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北海道



ラベンダー畑が呼んでいる!

4年ぐらい前に出張で訪れて以来ハマっている北海道だが、そういえばまだ「富良野のラベンダー畑」を見たことがない。GWやお盆に挟まれた6、7月は休日も少なく、なかなか機会に恵まれないのであった。そこで今年は自ら休みを取り、行ってみることにした。6/26(木)、27(金)に連続有休を取り、土日を合わせた3泊4日だ。
富良野あたりを周るにはやはりレンタカーが便利そうである。トヨタレンタリースのホームページを見ていると「免許証がゴールドの人3割引!」というキャンペーンをやっているようであり、「あ~、こないだの書き換えでゴールドじゃなくなっちゃったんだった~。しかも関係無いけど、なぜか住所が三重県のままになっちゃったんだった~。」と後悔する筆者にも「その他の人もそれなりに25%引き」という恩恵があるようだったので、即予約。行程の予想が付かなかった(いつもだけど)ので宿は一切取らず、行き帰りの飛行機(新千歳空港往復)だけ取り、準備完了となった。
全ての仕事を人に押し付け、木曜日がやってきた。飛行機は羽田空港6:30の始発便だったので、4時起き。普段の仕事の日は7時起きでもツラいが、遊びとなれば目覚し時計いらずだ(便利)。
横浜駅からは京急の羽田空港行が出ており、楽チン。眠っている間に飛行場に到着した。
飛行機は残念ながら通路側の席だったので、離陸後すぐに迷わず就寝。しかし「飲み物いかがですか~?」の声には敏感に反応し、しかもおかわりまでキッチリといただき、1時間半で千歳に着陸。
現地の天候は小雨で少々残念な天気だが、どちらかといえば「大雨男」の筆者にしてはまあまあ小降りであり、ラッキーである(それにしても気温12度とは、どうなっとるんだ北海道は)。
空港内のレンタカーカウンターに行って手続きをすると、レンタカー屋行きのバスがやってきた。4日間筆者のお供をしてくれるのは「ist」という1,500ccの車であった。本当はポルシェが良いのだが、やむをえまい(右ハンドルでお願いします)。
早速富良野に向かって走り出す。車にはカーナビが付いているが、カーナビ嫌い(というより、メカ音痴なもんで)の筆者は家から持ってきた地図を頭に叩き込んでから進む。早速道を間違えて札幌市に入ってしまい、軌道修正。これもまた旅の醍醐味ということにしておこう。
しばらく行くと夕張市に入った。道端ではメロンの直売が至る所で行われており、本州では見たことのない「メロン宅急便」というクロネコのノボリが道中に立っている。「わき見厳禁!!」と自分に言い聞かせ、猛スピードで夕張を脱出(30万円のメロンが本当にあるなら一度見てみたい気もするが)。峠を越えて北上し、昼前に富良野に到着した。

レンタカーで道央巡り!

腹が減っては戦ができぬ。ラベンダーの前に、まずはラーメンだ(別に何でもいいんだけど)。駅前の「喜楽」に入店。ここはネギチャーシューメンがウリらしく、もちろんそれを注文した。これがまた、超美味!味付ネギとやわらかチャーシューが麺、スープとピッタンコ。富良野といえばソフトクリームなどの乳製品をイメージするが、ラーメンも旨いようである(ここだけかもしれんけど)。
富良野はアイヌ語で「フラヌイ(臭き火焔)」が語源。十勝岳から流れてくる水が硫黄臭く、「こんなの飲めたもんじゃねえべ」ということでその名が付いたもよう。ラーメン屋で出てきた水は美味しかったし、ラーメンも美味しかったので、最近は工夫されて良い水が手に入るようになったのだろう(勉強になるなあ)。
さて、ついにラベンダー畑を目指す。まずは「ラベンダーの森」というところに行ってみた。ここは人もまばらで、良い感じ。ラベンダーは早咲きのものが一区画咲いていたが、大半はまだこれからといったところ。ラベンダーの隣の花畑にもマーガレット風のものが咲き乱れており、昔「花時間」を愛読していた筆者をかなり萌えさせる(白バラの花言葉が「尊敬」だということぐらいの知識は持っている変な筆者)。
次に、雑誌でもお馴染みの「ファームとみた」へ足を運ぶ。ここはさすが有名どころのようで、大型バスの姿も見え、人も多い。広い敷地には早咲きラベンダーが咲き、その他ポピーやサルビア、ユリなども咲いていて、これまた筆者萌え萌えだ。
売店の方に行ってみると、さっきまで目を背けていたメロン(夕張モノかどうかは不明)がカット売りされていた。250円と安かったので、購入。5口ぐらいで終わったが、旨かった。それにしても、メロンといったら温暖な気候を想像するのだが、なぜ北海道でこんなに獲れるのか謎だ。
テーブルで、どこかのおっさんおばさんが何かを食べている。「あっ、あれは!」。先日何かのテレビで見た、富良野と池袋のプリン博物館(?)でしか食べられないという牛乳プリンではないか。早速売り場を訪ねて三千里だが、ファーム内には見当たらない。仕方無くさっきのおっさんおばさんに聞いてみようと思ったら、いなくなっていた。まあその内どっかに売っているだろうと思ってファームとみたを後にしたが、結局後になっても見付からなかったことを思えば、ここで何とかしておけば良かったと思う(ダイエット中だし、まあいっか)。
ファームとみたのすぐ近くに「彩香の里」という畑があるようだったので行ってみたが、ここは菜の花がきれいだったものの、ラベンダー的には大したこともなく、人もほとんどいなかった。
ちなみに、富良野といえば「北の国から」というテレビ番組でお馴染みだが、筆者は実は一度も観たことがないため、近くにあるらしい「黒板五郎の石の家」などはスルー。今度ビデオで観る機会があれば、訪れる可能性もあろう。
富良野からは美瑛に向けて北上。途中の美馬牛(びばうし)で「かんのファーム」という花畑に寄ったが、景色は良かったもののラベンダーはほとんど無く、また美瑛を目指す。
美瑛には「パッチワークの路」という良い景色の場所があるらしく(なんでパッチワークなのかは謎)、行ってみた。このあたりは映画やCMなどで使われることが多く、例えばセブンスターのCMで使われた「セブンスターの木」、マイルドセブンのCMで使われた「マイルドセブンの丘」など、いろいろと見所があるようだ。ケンとメリーの木(これは何に使われたのだろう)、セブンスターの木、マイルドセブンの丘の順に巡ってみたが、どこも最高の景色。天気が良かったらこの2倍は最高だろう(ってことは、人生半分ぐらい損しとるがな)。「富良野よりも美瑛の方が好き」という人も多いが、気持ちはわかろうというものだ。

旭川ラ~メン村でハシゴ!

この日は旭川で泊まることに決めたが、いつもの「旭川プラザホテル」が珍しく満員とのことで、考えた結果「宿取るの面倒だし、車で寝よう」という結論に達した。
そうと決まれば腹ごしらえだ。美瑛から旭川はすぐそこ。環状線を走っていると、偶然目的地の「ラ~メン村」が見えてきた(地図見てもいないのに発見しちゃうところが犬で砂~)。今回は「さいじょう」という店に入店。ここはなんと「旭川ラーメン大賞塩部門第1位」らしく、旭川に塩ラーメンの店が何店あるのか知らないが、一応塩ラーメンを注文。詳しくは忘れたが、大賞の名に恥じぬ味だった。
受付嬢うのっちとのダイエット対決を「旅が終わってから開始」と勝手に決めた筆者、もう一軒ハシゴで「元祖旭川ラーメン」という店へ。ここは普通のしょうゆラーメンで、普通に美味だった。これで、前回の旭川屋・天金に続いて半分の4店制覇。早い内に全店制覇といきたいところである(何とか1回で4杯食べられないかしら)。
さて、旭川駅の近くに「道の駅あさひかわ」という道の駅があるようなので、そこで一泊させてもらうことにした(そこでといっても車中だが)。車だとテレビで野球を観られないのが残念だが、件のうのっちから「広島-阪神は逆転で広島の勝ち!うひひ。」との情報が入り、隣のスーパーでビールを買ってフテ寝する筆者であった。

層雲峡で上川ラーメン!

朝6時起床。まわりには同じようなかわいそうな境遇の者どもがいるらしく、何台かの車の中でおっさんが眠っているのが見える。
早速、東へ向かって車を走らせる。よく考えたらこの日もまだ平日なので通勤ラッシュなどありそうだが、さすが北海道、それを全く感じさせない快適さだ。
2時間ほどひた走ると、層雲峡にたどり着いた。天気がよければ大雪山が良い感じらしいが、この日は曇り。「大雪山」という山は無く、黒岳や赤岳などの集合体を大雪山というようだが、どれが黒でどれが何なのかはよくわからない。
まずはゴンドラで7分ほど登る。駅に着くと、エゾカンゾウなどの花が咲く遊歩道が整備されているちょっとした公園風味があった。さらに上へと行けるリフトがあるようで、乗ってみた。
高速リフトではないためえらい時間がかかり、なぜか半袖の筆者「寒~」と震えながらやっと到着。そこはどうやら黒岳への登山口らしく、展望台と1軒の茶屋以外は何もない。お茶屋の主人に聞くと「昨日は最高の眺めだったんだけどねぇ~」と憎たらしいことをおっしゃったので、すぐに下山(別に登って来んでもよかった)。
下りのゴンドラ乗り場に食堂があり、まだ10時前だというのになぜか営業していたので、入店。ラーメンとカレーの「大雪山セット」を注文した(筆者泣かせなメニューよのう)。密かなラーメン処として暗躍する上川ラーメンを出してくれるようで、楽しみだ。壁には「上川ラーメン憲章」という6か条の章が掲げられており、「ラーメンは90度で出します」「ラーメンは一度にいくつもゆでません」など、なかなかの熱の入りよう。いつぞやの指宿市の「アロハ・ムームー憲章」に似ており、微笑ましい。出てきたラーメンは、こんなヘナチョコな食堂のものとは思えぬ素晴らしい出来映え。上川ラーメンについてはもう少し調査が必要であろう(カレーは普通でした)。
下まで降りると「黒岳の湯」という温泉があるようだったので、迷わず入湯。露天もあり、設備的には問題なし。あとは天気をもうちょっと工夫して欲しいところだ(誰のせい?)。
冷えた体がやっと温まり、次なる目的地へと進む。昼過ぎに、マリモでお馴染みの阿寒湖に到着した。「マリモよりラーメン」ということで、湖畔のアイヌコタン(民芸品店の建ち並ぶアイヌ村風味)の一番手前にある「北国の味ばんや」に入店。ここでは名物らしい「行者ニンニクラーメン」を注文。行者ニンニクというものを食べたのは初めてだったが、そんなにクセも無く、普通だった。
店のねえさんがチャキチャキ(たぶん江戸っ子ではないと思うが)で、店の外を歩っている観光客を捕まえては「どっから来たの?へぇ~、ラーメン旨いよ?」などと誘惑していた(筆者は誘惑されたわけではなく、自ら入店したことを報告しておこう)。阿寒湖のほとりに降り立ってみたが、マリモはいなかった。まあ「どうしても見たい」わけではないので、阿寒湖を後にした(今さらながらナンだけど、マリモって何?動物?植物?)。

グリコ犯を目撃!

この辺りの道はまわりに何もなく、非常に快適。それでも、地図で見たら隣同士に見える屈斜路湖まではだいぶかかった。屈斜路湖には和琴半島という半島が突き出ており、その付け根には囲いもなにもない露天温泉などもあるようだが、さすがに誰も入っていない。見るだけ見てすぐに退散し、今度は摩周湖を目指す。その道中に、硫黄山というハゲ山があって観光バスなども停まっていたので、急遽寄ってみた。
ここは箱根の大湧谷みたいな感じで硫黄の噴煙がところどころ上がっており、かなり地獄風味(見たことないけど)。おっさんがダミ声で「た~まごたまご、たまごだよ~」と叫んでいた。どうやら温泉玉子を売っているようだが、客はみんな「うっせ~な~」といった感じで避けて通っており、宣伝逆効果である。それより、こんな硫黄の場所で何時間もそんなところにいて、大丈夫なのだろうか。別にいいけど。
摩周湖へはクネクネ道が続く。その時、道路脇をトコトコ歩く動物の姿が見えた。キツネだ!想像していたよりも小振り(子供かしら)でかわいらしい感じだが、顔は精悍。目はグリコ犯そっくりだ。これで、北海道における三大見たい動物「シカ・タンチョウヅル・キツネ」を全て制覇。
感無量な面持ちで進むが、辺りが急にモヤモヤし始め、ついに視界10mぐらいの霧に包まれてしまった。さすが「霧の摩周湖」、バビルの塔のごとく、人を寄せ付けない。この霧では何も見えないと判断し、摩周湖の駐車場には車を停めず、そのまま下山した。「霧の晴れた摩周湖を見ると嫁に行き遅れる」というので、まずは一安心といえよう。
さて、今宵はどこで泊るか。翌日は知床方面に行きたいため、網走方面に抜けるのがベストだが、そういえば「釧路の市場は日曜休み→今日は金曜だから、明日の朝しかない」ということを思い出し、強引に釧路に向かうことが決定。わき目も振らず、ひたすら釧路を目指す。釧路湿原の脇の道に差し掛かると、シカがピョンピョン跳ねていたりして面白い(わき目振りまくり)。夕方暗くなる前に釧路入りし、さっき電話で予約した繁華街近くの「ホテルかのう」に到着した。
釧路で魚を食べなければ話にならぬ(横浜でシュウマイ食べないのと同じだ)。というわけで、いわし専門(釧路はいわしの漁獲高日本一)という、海近くの「いわし家太平」に入店した。「釧路名物いわしの夜霧寿司」と壁に貼ってあったので、それを注文。いわしの握りの上に薄切りの大根が載っており、さっぱりしていて美味。いわし大好きの筆者も大満足である。店の主人はあまりベラベラ喋るタイプではないが、客もいなくて暇らしく、話し掛けてきた。「いわしの夜霧寿司、勝手に釧路名物にしようと思ってやってるんだけど、全然浸透しないんだよね~」と笑顔で話していた(だまされたっ)。リピーターも多いようで、主人の人柄の賜物だろう。
ホテルに戻る途中に「河むら」というラーメン屋があったので(まあ元々寄る予定だったのだが)入店。昔ながらのしょうゆラーメンといった感じで、まあまあだった。昨日の車中泊とロングドライブでさすがに疲れたためか、ホテルに戻ったら速攻で就寝となった。

虫ワールド全開!釧路湿原

3日目。この日は北海道入りして初めて太陽が顔を出した。旅行に出て晴れると「体調悪いのかしら?」などと思ってしまう自分が悲しい。
まずは朝市だが、朝市は普通5時か6時ぐらいからやっているのに、釧路駅前の和商市場は8時スタート。早めに動き出したい筆者にとっては少し足かせ気味だが、まあ仕方ない。ここの売りは「勝手丼」。ゴハンだけどこかで買い、自分で好きなネタを選んでのせてもらって丼にする方式だ。「今日はホタテとシャケで50円引きだよ~」などというサービスもあったりして、自分の好きな丼がお値打ちに完成する。筆者は大好きなシャケを中心とする丼(850円)で、大満足。一度「全部のせ」をやってみたいが、いくらぐらいするだろうか。
食べ終わったら早速釧路湿原へ。まずは展望台のある遊歩道を歩くことにした。ここがまたひどい!木の上からケムシだか何虫だかわからぬが、糸を引いた無数のうにょうにょが垂れ下がっており、虫嫌いの筆者は卒倒寸前。受付で「虫よけビニール傘」を借りて進むが、傘のふちにひっついた虫が何匹もぶら下がっているし、まわりでは雨でも降っているかのように虫がボトボト音を立てて落ちてきており、まわりを見る余裕も無し。ほうほうの体で戻った時にはシャツのポケットにまで虫が侵入しており「うひー」といった感じ。毎年そうなのだとしたら、なんとかして欲しいものだ。っていうか、ビニール傘貸すぐらいなら根本的対策を打っていただきたい。
ちょっと行ったところにも遊歩道があるようなので、気を取り直して行ってみた。「温根内ビジターセンター」と呼ばれる施設から湿原内に木道が伸びている。さっきの虫ワールドからさほど離れていないのに、ここには一匹たりとも虫がおらず、超快適。木道の脇にはカキツバタやワタスゲなどの花が咲き、しかも地平線が見えそうなぐらいの広大な湿原が太陽の下に広がり、さわやかな風まで吹いて最高。1時間もあれば一周できるので、かなりのおススメスポットだ。

秘境、カムイワッカ湯の滝!

もう昼前になってしまったので、急いで北上する。途中で昨日霧に阻まれた摩周湖に寄ってみたが、この日は霧も晴れており、良い眺め(嫁に行けない~)。木からはリスが3匹ぐらい降りて来ており、女の子がひまわりの種をやっていた。売店で昼飯がわりにソフトクリームを食べていると、店員の女性が声を掛けてきた。「お土産にメロンはいかがですか?」。速攻で退散する筆者であった。
知床に近づくにつれ、緊張が高まってきた。なぜかいつも半島の先っちょに向かうと緊張する。途中の以久原生花園でユリの群生を見て、ウトロを通って先を目指す。途中から林道にありがちな未舗装道路になり、慎重に進むこと10km弱、ついに「カムイワッカ湯の滝」入り口にたどり着いた。
車を降りると目の前に野生の牡鹿が立っておりビックリしたが、「熊じゃなくてよかった~」と一応一安心。カムイワッカ湯の滝は険しい道を15分ほど登って行ったところにある混浴露天風呂。普通の靴では登りにくいらしく、500円で貸わらじ業者からわらじを賃貸し、登り始めた。一人だとマジで熊が心配だが、登りや下りでたまに人と遭遇するので少しは気が休まる。たまに川を横切ったりするのだと思っていたら、最初から最後まで川の中を登って行く感じ。登るにつれて徐々に水温(湯温)が上がっていき、期待が高まる。わらじはなかなか高性能で、ほとんど滑らない。途中険しい岩などもあったが、ようやく滝壷が現れた。およそ25㎡ぐらい(?)と思われる滝壷には、外人と日本人とおっさん同士のカップル3組が入湯していた。お湯はちょっと硫黄臭がし、緑色で底はビミョ~に見えない。湯加減は少々ぬるめだが、気になるほどではない。足が着くものだと思って奥の方まで歩っていくと、途中で床がなくなり、急に頭まで湯の中に入ってお湯をだいぶ飲んでしまった。こんな硫黄風味を飲んでしまって大丈夫なのだろうか。一応奥まで泳いで滝に触ってからあがり、来た道を戻った。

最果ての地で大の字!

帰ろうと思って車に乗ると、なんとすぐそこにキツネが現れた。どうやら少しは人間に慣れているようで、窓を開けてカメラを構えると、ちゃんとカメラ目線で写ってくれた。ちょっと痩せたキツネだったが、野生のものはあんな感じなのだろうか。車から降りて「お手」とかやってみたかったが、サカキバラが「キツネに噛まれると狂犬病(?)になる」と言っていたのを思い出し、やめておいた(恐ろしいこと言うなあ)。
少し行ったところに知床五湖という観光スポットがあり、人で賑わっていた。残念ながら奥の方は熊出現により立ち入り禁止となっており、池みたいな一湖と二湖を見ただけで退散。
この日も宿を取っていなかったが、とりあえず根室にでも向かうことにし、羅臼峠を通ってひたすら南下を始めた。少し曇ってきたため、残念ながら国後島などは見えなかったが、海沿いの道を走りまくり、暗くなった頃に根室入り。また車の中で寝ようと思ったが、こんな最果ての地で一人車の中はなんとなく怖い気分になったので、海近くの「根室グリーンホテル」に泊ることにした。運悪く「ダブルしか空いていませんが?」とのことで、ちょっと割高になってしまった。こうなったら元を取るため、大の字で寝まくりである。
その前に、まずは腹ごしらえだ。以前に食べて美味しかった「ドリアン」という喫茶店のエスカロップ(カツにデミグラスソースがかかっている味噌カツ風味。全然違うけど)を食べようと思ったが、残念ながら改装中のようで店が閉まっていたため、ホテル近くの「すし善」に突撃。味もサービスも普通だった。かなり腹一杯になってしまったが、すぐそばの「浅草軒」というラーメン屋に入ってみた。東京風しょうゆラーメンという感じ(名前も浅草軒だし)だが、なんせ腹一杯で、味はよくわからず(それなら食べなきゃいいのに)。ホテルに帰ってビール飲んで、大の字になって寝た。

所持金が大ピンチ!

ついに最終日がやってきた。夜には千歳の最終便に乗らなければならないため、根室からの大移動となる。そんな中、少しでも札幌に近づけばいいのに、早起きして逆方向の納沙布岬へ。この日も曇りで、国後島は見えず。またしても「景色見えない男」の実力発揮だ。日本最東端の土産物屋らしい「鈴木食堂」に入店し、朝ゴハンで名物の「サンマ丼」を注文した。サンマの季節かどうかは知らないが、なかなかの美味だった。店のおばちゃんが「どっから来たの?横浜?内地の人は服装でわかるねぇ」と、半袖で震えている筆者を見てからかってきた。そして、言った。「お土産にカニはいかが?」。
昼過ぎに帯広入り。豚丼で有名な帯広とあっては、見逃すわけにもいかぬ。駅前の「ぱんちょう」という店に入ると、豚好きな人々で超満員(熱気ムンムン)。しかしラッキーなことに一席空いていたので、すぐにありつくことができた。ここの肉はものすごく良質とみた。やわらかく、ジューシーなのだ。そして甘辛く仕上げた味付けもよし。客の誰かが「誉めるつもりで店主に『安い牛肉以上の味だ』と言ったらひどく怒った」と言っていたが、当たり前だ。店を出る頃には10人以上が並んでおり、危機一髪である。
雨が強くなり、峠も霧で厳しい走行を強いられたが、行きに通ったメロン街道を帰りも無事に通り抜け、千歳入り。レンタカーを返す前にガソリンスタンドで給油し、支払いを終えてからあることに気が付いた。「お金があと3,000円しか無い!」。帰りのチケットは持っているので帰れないことは無いが、手ぶらで帰ったとあっては、わざわざ一ヶ月前から「お土産はこの店のこれでお願いします。」と言っていた人や「こないだのイクラ美味しかったな~」と遠まわしにつぶやく人などに申し訳が立たぬ。市内を少し探したが目当ての銀行が見付からず、車を返して空港に行ってみたがこちらにも無し。困った。何か手は無いものか。「はじめてのアコム~♪」という曲が脳裏をよぎったその時、決心した。「ダメモトで、札幌まで銀行を探しに行くしかない!」と。
千歳から札幌までは快速列車で1,000円ちょい。札幌へ行かなければ3,000円分のお土産を買えるが、失敗して帰ってきたら1,000円になってしまう。しかも、羽田から横浜まで帰れるのかどうか、チャリ銭次第でビミョ~になってくる。時刻はもう18時を過ぎており、目当ての銀行を発見してもキャッシュコーナーが開いている保証はない。しかし、行くしかないのだ。札幌に着いたのは19時過ぎ。雨の中を必死で走る。途中で見掛けたヨソの銀行のキャッシュコーナーは完全に閉まっており、東京みたいにセブンイレブンのATM機も無い。期待が薄まりかけたその時、道の向こうにライトの点ったキャッシュコーナーをついに発見。入口の自動ドアの開いた瞬間は今も忘れない。

最後にもう1杯!

神の札束を手にした筆者はお腹が減ってしまい、うっかりラーメン屋に入店(何やっとんじゃ)。一仕事終えた後の「味の時計台」の味噌ラーメンは、はた言うべきにもあらず。早速千歳空港に戻り、お土産を買おうとしたその時、思いもよらぬ事件が発生した。なんと、既にほとんどの店が閉まっており、残りわずかな土産物屋も余命いくばくない状態。シャッターを閉めようとしている店員に「ちょっと待ったぁ~~!!」と駆け寄り、目につく土産品を片っ端から買い漁り、前述の人々の希望に適うかどうかはわからないが、なんとか形にすることが出来た。最後に楽しみにしていた空港内の「ラーメン道場」も閉まっておりガッカリだが、まあ仕方ない。21:50発の羽田行きに乗り込み、アンラッキーにも「非常口のお席の方には協力をお願いしております。」の席に当たってしまって緊張しながらも何事もなく離着陸を果たし、無事帰宅することができた。
今回の旅では、ずさんな計画の割にはラベンダーや知床、釧路湿原など、まあまあ満足に見て回れたと思う。次回に残った課題があるとすれば、なんといっても「良い天気で良い景色を見る」だ。梅雨のない北海道で雨や曇りばかりとは、我ながら情けない。これからは日頃の行いにも気をつけ、仕事もちゃんとやり、ダイエットも成功させ、晴れ男として次回の旅を迎えたいと思う。な~んてことをビール飲みながら書いている自分がまた情けなや。
おわり。