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九州



別府大分マラソンに同行!のはずが!

先日「冬はやっぱり北国っしょ!」と断定した筆者だが、今度は九州へ行くことになった。なんだかんだ言っても、やっぱり夏は避暑地、冬は南国が恋しくなるのが人間の本能だ。
知多陸上同好会の吟部長が何を思ったのか突然「宮崎県のマラソンに出る」と言い出し、部員の制止も聞かずに九州への航空券をゲットしようとしていたため、やむをえず部長の両腕ともいえるたけちん&筆者がお供することになった(一人で行こうとするなんて、ウゥ~ン、いけずゥ)。
吟部長によると「大きいマラソン大会に出場するには標準記録が必要で、その標準記録を突破するために宮崎マラソンに出る」ということだった。彼の目指す「大きいマラソン」とはテレビでもやる「東京国際マラソン」や「びわ湖毎日マラソン」らしく、その中でも比較的標準記録の甘い「別府大分マラソン」を狙っているもよう。「甘い」といってもそれは「2時間40分」とかいう常軌を逸した変人レベルなのだが。もちろんそんなえらいマラソンに我々お供が参加するはずもなく、応援部隊として任務を全うする予定。といいつつ、途中から吟部長とは別行動で、我々だけこっそり博多や熊本を観光する手はずなのだった。
12/7(金)にそれぞれ有休を取って迎えた当日。新たけちん邸に前泊した筆者は彼と共に名古屋入り。天気も良く、清々しい朝だ。
そんな清々しい中、空港へのバス乗り場で落ち合った吟部長がうなだれている。「マラソンに出られなくなりました。」と。足をケガしたからとかいう理由ではなく、「インターネットで登録ボタンを押したはずなのに、なぜか申し込まれていませんでした。」ということらしい。受付ハガキがなかなか来ないので事務局に問い合わせてみたところ、その事実が発覚したらしい(当日の2日前。遅~)。そそっかしいので有名な吟ぶちょーだが、今回もやってくれた。さすがである。
これで我々は九州まで何しに行くんだかわからなくなった(わからなくなったのは吟部長だけか)が、くよくよしても仕方がない。こうして我々の「単なる九州旅行」が始まった。

博多・長浜・佐賀でラーメン三昧!

吟部長が予約した名古屋空港からの福岡便はちゃんと取れていたようで、一安心。
朝食を食べていなかったため、空き時間にうっかりラーメン屋に入りそうになるのをグッとこらえ(博多で食べますからなあ)、9:00定刻に離陸。搭乗手続きを間違えて席がバラバラになってしまった我々だが、それ故全員窓際ということで一応ラッキーだ。飛行機は広島や山口の上空を通って1時間ちょいで福岡空港に着陸。九州ではレンタカーを借りて走りまくる予定なので、空港前のトヨタレンタリースに直行した。
吟部長の予約したレンタカーも無事取れており、一安心。こないだのみちのくと同じ「ビッツ」が我々の相棒だ。最近のレンタカーにはカーナビが標準装備されているのか、特に頼んでいないのにラッキーである(みちのくのビッツにも付いていたのかなあ?気付かなかった)。
取るものも取らず、まずはラーメン屋へ。記念すべき一店目は、キャナルシティ内の「一蘭」に決定。空港から博多駅・キャナルシティなどは近い。キャナルシティは大きなショッピングモール(?)で、店を探すのも一苦労。どうやら12/15ぐらいにラーメン村みたいなものまで出来あがるようで、今度来たらまた寄らねばならぬスポットだ。一蘭はそれほど行列が出来ていなかったのですぐ入店できた。他の店舗と違ってお隣さんとの仕切りがないのがこの店の特徴であり、少々狭く感じる。今回は「こってり・タレ1/2」の調合にチャレンジ。個人的には「もうちょっとこってりでもいいかなあ」ということで、今度来たら「濃い目・タレ基本」でいってみようと思う。とはいえ、ちゃっかり替え玉までして今回の初ラーを終了。
変人たけちんがまだ「腹減った」と言っているため、やむを得ずハシゴを決行。長浜で24時間営業をしている「元祖長浜屋」に突入した。ここではもう最初から「ラーメン」と決まっているらしく、注文をする前に速攻でラーメンが出てきた。麺の固さのオーダーなどは席につく前に言わなければならないようで、地元民の洗礼を浴びた我々である。
ここのラーメンはスープ色白のやっぱり「長浜系」。どうせなら長浜屋台に入りたいところではあった(屋台は夜のみ営業)が、さすが元祖というだけあってこの店のラーメンは旨かった。
これで終わりかと思いきや、次なるラーメンを求めて佐賀までひた走る。たけちんはもともと変人だが、吟部長も何も言わずついて来るところを見ると、やっぱり変人である。
博多から佐賀までは1時間弱。筆者が昔行った佐賀駅南の「三九軒」に到着したところで我が目を疑うような事件が勃発。店が無いのである!るるぶにも載っているし、かなりの老舗&人気店だと思うのだが、一体全体どうしたことか。るるぶが2000年版だから、今日までの間に移転したのかもしれぬ。今後何かの雑誌でお目にかかれることを願う。
気を取り直し、100m先にある「一休軒」に。店に入ろうとした瞬間、強烈な匂いが鼻を突く。扉を開けると、もちろん店内にも同じ刺激臭が漂っている。筆者は「昆布か何かかしら?」と思ったが、他2名の分析によると「豚のどこかの部分だろう」ということであった。匂いは強烈だがラーメン自体は大丈夫で、こってり系ではあるが、嫌な臭みなどは感じない(麻痺しちゃったのかしら)。昼4杯目のラーメンをたいらげ、佐賀を脱出。店を出ても服・髪・皮膚などについた匂いは消えることなく、佐賀ラーメンの余韻に何度も浸るのであった。

関アジ関サバ食べまくり!別府温泉!

この日の宿は別府温泉。佐賀から長崎道・大分道を経由し、由布岳を望みながら別府入り。別府近辺に差し掛かると既に街中が煙でモクモクしており、硫黄臭が車の中まで漂ってくる(匂いはいいよもう~)。
本日の宿泊地「野上本館」は別府駅東すぐの細い路地にあり、少々迷いながらも無事到着。従業員のおっちゃんが駐車場まで出迎えに来ており、なかなか良い感じだ。従業員の方々はその後もエレベータのボタンを押してくれたり、部屋まで案内してくれたり、風呂までいざなってくれたりとえらい気の使いよう。「もしかして客は我々だけで、滅茶苦茶暇なのでは?」と疑ってしまいたくなる。
別府温泉といったら、まずは風呂だ。早速大浴場へ向かう。ガラッと扉を開けると、誰もいなかった。本当に客がいないのであろうか。残念ながら露天ではなかったが、湯船はまあまあ広い。お湯はチョットぬるい。洗い場にシャワーが2つしかなくて不便だが、まあ客もいないので気にはならない。「お酒はぬるめの~燗がいい~♪」と頭の中で歌いながら長風呂に浸かり、部屋に戻ると既に食事の用意ができていてビックリした。
食事は部屋で食べる形式で、筆者にとって初めての経験だった。第一普段旅に出てもだいたいがビジネスホテルか何かなので、宿で夕御飯を食べること自体珍しい。
この日のメニューは「海の幸関サバコース」。筆者は勘違いして「海の幸コースが関アジで、それに関サバをプラスしたコース」だと思っていたので旅館のおばちゃんに確認したら、どうやら「海の幸コースが関アジで、関アジを関サバにグレードアップしたコース」とのことだった。よって、協議の結果、すかさず関アジを追加注文。ちなみに宿泊費が一人5,000円で、海の幸コースが4,000円、アジをサバに替えるとプラス2,000円。関アジ単体で1匹4,000円だった。店で食べてもたぶんこれぐらいは取られるだろうから、部屋でゆっくり飲みながら食べられることを考えればかなりお値打ちだろう。
関アジ関サバは予想どおり美味。身が締まっていて旨い。筆者的にはアジの方が好みであり、他の2人が見ていない隙を見計らって大量にゲットした。
あまりにもゆっくり食べ過ぎたため、食事中に布団を敷く部隊がやって来てしまうなど波瀾もあったが、その後は飲みながらのトランプ大会となった(修学旅行風でよいで砂)。「カブ」や「ポーカー」などの賭博系ではなぜか吟部長が圧勝。何も賭けていない場では本当に強い。「7ならべ」ではジョーカーを入れた変な地方ローカルルールについていけないたけちんが惨敗。その後の大富豪では筆者がさすがの貫禄を見せて最初から最後まで大富豪の地位をキープするなど、盛りだくさんの内容で終了。枕投げを始めようと思ったら吟部長が寝てしまったため、一日目終了となった。

トリピカ~ルな宮崎県!

2日目。この日もなかなかの天気である。
早く起きた筆者とたけちんで朝湯。昨日のお湯よりも熱く、良い湯だった。
3人で朝食を食べに降りて行くと、人がいっぱいいた。客は我々だけだと思っていたら、案外大勢の人が泊まっていたようだ。朝食は会社の社員旅行で食べるようなオーソドックスな「御飯と味噌汁と海苔と温泉玉子」といったスタイル。焼き魚は目の前の七輪で焼く方式で、味があってよろしい。昨日から元気一杯の宿のおばちゃん連中も「味噌汁おかわり?あいよー!名古屋から味噌を持ってくるよ~!」と意味不明なボケをかましてくるなど、朝からごきげんだ(こっちも相手するからいけないんだけど)。食事を終え、身支度を完了し、宿を出た。この日はひたすら宮崎までのロングドライブが待っている。
東九州には高速道路が無い。大分から宮崎に高速で行こうとするには、大分道で鳥栖まで出て、九州道でえびの、宮崎道で宮崎という超大回りコースを辿るハメになる。仕方無いので我々は国道10号でノコノコと宮崎を目指す。大分市では少々車の流れが悪くて心配したが、都市部を離れるにつれてビッツは活気を取り戻す。
宮崎県に入り、延岡市に差し掛かったところでは吟部長が「この辺に旭化成の工場があり、オリンピア道路というマラソンランナー憧れの道があるッス。感激ッス」と感無量になっていたが、さっぱりわけがわからない。
昼に腹が減ってきたところで吟部長が「あっ、風来軒があるっ!」と叫んだ。風来軒とは、12/15オープンの博多キャナルシティのラーメン村風に入る予定の宮崎ラーメン店で、昨日現地でパンフレットをもらって来ていた彼が覚えていたのである。我々は迷うことなく入店。ここのラーメンはトンコツしょうゆ系で、麺はまあまあ太い。筆者はここのラーメンが大変気に入り、すぐに替え玉を注文。ギョーザもなかなかイケる。たけちんも負けじと替え玉を追加したが、タイミングが悪かったのかなかなか玉が来ず、イライラ気味だった。この日の筆者はどうも体調が良好で「何杯でもイケそうだぞう」という感じだったのだが、そうそうゆっくりもしていられないので2杯で終了。すかさず宮崎を目指すのだった。
宮崎市は南国ムードいっぱい。そこかしこにヤシやソテツの木が立ち並び、太陽が降り注いでいる。向こうを見ると、高いビルが見える。シーガイアであった。他2名の「あらっ?ちょっとぐらい停まって見学して行きたかったわ?」という心の叫びは吟部長に届かず、ビッツは無情にもシーガイア前をスルー。辺りを走っているオッサンを見ては「はぁ~、明日この辺を走る予定だったのかー」と溜め息交じりの吟部長は自分の殻に閉じこもり気味であった。
まあまあ良い時刻に宮崎入りを果たしたため、勢い余って日南海岸を目指す。1時間程行ったところに「サンメッセ日南」という公園があった。ここには何とモアイ像がいるのである!イースター島が世界で唯一認めるモアイ復刻版がここ日南にあるとは驚きであり、早速モアイの真似をして写真におさまる我々だった。それにしても宮崎は雰囲気が素晴らしい。青い空。輝く太陽。トロピカ~ルな植物。窓を開けても寒くない。最高だ。

熊本の後輩邸で大宴会!

我々は宮崎市へ戻り、今度は熊本へ。たけちんが「どうせなら行ける県は全部行きたい」と無謀な事を言うもんだからこんな強引なプランなのだが、まあ筆者もよくやることだし気持ちはわかる。早く全県制覇してお気楽な旅が出来るようになっていただきたいところだ。
熊本にはigo君が待っている。今晩の宿泊地は熊本市のigo邸だ。
高速をトバしにトバし、予定どおり夕刻に熊本入り。指示のあったコンビニでigo君との再会を果たし、歓喜の涙にくれる我々であった。igo邸では女将の貴子嬢とペット(何度聞いても動物名が覚えられません)のレオとサクラが出迎えてくれた。しばらくすると、貴子嬢のご学友(職業訓練校らしい)の方々が続々と登場。9人揃ったところで大宴会がスタートとなった。
テーブルの上は大ごちそう。キムチ鍋にギョーザ鍋、馬刺しにレバ刺しまである。オードブルも含め、何から何まで美味。感無量である。ご学友の方々も大変面白く、クワサキ夫妻は嫁がボケ、亭主もボケの変な漫才コンビ風だし、筆者隣のナベちゃんも何かと豪快(失礼)だし、右隣の温泉大好きトモちゃん(だったかなぁ?)も漫才夫婦に超高速ツッコミを入れていた。
出てきたお酒も旨い。「かなた」という米焼酎はリンゴの香りがして飲みやすい。その内アルコール60度のお酒まで登場したが、体調が過去30年9ヶ月で最高の筆者はグイグイ飲み干す。話題はたけちんの説教グセ、吟部長のテレビネタなどと巡り、宴もたけなわの内に終了。さすがの筆者も皆さんを見送った後は目が回り、そのまま布団に倒れ込んで就寝となった。

鹿児島でもラーメン食べて、帰還!

早いもので、とうとう最終日である。
遅めに起きた我々は朝食にパンをいただいてから熊本市に向かう。目指すは熊本城だ。
熊本城は日本三大名城と呼ばれる美しい城で、詳しくは知らないが名古屋出身の加藤清正が建てたらしい。お堀の景色もいいし、天守閣からの眺めも最高。戦争でも焼失しなかった隣の宇土櫓という建物は趣いっぱいで、お城本体よりも楽しめる。
帰りに昨日の宴会で話題に出た「いきなり団子(現地では『いきなりだご』と発音するらしい)」を食べ、近くのラーメン屋へ。igo夫妻ご推奨の「こだいこラーメン」という店が残念ながらやってなかったので、市役所近くの「桂花本店」へ。ここは筆者も昔入った店だ。太肉麺(ターローメン)が人気らしいが、筆者は普通のラーメンを注文。熊本ラーメンにしてはあっさり系のような気がするが、さすがに美味。チャーシューもやわらかくて美味しかったし、igo君にもらったギョーザも旨かった。
鶴屋百貨店で焼酎などを買い、ついにigo夫妻とお別れの時がやってきた。本当にお世話になった夫妻に心からお礼を言いたい。名古屋にお越しの際は是非立ち寄って欲しいし、今度行った時にはまた遊んで欲しいと思う。
別れを悲しんでばかりはいられない。今度は鹿児島に向けて発進だ。
熊本から鹿児島までは高速で2時間。途中左手に立派な桜島が見え、感動である。その時寝ていた吟部長は「あ~、見たかった~!」とホゾをかむが、時既に遅し。
鹿児島ではまず「味のくろいわ」という雑誌でもトップページを飾るような有名店に。鹿児島といったらどうも「薩摩ラーメン」のようなこってりしたヤツを連想するが、この店のラーメンは超アッサリ。あまりのイメージとの違いにちょっと拍子抜けした感がある。
さすがにお腹も一杯になってきたが、ギブアップした吟部長を残してたけちんと2人で隣の和田屋本店に。ここも筆者が昔入った店だが、九州では珍しくミソラーメンを売りにしており、相変わらず旨かった。去年来た時おばあさんが「名古屋にも支店を出すよ」と言っていたが、この日おばあさんはいなかったため真偽のほどは定かでない。
食べ過ぎでお腹を抱えながら鹿児島市を出発、定刻ちょっと過ぎに鹿児島空港のレンタカー屋に到着した。一体何キロ走ったのかわからないが、よく働いてくれたビッツにもお礼を言わねばなるまい。
レンタカー屋の送迎で空港入りし、お土産にめんたいこを買って(鹿児島でも売っているところが嬉しいねぇ)搭乗。思ったより大勢の人を乗せた全日空機は眠っている間に名古屋到着を果たした。
今回の旅は2泊3日。短い期間の割にはいろいろと回り、足を踏み入れた県は6つ。食べたラーメンは9杯(替え玉含む)。たけちんは10杯を目標にしていたようだが、まあ夕食が関サバや鍋だったことを考えると8杯なら御の字だろう。
宮崎では南国ムードを感じることができたし、熊本ではigo夫妻や友人の方々に本当に良くしていただき、大変満足な旅となった。
いつも一人旅の筆者だが、複数人いればそれだけ面白いことも増える。もちろん一人旅にはそれなりの良い部分もあるのだが、たまには人と触れ合って旅するのも良いと感じた。
日本全国47都道府県制覇を果たして幾分旅に対する貪欲さの薄れた筆者であったが、この分だとどうやらまだまだ続きそうである。
おしまい。