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英国



友人を訪ねて三千里!

某大学のあぷ~先生(教授とはビミョーに異なるらしい)がロンドンに行ってから半年が過ぎた。彼は勉強のために1年間、ロンドン大学の学生として異国の文化を学んでいるのである。1年間だというのに、なぜか家族のおヨシさんと2人のご令息までも日本国の家を売っぱらってロンドン入りしており、巷では「勉強留学と言いながら、実は毎日テニスでもして呑気に暮らしているのではあるまいなー」という疑惑が流れ始め、それを確かめるために筆者が単身英国へ乗り込むことになった。
なんせ外国といったら、吟部長らと行ったホノルルマラソンと今年初めに社員旅行で行ったグアムだけであり、自力で手配をするのは始めてで、何をどうしたものかわからない。まずは、世界各国を旅して「行くところが無くなったからこないだ南極行って来た」というなかっち嬢に尋ねてみたところ、「マイルがたまりすぎていつもタダなんだよね~」と参考にならぬ答えが返ってきた。さすがなかっち嬢、次元が違う。仕方なく仕事中にHPで検索していたら、HISで「激安航空券、ロンドン往復69,000円もちろん直行便!」というプランが載っていた。69千円とはえらい安いではないか。しかし、出発日は4/14。仕事的に忙しそうな日取りである。悩ましいが、取り急ぎ話だけでも聞いてみようと早速HIS横浜支店へ直行。HIS横浜支店は駅前のモアーズ内にあって夜9時まで営業しており、大変便利である。越智さんという女性が担当でいろいろ教えてくれたが、HPに載っていたプランについて聞くと「あー、このプランはあと1席で満席ですねー」と言われ、「なんですと!」と焦った筆者はうっかり予約してしまった。こうなっては仕方がない。なにはともあれ、早速有休の申請だ。
筆者の熱意に負けた上司は「うーん、しょうがないなー」とシブシブ承諾。よく考えたら肝心のなんちゃってロンドン市民に連絡を取っていなかったが「おー、エリザベス女王ともども、市民一同お待ちしております!」とのあぷ~先生らしい返事。これでついに、夢のグレートブリテン行きが現実のものとなったのである! 若かりし頃に英国に行ったことがあるらしい受付嬢うのっちによると、ロンドン市内は地下鉄が便利で、主要な観光地はだいたいまわれるとのこと。その時はパディントン駅の近くのホテル泊で、交通は便利だったようである。考えた結果、おヨシさんに「バッキンガムとどこかのお城と湖水地方とユーロスターとアイルランド行きたい」と伝えたところ、「ばかもん!」と怒られた。どうやら英国は地図で見るより広いようである。出発前日にうのっちから旅行グッズとガイドブックを譲り受け(結局持って行くの忘れました。すんまそん)、準備万端で当日を迎えた。

ウラル!タイガ!

羽田なら楽なのだが、さすがに英国行きは成田発らしく、朝早くの電車で成田空港を目指す。横浜駅からは初めて乗る成田EXP。みなさんどこへ行くのかは知らぬが、車内は満員である。眠っている間にいつのまにか終点に到着(終点で良かった~)。北ウィングまで上がって行くと、出発2時間前だというのに既に人でうじゃうじゃ。えらい長蛇の列に「間に合うんかいなー」と不安になりつつ、順番が来るのを待った。
今回の便は、行きも帰りも「ヴァージンアトランティック航空」。「えっ、ヴァージンアトランティックぅ?ゲームとか一杯あって、全然飽きないんだよ。乗りたい飛行機ランキングでも上位なんだよ。いいなー。うひー。」とうのっちがえらく興奮気味に話していたので、かなり楽しみである。やっと搭乗手続きが終わり、なぜかあぷ~先生に頼まれていた「イギリスの歩き方」とかいう本を購入し、文明堂で土産を買っていざ搭乗口へ。途中で「そういえば英国のお金が無いんだった」と思い出し、両替所で£(ポンド)を3万円分ゲットした。 飛行機では、ラッキーなことに窓際席が当たり、幸先良いスタートである。隣の席はおそらくイギリス人と思われる若い外人で、早くも異国情緒が漂ってきた(早いな)。この飛行機は客室乗務員の半数が日本人らしく、大変安心である。そしてうのっちが吠えていた機内設備も充実している様子(といっても、他のに乗ったことないからわからんけど)。飛行機は無事離陸し、日本国が徐々に小さくなっていく。機内アナウンスによると、成田からは新潟上空を通り、ウラジボストク近辺からロシア上空を抜け、英国へと達するようであり、飛行時間はなんと12時間ということであった。
筆者は早速ゲームに没頭。コンピュータと対戦する変なパズルゲームにハマり、おそらく12時間中10時間ぐらいそれをやっていたものと思われる。隣の外人は何が面白いのか、ビデオを観てうひゃうひゃ笑っている。たぶん筆者が観ても面白くないだろう(英語だし)。
その内、機内食がやってきた。4種類ぐらいから選べるもので、「なんとかかんとかテリヤキ」の最後の「テリヤキ」しか聞き取れなかったため、それを注文。てりやきチキンだと思ったら魚だったが、まあまあ美味であった。隣の外人も「テリヤキ」を注文していたが、意味がわかっているのだろうか(イギリスにみりんはあるのか?)。それにしても、隣の外人には声を掛けることができず、苦労した。例えばトイレに行きたくなった時に「すいませーん、ちょっとどいて」というのはなんて言えばいいんだろ?などと悩んでしまい、困った。ヤツが席を立った時にこっちも立ち上がれば良いのだろうが、なんだか「待ってました!」って感じでやらしい気もして、躊躇してしまうのだ。結局一度も席を立つことなく、エコノミー症候群発症寸前の筆者である。
ロシア上空ではゴツゴツした山脈に雪が積もっているのが見え、かなり感動だ(実は裏日本でないことを祈る)。何のことかはもう忘れたが「タイガ」とか「ウラル」とかいう単語が脳裏をよぎる。長いようで短いフライトは終盤にさしかかり、飛行機は高度を下げ始めた。窓の外にはレンガ造りのカッコ良い風景が連なり、「お~、ついに来ちまっただな~」と感慨にふける筆者。定刻よりも30分ほど早くヒースロー空港に無事着陸し、初の英国に降り立つのであった。

異国の地で再会!

入国審査ではさっぱり英語がわからず早くも洗礼を浴びたが、なんとか到着ロビーへ。しかし、見回せど見回せど、エリザベス女王とともに待っているはずのあぷ~先生の姿が無い。こんなところで路頭に迷っては、えらいことである。ヘタすると、どこかへ売り飛ばされてしまうやもしれぬ。必死に探したがどこにもいない。困った。「集合場所違ったかなー。ハチ公やナナちゃんみたいにわかりやすい場所にしとけばよかったー。」と後悔しつつ、「もしかしたら地下鉄の駅の方にも到着ロビーがあるのかも?(普通は無いぞ)」と思い、念のため地下鉄方面に歩いてみることにした。歩き始めて数分。前方に、壁のポスターを見ながら呑気に歩ってくる見慣れた親子を確認。お互い「オオゥ、こんなところで会えるとは!」と感動の抱擁のはずが、両者動く歩道に乗っていたため「あああ~」とすれ違うのだった。
あぷ~先生は「たぶん入国手続きで時間かかるだろうと思って、ゆっくり来た」と言っていたが、飛行機が早く到着することまでは予想できなかったもよう。息子のコー君が「せっかく作ったのに~」と手に何か持っているので見せてもらうと、そこには飛行機の絵と「WELCOME TO LONDON KEN!」と書かれており、どうやら到着ロビーで大弾幕を広げる予定だったらしい。こういうところにこだわるあぷ~一家は永久に不滅である。
ヒースロー空港からは地下鉄ピカデリーラインに乗る。地下鉄といっても、市街地までは地上を走るため、飛行機からも見えたレンガ造りの建物や公園が車窓を走り、感動的だ。ロンドンの地下鉄は世界で最初に作られたものらしく、イギリス人の大きな体に対して車内は狭く、丸っこい形をしているので「チューブ」の愛称で親しまれている。大きな人が背中を丸めて立っているのが印象的である。また、日本の地下鉄よりも音が大きく、話をしていても聞こえないことが多い。さらに違いをあげると、日本のように「次は泉岳寺、その次は三田でぇす」などとはやってくれず、自分で注意していないと乗り過ごしてしまう。だが、壁に大きく駅名がペイントされているため、視覚的には大変わかりやすい。
あぷ~先生とコー君の普段の生活について聞いているうちに、乗り換え駅のレスタースクエアに到着。「ここからはノーザンラインだよ」とコー君が教えてくれた。どうやら親よりも息子の方が地下鉄路線図に詳しいようである。ノーザンラインを只管北上し、地下から地上にあがったところで「イーストフィンチリー」という駅に到着。ここがあぷ~邸の最寄り駅であった。駅から家までは徒歩10分程度だが、筆者の「2階建てバス乗りたい!」という子供のようなわがままをコー先生が「しかたないな~」とお許しくださり、バスを待った。2階建てバスはマジ感動。しかし、2階に上ったと思ったらすぐに目的地に到着し、急いで降りた。あぷ~邸はいわゆる家族寮。目の前には築100年の建物があり、その間に野球の内野ぐらいの芝生の庭(広~)がある、素敵な住まいだ。もちろん家族4人でも不自由ない広さで、内装もまあまあ綺麗で、不便があるとすれば、風呂のシャワー等の製品はやはり日本の方が充実しているとのことだった。庭では子供たちが遊んでおり、そのうちの一人がいきなり何か話しかけてきた。どうやら粘土細工かなにかで「これ何に見える?」と聞いているようだが、英語もわからない上にそれが何に見えるかもさっぱりわからず、撃沈(答えは鉄砲か何からしかったが、筆者にはミミズにしか見えなかった)。それにしてもこれだけの芝生の広場があれば、子供たちもさぞかし幸せだろう。
寮の玄関のドアが開くと、おヨシさんが出てきた。日本国では何度もお会いしているが、ロンドンで会うことになろうとは、とっても不思議な感覚である。テッちゃんもよほど大きくなって、ニコニコしている。日本で会ったことを覚えているだろうか。
コー君が「おがたくん?庭にリスが出るよ。5分も見てれば絶対出るよ。」と言ってきた。ちなみに最初の「おがたくん?」はコー君お得意の呼びかけで、絶対服従である。振り向かないと100回でも500回でも呼んでくるため注意が必要だ。「いやー、いくらイギリスったって、リスが出るかねー」と半信半疑で見ていると、なんと!5分もしないうちにリスがひょっこり庭を横切り始めたのだった。これにはかなりびっくりで、しばらく窓に釘付けである。ロンドンはかなり緑の多い都市で、動物も住みやすいのだろう。庭には他に、ロビンと呼ばれる綺麗な鳥なども一杯来るそうである。
日本とイギリスでは時差が8時間。日本はもう真夜中で、いわゆる時差ボケが大変かと思ったが、案外大丈夫なのはやはり新鮮な感動が多いからだろう。中でも、日の長さには驚いた。夜の8時半でもまだ明るいのだ。夕飯をいただいてしばらくしたらさすがに眠くなってきたので、明日の予定を考えて就寝となった。

王道コースの観光開始!

2日目。みんなで早く起き出し、早速出かけることになった。家を出た瞬間から、筆者所有のヘナチョコ君(デジカメ)が唸る。イーストフィンチリーは高級住宅街で、普通に歩っているだけでも見ごたえがあるのだ。ノーザンラインでエンバンクメント駅まで行き、改札を出るとそこにはデデーンと「ビッグベン」があった。ビッグベンはウェストミンスター宮殿とも言い、現在は国会議事堂として使用されている。シンボルの時計台がそびえ立ち、大変カッコ良い。テムズ川を渡ったところには最近出来た新名所「ロンドンアイ」という観覧車があり、ビッグベン同様市内の至るところから見ることが出来る。この辺りは古いタイプの2階建てバス「ダブルデッカー」もうじゃうじゃで、観光客に人気のスポットといえよう。そこから歩って数分のところに「ウェストミンスター寺院」がある。ここは王様の戴冠式が代々行われてきた場所で、ダイアナ妃の葬儀が行われたところとしても知られる。建物の中には戴冠式の際に王様が座る椅子があり、こっそり座ってみようと思ったら警備の人がいたのでやめた(ちょっとぐらいダメかしら)。奥の方には立派な庭もあり、誰もいなくて良い感じであった。 11時半からバッキンガム宮殿で衛兵交代式があるということで、みんなで歩って向かった。宮殿前のセントジェームズパークにはリスなどがいて、普段ではありえない光景についつい「うひょ~」と叫んでしまう。その時、道の方からなにやら軽快な音楽が流れてきた。衛兵の行進が始まったのだ!筆者は衛兵交代式は宮殿内で行われると思っていたのだが、どうやらその前後の行進は普通の道で行われるようだった。走って追いかけたが、道端は既に黒山の人だかり。そこで、あぷ~一家は噴水の上の方、筆者は道端で強引に人々をスクリーンアウトして押しのけ、衛兵が出てくるのを待つ。苦労の甲斐あって衛兵を間近で見ることが出来、また少しだけホースガーズの面々も通り掛かり、これまた感動。ちなみに、宮殿の屋根に国旗が掲揚されている日は女王がご在室とのこと。この日も国旗が風になびいていたが、残念ながら女王に挨拶する時間はなかった。

本場のミュージカルを堪能!

さっきのセントジェームズパークの露店でサンドイッチとホットドッグを買い、芝生で食べることにした。ロンドンは外食の物価が高いようで、ちょっとしたことですぐ千円近くになる。税金が高いのだろうか。ベビーカー転倒によるコーヒー床上浸水事件などもあったが事無きを得、地下鉄に乗ってコー君御用達の「セントポール大聖堂」へ。ここはダイアナ妃が婚姻の儀をあげた場所。しかしこの日は外装工事を行っており、少し残念である。建物の中は壁や天井の絵が素晴らしく、見とれてしまう。さらには合唱隊が歌の練習をしており、しばらく聞き入ってしまう。この寺院ではてっぺんまで登ることが出来るようで、あぷ~先生とコー君と筆者で行ってみた。以前来た時、コー君はあまりの怖さに泣いて進めなくなったというが、この日は大きくなったコー君パワーが炸裂。一度も立ち止まることなく、無事頂上にたどり着いた。
上から見るロンドン市内は見ごたえ十分。高層ビルなどが無いため、結構遠くまで見渡せて良い感じである。下の売店であぷ~先生がまた変な物体に釘付けになっていた。白いライオンの置物の前で身動きひとつしないのだ。「うーん。」と唸ったかと思うと、店員のおばちゃんに「これはLですか?M?種類は2つですか?うーむ。では、これください。」と、ついに買ってしまった。こうなったら止めても無駄なのを嫁は知っているようで、何も言わずに笑っていたのが印象的である(ちなみにおヨシさんは狸の置物に目がないらしい)。
またまた地下鉄に乗り、今度は「ナショナルギャラリー」。古代から近代まで様々な絵画が飾られている美術館だ。ここはあぷ~一家と別行動で回ってみることになった。昔の絵は宗教や戦争モノがほとんどで、キリストの絵などが圧倒的だった。最近のものでは、有名なゴッホのひまわりなどがあり、あまり絵のわからない筆者でも十分楽しめた。それにしても広い。一体何点の絵があるのかわからないが、真剣に見ようと思ったらとても一日では足りない。でもここは入館無料なので、じっくり見るにはおススメだろう。
外に出るとあぷ~一家が待っていた。この後はなんと、おヨシ嬢とミュージカルを観に行くことになっていた。どうやら筆者が絵を見ている間にチケットを買いに行ったようで、準備万端である。日本のツアー等でチケットを取るとかなり高いらしいが、現地で買うと当日は半額などのサービスもあるようで、お安く手に入るのだ。みんなでマクドナルドで軽く食べ(マックの注文は非常に難しい~!)、貧乏クジを引いたダンナとご令息たちは地下鉄で自宅へ帰って行った。ミュージカル会場はさっきの美術館近くの「ハーマジェスティーズ」。あの有名な「オペラ座の怪人」をやっている舞台だ。我々の席は3階席ながら前から2列目と絶好のポジション。なぜか一度見たことのあるらしいあぷ~先生の談話によると「後ろの人が見にくいので、前かがみになるのは禁止」とのこと。あんまりひどいと係の人に怒られるらしい。さて、ついに開演。話のあらすじはご存知のとおり(筆者は知らない)。どうやら、オペラ作家の怪人が女優に恋をし、えらいことになる話らしい(全然わかってない)。なんせ英語がわからないので、会場中大爆笑でも我々2人だけ「???」の状態で取り残されているわけだが、もちろん歌は素晴らしいし、客を飽きさせない演出なども見事で、十分楽しめる。
途中の休憩時間にはアイスクリーム売りが目の前にやってきた。ヘナチョコ英語で「これ何ですのん?」と聞くと「バニラといちごとチョコでんがな」という答えが返ってきたので、いちごアイスを注文した。後ろの客が商品の箱にゴミを入れたとたん売り子が「ゴミ箱じゃねえよこのボケ!」と怒り出し、どこかへ行ってしまった。ロンドンは紳士の国なのにどうもゴミには無頓着でいけないと思う。街や地下鉄はゴミだらけなのだ。考え直して欲しいものである。
大感動の嵐が吹き荒れる中、会場を後にした。乗ろうとした地下鉄の駅が夜は営業終了するらしく(謎)、隣の駅まで歩って乗車。いつものノーザンラインで帰途についた。それにしても今日は、いくつの名所を巡ったろう。ものすごく密度の濃い一日だった。子供たちもさぞかしお疲れだろう。大人たちも明日に備え、すぐに就寝である。

王道コースの観光継続!

もう3日目である。昨日と同じぐらいの時刻に起き、早速行動開始だ。それにしても、ロンドンと言えば雨や霧のイメージだが、この旅では来る日も来る日も良い天気。あぷ~先生によると「イメージとは違い、雨はあまり降らない。ザーッと降ってもすぐやむ」とのこと。どうやら筆者の雨男が治ったわけではないようだ。
今日の最初は「大英博物館」。グッジストリート駅を降りてしばらく行くと、神殿風味な入口の建物が見えてきた。予想では武豊中央公民館ぐらいの大きさをイメージしていた(誰もわからん)のだが、とんでもなくデカい。中はエリア別に区切られており、やはりギリシャやエジプトがメインで、日本などもちょこっとだけあるらしい。
ここでもあぷ~一家と筆者で別行動となった。エジプトでは、中学の英語の教科書に出てきた「ロゼッタ石」が飾られており、「おおぅ、これかっ!」という感想。ギリシャエリアにはパルテノン神殿が飾られているが、現地の人から「はよ返せコノヤロー」と言われているらしく、博物館も大変である。また、大昔のミイラが飾られていたりして、初めて見た筆者はまた感動。日本コーナーでは、葛飾北斎の絵や、古伊万里の茶碗などが展示されていた。客はまばらで少し寂しい。なんせここも一日や半日でまわるのは不可能。施設内のカフェで軽く食べ、外に出た。それにしてもこの規模で入場無料とは恐れ入る。さすが国営である。
今度は、ロンドン塔とタワーブリッジを目指す。ロンドン塔はお城風味でカッコ良いが、実は牢獄として使われていたもよう。今は世界一の宝石が展示されているらしく、少し見てみたい気もしたが、入場料が高いらしかったので断念。宝石盗もうとしたらそのまま牢獄行きだろうか(便利)。
その隣のタワーブリッジは、橋とは思えぬ立派な建物で、圧倒される。大きな船が来ると真ん中からギィ~と開くらしく、是非見てみたかったが、最近は滅多に開かないとのこと。橋の両側には信号があり、開いた時に落ちたりしないよう工夫されていた(当たり前か)。その境目に立って下を覗くと、落ちて行きそうでさすがに少し冷や汗が出た。橋の下で少し休憩してから駅に向かうと、電車がストップしているらしく、駅のシャッターが閉まってしまった。ロンドンの地下鉄は故障や不審物対策ですぐに止まるらしい。古いことも原因のひとつだろう。

優雅にアフタヌーンティー!

バスに乗るなどの手もあったが、とりあえず隣の駅まで歩くことにし、大通りをブラブラ行き始めた。ロンドンの交通は日本と同じ左側通行だが、外国に来ているという先入観から、どうも車が逆方向から来るような気がして、かえって危なっかしい。また、横断歩道の途中に安全地帯があったり、赤信号で渡る人が多かったりで、紳士の国にしてはよくないと思う(ゴミと同じ感想で砂)。途中でポストオフィスを発見したので、昨日ウェストミンスター寺院で買った絵葉書をうのっちに送る手配をした。葉書ひとつ送るのも日本と勝手が違うため、緊張する。参考までに、うのっち邸に届いたのが月曜日だったので、出して3日ぐらいだろうか。地球の裏側から3日で届くなんて、えらい世の中である。
モニュメント駅は開いていたので、そこからピカデリーサーカス駅へ。ここで、大事件が発生した。あぷ~先生所有のデジカメが無くなったのである!上着のポケットに入れておいたようなのだが、テッちゃんを抱いていたため、電車の座席で落としたか、誰かにやられたか、どちらにしても視界に入らなかったようである。一応駅中探したり駅員に聞いたりしてみたが、見つからず。ちょうど朝に「30万円のデジカメ欲しいな~」と言っていたので、デジカメが怒ってバチが当たったのかもしれない。 気を取り直し、歩ってすぐの「フォートナム&メイソン」へ。ここは王室御用達の紅茶屋で、我々はここで優雅に「アフタヌーンティー」でもやろうということになったのだ。あぷ~先生はあまり趣味ではないらしく「オラええがす」と言っていたが、おヨシさんの説得により、家族全員強制参加となった。
アフタヌーンティーはイギリスの王室で生まれた習慣で、夕方に小腹が空いたのを満たすために始めたのが庶民に広がったとのこと。サンドイッチ・スコーン・ケーキをつまみながら紅茶を飲むのが本格的なやり方で、一般家庭では省略してスコーンだけでやる場合などもあるようだ。また、英国ではレモンティーはほとんど存在せず、ミルクティーが一般的。この紅茶の入れ方にもこだわりがあるようで、「ミルク先入れ派」と「後入れ派」に分かれ、場合によっては喧嘩にさえなるそうである。
店内は客で一杯だったが、少し待ってテーブル席をゲット。まわりを見ると、日本人も多いようである。また、現地の人は一人でやって来ていたりして、慣れたものだ。店が店だけに緊張し、とても「優雅に」といった感じにはいかないが、それでも忙しい日常の中にゆったりした時間があるのは良いことだと感じたし、せめて日曜日だけでも家でやってみたいと思った(湖池屋スコーンと日東紅茶かのぅ)。

シメはフィッシュ&チップス!

店を出ると、ちょうどダブルデッカーがやって来た。ダブルデッカーには扉がなく、停留所でなくても勝手に飛び乗って良いとのことで、我々も「ウェイトミ~」とか叫びながら全員飛び乗った。例のごとく2階にあがると、なんと!一番前のかぶりつき席が空いているではないか。迷わずかぶりつき、ロンドンの街並みを楽しんだ。全くもって、日本人旅行者大爆発である。ナイツブリッジで下車し、ヨーロッパ最大級の百貨店「ハロッズ」に入店。昔はジーパンやサンダルでは入店不可だったようだが、最近は我々庶民でもOKらしい。お土産としてオーダーの多かった紅茶を買い占め、母親用の土産も買って、閉店時間が来てしまったので退散した。近くのバーバリーショップにも是非寄ってみたかったが、時間もそんなに無かったので、次回の課題として残しておき、歩って「ハイドパーク」へと向かった。この公園はとても広く、真ん中に池があって、まわりには馬場もあり、のんびりした雰囲気。芝生でしばらくのんびりして、みんなで帰途についた。
今日もいろいろ回った。ロンドンで出来ることは全てやった。そう思っていた瞬間、おヨシさんが「あれっ、フィッシュ&チップス食べてないねえ?」。ひとつ忘れていた!アフタヌーンティーで満足してしまったため、それを忘れていた。イーストフィンチリーに着いて、あぷ~邸の近くの店でフィッシュ&チップスを購入。この店は客も多かったのでわかるとおり、どうも旨いらしい。魚はホクホクで、大変美味。チップスとはいわゆるフライドポテトで、これがまた大量。最後の夜ということで、みんなでビールを飲んで、昔話などにも花を咲かせて就寝となった。

ほうほうの体で出国!

ついに帰る日がやってきてしまった。いつもどおり起きたら出発である。家からは近くの公園近くを歩き、駅へ。来た時とは逆のルートでヒースロー空港に到着し、搭乗手続きに入る。しかしここでまた事件発生。係のおばちゃんに「あんた、荷物はそれだけかい?」と聞かれ、面倒だったのでリュックを指さして「これだけです!」と答えたのだが、「ホントかねぇ~。なんか怪しいぞ?」と、どうやら問題になってしまった様子。実はメイン荷物はあぷ~先生が気を利かせて持っていてくれたのだが、それが裏目に出たようである。慌てて「実は荷物もう1つあって、友人が持っているんでーす。英語わかんなくって、ごめんねー」と言ってうまくごまかそうとしたが、おばちゃんは益々「オーゥ、誰か日本語わかる人いないかねー?」などと係員に尋ねたりしているので大ピンチ。その時筆者の訴えかけるような視線に気づいたあぷ~先生が飛んで入ってきて事の成り行きを伝えると「なーんや、そんならええわ」と、やっと一件落着した。半年とはいえ、さすが現地に住む人は違う。英語も困らない程度には出来るし、なんせ落ち着いている。筆者も機会があれば外国に住んでみたいと思った瞬間だ。
そんなこんなでようやく手続きを済ませ、ついにあぷ~一家とのお別れの時がやってきた。筆者のわがままでいろいろと引っ張りまわしてしまい大変申し訳ないという気持ちと、いろいろとガイドしてくれたことに対する感謝の気持ちの両方で一杯である。また、コー君やテッちゃんと仲良くなれて(というより「仲良くしてもらって」だ)、大変嬉しい。元来子供嫌いだった筆者がこれだけ旅を楽しめるのは、彼らが良い子にしているからである。手作りの大弾幕など、見ただけで涙モノだ。などと考えながら、いつまでも手を振って搭乗口へと姿を消した筆者であった。 おわり。