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みちのく



列車でみちのく一人旅!

大晦日に吉川ハウスの部屋の掃除をしていたら、いずびっちに「今からディズニーランドのカウントダウンに行くもんで。現地集合。」と命令され、急遽千葉県浦安市での年越しを余儀なくされた筆者。31日の夕方から元旦の夜まで、オールナイトでヘロヘロになりながらの年末年始を過ごすことになった。
さて、年始の予定を特に決めていなかった筆者だが、「ここまでトチ狂ったのだから、トチ狂いついでにどっか行っちゃえ~!」ということで、ディズニーランドからの帰りに青春18切符を購入。翌日は一日中爆睡したいのをこらえ、早朝から起き出して横浜駅に向かう。
今回は「困った時のみちのく一人旅」。考えるのが面倒なので、完全に行き当たりばったりで行動することにした。
ちょうど都合良く、一日に何本も無い「宇都宮行き」という列車がやってきたので、それに乗って終点まで行くことに。車内はまあまあ空いていたが、座ると即座に眠ってしまいそうなので、先頭車両のかぶりつきで線路を眺めながら進む。
列車は大宮から東北本線に入る。学生の頃は良く利用した路線だが、さすがに10年近くも経つと懐かしい。小山を過ぎてしばらくすると、終点の宇都宮に到着した。
宇都宮で有名なものといえば、餃子である。たしか、日本人の年間餃子消費量トップは宇都宮市民(観光客も含むのかしら?)だった記憶がある。改札を出ると早くも餃子王国が広がり、餃子好きにはたまらないが、餃子嫌いは窒息死しそうな雰囲気だ。
まずは、駅前に何店舗か存在する「餃子館」に潜入。ここではいろいろな種類の餃子を提供しており、筆者は「3種味くらべ」というメニュー名だったかは忘れたが、「野菜餃子」「しそ餃子」「スタミナ健太餃子」の3種類の餃子セットを注文。この中では、スタミナ健太餃子がコクがあって美味。なんで健太なのかは謎だが、どうやら店のマスコットが「健太」という名前らしい。ついでにラーメンもたのんでみたが、こちらは昔風のしょうゆラーメンで、普通の味だった。
1軒ではもったいないので、今度はもっと駅に近い「餃天堂」へ。ここは最近できたのか、なかなかこぎれいな店だ。餃子は、かなり美味。カウンターに「申し訳ありませんが、肉汁が多いため、注意。」などと書いてあり、自信のほどが伺える。しかし注意もなにも、焼きたてなのになぜかあまり熱くなく、一口でイケる。猫舌君にはナイスな餃子であった。水餃子も注文したが、スープには味が付いておらず、食べ方が良くわからぬまま終了。
宇都宮からも普通列車を乗り継ぎ。黒磯行き・郡山行きと乗り継いで福島県入りを果たし、郡山からは磐越西線で会津地方へ。
そういえば昔、ある女性と会津まで日帰り旅行をしたことがあった(群馬からとはいえ、日帰りは結構キツかった)。磐越西線はそれ以来であろう。
ラッキーなことに、喜多方行きの快速列車が入線してきたので、飛び乗った。山に向かうにつれ、かなり雪深くなってきた。みちのくはこうでなくてはいかん。途中から吹雪になり、会津磐梯山もさすがにかすんで見える。会津若松駅は袋小路のため、列車の向きが入れ替わってスタート。ほどなくして、喜多方に到着した。

宇都宮餃子からの喜多方ラーメンハシゴ!

喜多方ですることといったら、ラーメンしか思い付かない。日本酒の蔵でも有名らしいが、筆者的にはやっぱりラーメンだ。それしかない。
実は宇都宮で餃子を食べ過ぎたためあまり腹が減っていないのだが、まずは駅近くの「源来軒」へ。ここはかなりの有名店なのか、いろんな著名人のサインが飾ってある。ここは、スープが美味。しょうゆラーメンなのだが、塩辛くない。チャーシューも旨い。なかなかおススメだ。
さすがに腹が一杯だし、道が全て凍っていて歩きにくいし、列車の時刻も迫っているのでビミョ~だが、やむをえずもう一杯いくことに。ちょっと歩き、「坂内食堂」に入店。ここは東京などにも姉妹店が存在する有名店。この日はラッキーなことに空いていたが、普段はかなり並ぶことが予想される。さてラーメンだが、スープがかなり薄い。一見、お湯を飲んでいるかのようなあっさりスープだ。お腹一杯で評価しにくいが、あまり筆者の好みではないようだった。再チャレンジが必要だろう。
帰りの列車を逃すと1時間半待ちぼうけとなるため、苦しいながらも急いで駅へ向かう。発車2分前に到着し、改札をくぐると「お客さん、まだ早いし今日は寒いから、呼ぶから中で待ってな」と駅員さん。2分前なのに早いとは、ありがたいけど随分なのんびり屋だな~と思っていると、30秒後にお呼びがかかった。
この日の夜は会津若松で一泊することに決めた。駅のすぐそばのホテルが取れたので、列車で戻ってすぐにチェックイン。6階の部屋で、山々の眺めがなかなか良い。大晦日からの強行軍で疲れたし、腹も一杯なので、何もせずにテレビを見て、そのまま就寝となった。

仙台でも胃袋絶好調!

翌日。この日も天気は良好。みちのくではほとんど雨に降られたことがない。相性が良いのだろうか。
折角会津若松まで来たのだから、鶴ヶ城こと若松城を見学することにした。お城までは会津バス。バスの運ちゃんが「どこまで?お城?会津は田楽が有名で、郵便局の一本あっちの道を入ったところに旨い店があるよ~」と、ズーズー弁で教えてくれた。郵便局ったって知らないのだが、こういう心遣いは大変心が温まる。バスを鶴ヶ城西口で降り、お堀に沿って本丸を目指す。鶴ヶ城は、誰が建てたかもう忘れた(城好きな割には細かいことをほとんど知らない)が、白虎隊集団自刃事件であまりにも有名。雪のお城はなかなか風情がある。城の中は予想どおり白虎隊一色。天守閣からの眺めは大変良く、昨日は恥ずかしがっていた磐梯山も今日はお目見えだ。このお城には件の女性とも来たことがあったのだが、記憶している城の風景とまるで合わない。謎だ。別の城だったのだろうか。それとも、夢か幻だったのだろうか。
帰りのバスがなかなか来ないので、歩って駅へ。会津若松駅から磐越西線で来た道を戻って郡山へ出て、そこから再度北を目指す。福島駅を経由し、夕方前に仙台に到着。仙台のホテルはどこも「今日はお休みです」という怠け者ばかりだったが、駅からちょっと距離はあるが4,100円とお値打ちなホテルがやっと取れたので、すかさずチェックインした。
仙台といえば、牛タンである。荷物を置いて、早速街へ繰り出した。
定禅寺通りを西に進んで行くと、繁華街がある。まずは雑誌に載っていた店を探すが、休業日。有名な太助も休業。仕方なく、店の前に「有名店よりやわらかい牛タンあります」と書かれた「牛たんや」というヒネリのない店名の店に突入。ここの牛タンは確かにやわらかいが、噛み切る時に少し抵抗がある。まだまだといえよう。
昔仙台市民だったたけちん情報によると、「姫ラーメンによく行ってたっす」ということだったので、探し当てて早速入店。ここは味噌ラーメンが旨いようで、レンゲの辛味噌を自分で溶かしながら食べる方式。かなり美味だが、筆者的にはちょっと辛くなりすぎた。適当なところでやめるのが正解だろう。
この日は胃が絶好調。まだまだイケそうなので、駅前まで戻って、「利久」という牛タン屋に。仙台には何店舗があるようだが、筆者が行ったのは宿泊するホテル近くの花京院(かきょういん)店。ここの牛タンは旨い。量も文句ない。肉厚なのに、非常にやわらかい。まさに「ブラボー」といった感じだ。この店オリジナルの「利久」という純米吟醸酒も飲み易くて美味。店のねえさんも「へぇ~、横浜からですか~。この漬物どうですか?私苦手なんですよ~」などと屈託なく話し掛けてきて、一人旅の青年には心地よい。
外に出ると、雪が強まっていた。酔っ払って千鳥足な上に路面凍結とあって、ホテルまではかなり難儀したが、無事戻って就寝した。

松島でクルージング!

このまま降り続いて身動き取れなくなったらどうしよう~と思っていたが、翌朝には雪もすっかりあがっており、晴天。さっそく松島に向かって仙石線で東へ向かう。
仙台から松島まではすぐ。駅を降りるとおばちゃんが「松島の観光船に乗る人おらんかえ~」と叫んでいたので、「乗りま~す」と手を挙げて切符を入手。
観光船「仁王丸」は予想以上の人出。船内ではお決まりの「右手に見えますのが亀島でございます」とテープが流れていたが、やっぱり甲板に出てこそ臨場感あふれる松島を堪能できるような気がして、外に出た。外では松島に興味のない子供らがカモメにエサをやるのに必死(カモメもよくわかっているようで、船に必死についてくる)。船の2階席は「グリーン席」という名前でさらに600円高いらしい(ちなみに普通乗船券は1,400円)が、2階はそんなに良い景色なのだろうか。
外海に出ると、かなり波が高くなってきた。船内のアナウンスでは「揺れるのもサービスでございます」と粋なことを言っているが、あまりの激しさに航路を変更し、穏やかな海に戻る。
なんでもそうなのかもしれないが、2回目は1回目に比べると感動が薄い。松島も「こんなもんだった?」という感想である。
船を降りたところに「かまぼこ本舗」という店があった。ここの「むう」という変な名前のかまぼこの名前が気に入ったので、土産に購入した。これは豆腐を混ぜたかまぼこで、なかなか旨かった。後で職場に配ったら大好評で、女子に「2ポイントアップ」と言われた。なんだ2ポイントって。
昼は、これまたたけちんおススメの本塩釜駅近く「すし哲」へ。すし哲の親方は左利きで、なかなかカッコいい。かなりキバって「特上にぎり」を注文。さすがに美味。「追加はよろしいですか?」と聞いてくれたり、お茶を何回も替えてくれたり、細かい気配りも見事。塩釜はフカヒレでも有名らしいので、今度金持ちになったらまた来たいところである。
さて、この日の宿だが、ちょっとだけ山形県まで行ってみようと思い、米沢市の良さそうなホテルに電話してみたところ、「料金は6,900円ですが、インターネット予約すると3,900円です」と言われた。3,000円も安いとは、これを見逃せるほど心の広い筆者ではない。早速インターネットをやりたいが、塩釜にそのような場所は見当たらない。考えた挙げ句、勝手ながら、人に予約してもらうことにした。よっこ嬢にメールを打つと、「今外にいるもんで。」と一蹴。たけちんにメールを打つが「ウチには電話線も無いもんで。」とこれまた一蹴。困った筆者、仕方なく仙台まで戻り、駅前を歩き回ってやっとマンガ喫茶を発見。その時、たけちんが「仕事の関係で会社に行くので、予約してみるっす」と神の一声をくださり、苦難の末、なんとか予約に成功。彼に3,000円前後のお土産を買うことを約束し、仙山線で山形県を目指した。

浮いたお金で米沢牛を堪能!

天気予報でも言っていたが、日本海側では寒波の影響で大雪のおそれ。山形県に向かうにつれ、雪は一層激しさを増す。地元民とおぼしき少年達も「すげえ雪だのや~」とヤマガタ風にささやき合っているところをみると、山形県をもってしてもすごい雪なのだろう。
平野部にさしかかると山間部ほどではないが、それでも山形駅では吹雪。駅近くのそば屋に行きたかったのだが、やむなく断念した。
山形駅では新幹線つばさ号で東京へ帰る人々でごった返しており、「オラもあれに乗ると東京さ行っちゃうんだな~」と、変な感傷に浸りながら米沢へ。それにしても、山形新幹線は在来線と同じ線路を使っているため、なんだか親近感の湧く良い新幹線である。鈍行を待っているといきなり新幹線が来たりするのでびっくりする。
米沢行きの列車は益々豪雪地帯を走る。途中の「かみのやま温泉」でも寄ろうかと思っていたが、この雪では変に道草食わない方が無難であり、これも断念。米沢に到着したら、平野部なのに、雪まるけであった。
雪道は慣れていない筆者、たけちんに取ってもらった宿までの道のりはかなりつらかった。車道の真ん中からは雪を溶かすための水かお湯がチョロチョロ出ており、それ故に歩行者にとってはかえって歩きにくいのだ。最上川に架かる橋の上では吹雪も急流。「あつめてはやし」などと風流なことを言っている暇は無い。
死ぬ思いでやっとホテルに到着、しばらく休憩の後、さっきの苦労も忘れて米沢牛を食べに出掛けることにした。雑誌に載っていて旨そうな、最上川手前の「オルガン」という店に入る。最上川のあっちだったらちょっと考えるが、手前ならまだ我慢できる範囲だ。この店は店内にジャズが流れており、良い雰囲気。一人で入るのはちょっと勿体無い。筆者は奮発して(旅ではいつも奮発するが)「米沢牛サーロインステーキ160g」を注文。ちょうど、インターネットで浮かした分ぐらいの金額だ。たけちんに買うお土産代は米沢牛に替わってしまったが、まあやむをえまい。さすがに美味。塩コショウで十分だ。これで300円だったら毎日通ってしまいそうである。
ホテル近くまで戻り、そこらのラーメン屋に入ったが、ここがまた旨くなく、「あ~、米沢牛でやめときゃよかった~」とくよくよする筆者である。米沢といえば、魚介類を使った「そんぴんラーメン」(ちなみに「そんぴん」とは米沢弁で「頑固」とか「こだわり」とかいう意味らしい)が有名だが、結局それは食べずに終わってしまった。さっきは気付かなかったが、ホテル前の公園では木に電球が付いていてピカピカなっており、大変きれい。部屋も8階だったため、非常に得した気分で就寝した。

餃子経由で帰還!

ついに最終日となった。昨日のまま雪が降り続いたらマジでどうなっちゃうのか心配だったが、小康状態になったようでラッキー。雪道も慣れたのか、駅までは比較的楽に到着。
帰りの電車は新潟回りか福島まで戻るルートか迷ったが、大雪警報も出ていることだし、日本海側はやめておとなしく福島まで戻って来た道を帰るルートを選択。みちのくに別れをつげ、ひたすら南を目指す。
米沢駅で買った「全国2位の米沢道場」という弁当を車内で食べるも、普通の味。やっぱり冷たい牛丼はビミョ~である。
帰りにまた宇都宮に寄り、先日旨かった餃天堂や餃子館、さらには餃天堂2階の「餃子専門店しゃあ」という店にまで入って食べまくり。「明日仕事なのに、こんなに餃子食べて良いのかしらん?」とも思ったが時既に遅し。正月で数kgは重くなったであろう筆者を乗せた列車は夕刻には横浜に到着するのであった。
今回のみちのくは、本当に寒かった。自分を見つめ直す良い機会となった。それにしても驚くべきは、インターネット予約の安さだ。今後はそれを視野に入れ、無謀な旅ではなく、計画を立てて行動しようと思う筆者である。
ところで今回北海道も考えたが、「2月に行ってみたい」という理由により、却下となった。流氷ノロッコ号に乗ったり、札幌雪まつりを見たりしたいのだ。そんな暇があるのかどうかはわからないが、一応そろそろ計画を立てようと画策する筆者なのであった。
おわり。