よう~)。
この日も寒かったので、珍しく熱燗を注文。きりたんぽ鍋は相変わらず美味で、食べ終わった後に米を入れておじやにしてもらうのもこれまた最高だ。
しばらくすると、知らない兄さんが入店、カウンターに座った。かなり酔っ払っていて陽気な感じで、熱燗をご馳走してもらったりして、得した(兄さんは別のコンパニオン風な方と同伴で違う店に消えていった)。この店は気兼ねなく飲んで食べてゆっくりできるので、大好きである。

3日目開始。

3日目、この日も天気は良好。日本海側はさすがに少し心配したが、雪嵐にならなくて良かった。朝食バイキングだが、宿泊客が少ないのか、年末だからか、それとも普段からそうなのか、えらく質素なものだった。ウインナーも10本ぐらい、スクランブルエッグも3すくいぐらいで終わる程度。なくなり次第すぐ足されるなら良いが、なんとなくイメージ的に良くない気もする。とはいえ腹は一杯になり、満足して駅へ。
この日はローカル線乗りまくりの日と決めていたので、嫌が応にも胸が高まる(子供か)。秋田駅で列車を待っていると、女性の車掌さんが近づいてきて「何行きですか?横手行きはここではなく、2番線ですね」と教えてくれた。しかし、私は改札の電光掲示板に4番ホームと表示されているのを見ていたので確認していると、場内アナウンスで「本日は4番線から発車します」とお知らせがあった。車掌さんは申し訳ないと平謝りしていたが、今時列車待ちしている客に親切に話しかけてくれる人は滅多にいないため、むしろ有り難い。今後も頑張って欲しい車掌さんである。最近女性の車掌や運転士が多いが、運転も荒くないし、車内放送もなんとなく落ち着くので、もっと登用して欲しいと思う。

初モノづくしのローカル線。

秋田駅からは昨日来た道を引き返し、横手駅で乗り換え。ここからは未知の世界であり、心躍る。横手からは北上線で北上駅を目指す。私はついにかぶりつきを敢行、朝から気合い十分だ。北上線は日本海側から太平洋側に横断するだけあって、途中はえらい山の中を走る。単線ディーゼルで、見晴らしも抜群だ。列車の本数も少ないため、山間部ではレールの上に雪が積もり、まるで何もない新雪の上を滑走しているかのような気持ちの良さ(脱線するのではないかと少し怖い)。
北上からは東北本線で花巻まで下り、そこからはこれまた初挑戦の釜石線。快速はまゆり号に乗車するが、残念ながら先頭車両は指定席車両のため、かぶりつき不可。よって、最後尾で過ぎ行く景色を眺めることにした。この路線も単線非電化で萌える。遠野などの街を通り抜け、釜石駅に到着。
ローカル線はまだまだ続く。釜石からは山田線に乗り換え、再びかぶりつきをゲット。山田線がまた素晴らしい。吉里吉里(きりきり)駅というかわいらしい名前の駅があったり、岩手船越駅は本州最東端の駅だったり、天気も良くて三陸海岸がとっても綺麗だったり、全て初めてづくしでお腹一杯だ。
宮古駅で乗り換え、引き続き山田線。そのまま盛岡まで行って宿泊の予定だったが、どうしてもガマン出来ず、急遽作戦変更に出る。日本屈指の廃止対象路線、岩泉線の踏破である!

嗚呼岩泉線、そして押角駅。

岩泉線は、山田線の茂市駅から出ている盲腸線(一筆書き出来ず、行ったらそのまま戻って来るしかない路線を盲腸線と呼びます。ちなみに武豊線も盲腸線だけど、名鉄で戻って来るという大技がマニアでは一般的のようです)で、なんと1日3往復しか無いのである。朝の便は茂市にでも泊まらない限り間に合わないし、夜の便は盛岡まで戻る列車が無いので、やるなら夕方の便しかない。そしてちょうど、今がその時刻なのであった。これを逃したら、一生チャンス無く、廃止になってしまうかもしれぬ。今宵の宿に「遅くなるもんで」と一報を入れ、岩泉線に足を踏み入れた。言うまでもなくどの駅も1面1線で、えもいわれぬ情緒が漂う。乗客は20人程度だが、どの輩もかぶりつき近辺でソワソワしたり、カメラを構えたりしており、ほとんどが鉄っちゃんだと思われる。
そしてほぼ全員のエネルギーは、岩手和井内駅を出発した直後からピークに向かう。今まで椅子に座っていた私も、満を持して立ち上がり、かぶりつきに移動。岩泉線でなぜ呑気に座っていたかというと、まさにこの瞬間に備えてのこと、全てのエナジーを注ぎ込むのだ。やや牽制し合っていた乗客も、満を持して立ち上がった青年を見て「これはいかぬ」と言わんばかりに前の方ににじり寄ったり、カメラの準備をする者で忙しくなってきた。皆が待つそれは、押角駅である。四方を山に囲まれ、人家ほとんど無し、道も近くに無し、もちろん乗降客ほぼゼロの日本有数の秘境駅。秘境駅とは「秘境度」「雰囲気」「列車到達難易度」「車到達難易度」で評価され、押角駅はほぼ満点を叩き出す、マニアの間では超有名な無人駅なのであった。列車は減速し、停車。駅のホームは木で出来ており、待合室も庇も何も無い。1日3往復の時刻表だけが掲示されており、むしろ物悲しい。嗚呼、ここが一生来ることが無いかもしれないと諦めていた押角駅、と感無量になっているところに、この車両内では珍しくマニアではないらしき人々が「あれ?ここ駅じゃないよね。何でこんなところで停車したんだろ」と、嬉しさ爆発するようなセリフをおっしゃっている。それぐらい、何もないひっそりとした駅なのである。ちなみに、近くには魚の養殖場があるようで、その関係者なのか、それとも少し離れたところの民家の人かは知らないが、日本で1人だけ押角駅の名前が入った定期券を持っているらしい!

余韻に浸って盛岡へ。

一人で盛り上がってしまったが、大丈夫だろうか(苦笑)。
押角を出てからは皆の衆それぞれの持ち場に戻り、終点の岩泉駅に着く頃には辺りも暗くなっていた。ターミナル駅といっても、何もない。待合室に駅ノートがあったので覗いてみると、やはり皆さん感無量のようで、「岩泉線を廃止にしないで~」とか「押角最高~」とか、感極まっていた。
やることはそれぐらいしか無いので、またさっきの列車に戻って発車を待つ。20人ぐらいいた乗客のうち17人ぐらいが同じような行動を取っていた(本当のお客さんは3人だけかいな)。さっきのイベントで全エナジーを放電したため、帰りの汽車はぐったりと座って進む。茂市駅でまた山田線に乗り換えだが、20分あったので待合室に行ってみた。壁に誰かが描いた押角駅の絵が掛かっており、人気のほどが伺える。
茂市からはまた山田線で盛岡に向かう。山田線の途中にある浅岸駅と大志田駅も屈指の秘境駅だが、真っ暗で何も見えないのが残念。真っ暗というだけで秘境駅の可能性大ではある。盛岡駅に到着すると、なんだか久しぶりに日本に帰って来た感じがした。駅前のHot jajaでじゃじゃ麺を食べ、今宵の宿ホテルエース盛岡ですぐに就寝となった。

むぅ~帰宅。

大晦日、最終日である。この日も朝食バイキングだが、ここは立派。郷土料理のひっつみという汁が大変美味で、朝から汁飲みまくり。普通のバイキングでも十分満足だが、郷土料理が入ると嬉しさ倍増である。駅からもまあまあ近いし、繁華街も近く、朝食込みで3.99k。年末特別プランなのかもしれないが、激安だ。独身平民には嬉しい価格設定である。
時間があるので、夜は歩きたくない繁華街を歩って駅に向かう。今まで知らなかったところにじゃじゃ麺屋があったりして、発見があって面白い。
盛岡駅からは何の工夫もなく東北本線を上る。初日に泊まった仙台で下車し、その時寄ったくろくというラーメン屋を再訪。駅からすぐなので、とっても便利な店だ。大晦日でも元気に営業しており、ありがたい。今回は白を注文するはずだったが、「本日特別限定、比内地鶏ラーメンあり」と書いてあるため、券売機の前で数分悩んだ(またか)結果、比内地鶏に負けてしまった。ラーメンは普通の醤油ラーメンで、鶏肉が載っているわけではない。きっとスープが地鶏なのだろう。私のような味音痴にはよく分からないが、美味いことは美味かった。
駅ではおみやげを購入。私は「むぅ」という豆腐入りかまぼこみたいなやつが大好物なのだが、仙台駅には店がなくていつも遠くまで買いに行っていた。ところが、良く見たらあるではないですか~、仙台駅に。店のおばちゃんに聞いてみると「5年前ぐらいからあるよ?」だそうで、私が単に見逃していただけのようだった。悔しいが、ナイス発見である。
仙台からは快速列車で福島まで行き、乗り継ぎで郡山行き。郡山行きの普通列車は曲者で、かなりの確率で「この列車は郡山行きでしたが、前寄り2両はこのまま黒磯まで行きます」というアナウンスが流れ、乗り継ぎ無しで行けてしまう。楽なので嬉しい反面、席が無くて立っている人は「郡山乗り換えで座ろうと思ったのに」と残念なことになるため、是が非でも事前に座っておきたい路線だ(毎回そうなのかなあ?)。
黒磯行きの女性の車掌さんがえらいカワイ子ちゃんで、ビックリ。車掌も乗客も食堂車も車内販売員も全て女性で全員カワイ子ちゃんでプレイヤーモテモテだったお嬢様特急という昔のゲームを思い出す。黒磯からは上野行きの快速列車があるため、便利。21時頃に無事有楽町入り、除夜の鐘に間に合うのであった。

振り返りと今後の課題。

今回の旅ではもちろん美味しいものもいっぱい食べたが、何と言ってもローカル線踏破が素晴らしかった。
初乗車の陸羽東線、北上線、釜石線、山田線、そして岩泉線。こうなると、JR線全線制覇や、秘境駅全駅制覇などという欲が出てくる。ただし、シャニムニ乗りまくるだけではなく、その土地、その駅、住んでいる人々、文化、特産物など、じっくりと感じながら旅をしたいものだ。
さて、新春はまた旅行の予定が満載!1月は社員旅行で屋形船(乗ったこと無いので楽しみ)、関西方面の温泉旅行もある。2月は某アイドル握手会で九州まで残念旅行(T君宿泊キボンヌ)、3月は恒例の沖縄ゴルフ観戦ツアーだ。
あと、社長に「プライベートでグアム行こう。おまえ幹事な。」と誘われちゃっていますが、どうしたら良いのですかね、こういう場合は。