戻る



九州



ブルートレインで九州へ!

工場に赴任してからというもの、年末年始・GW・お盆の長期連休に限り、楽しみで仕方がない。これまでの連休(自分で強引に作った連休も含む)は全てどこかに出かけては食い倒れるという生活を送ってきたが、なぜかこの度の正月は何の予定もなく、久々の連休在宅率100%を記録するところであった。しかし、年末恒例のお年玉争奪?麻雀大会でちょこっと勝った(金額ではなく、気持ちの問題なのだ)こともあり、「北は寒いしこないだ行ったばかりだから、南の方にしよう」ということで、またしても九州一人旅が決行されることとなった。
計画を立て始めたのが新年も明けた1/2で、1/6にはど~しても見たいTV番組(競技かるた名人・クイーン戦。またか)があるということで、本当は鹿児島や熊本でラーメンを食したいところをグッとこらえ、3泊4日安近短ツアーに決定(3泊4日で九州だったら全然安くも近くも短くもないような気もするが)。
行き方の候補は①新幹線②寝台特急の2通り。ポ○シェは病み上がりなので酷使すると死んでしまいそうであり、却下である。出来ることならブルトレに乗ってみたいという思いが強かったため、ひとまず②の寝台特急に決定。九州に行くやつは、熊本に行く「さくら」、西鹿児島に行く「なは」(なんで鹿児島なのに「なは」なのだろう)などいろいろあるが、今回は到着時刻のちょうどよい大分着の「富士」に決定(昔からあるブルトレには日本的な名前がついているようだ)。どの特急もトワイライトエクスプレスやお嬢様特急のように華があるわけでもなく、予想どおり前日だというのにあっさりと乗車券入手に成功。
1/3の夜、早速京都駅へと向かった。寝台特急富士が京都駅を通るのは23:23だが、こないだの北海道で飛行機に乗り遅れた苦い経験を生かし過ぎてえらい早く家を出過ぎ、19:30には京都入りしていた。こうなると残りの4時間はかなり苦しい。ボーッとして過ごすのは得意だが、ボーッとするにはあまりにも寒い。仕方なく、京都駅前地下街のPORTA(ポルタ。美味しそうな名前だ)でラーメンをしばき、返す刀で居酒屋に突入して串揚げ片手に詰碁の本片手に生ビール片手で粘りに粘り、ようやく富士が入線してきた頃にはかなり良い気分になっていた。それにしてもこの日は寒く、富士の先頭車両もどこを通って来たかは知らぬが見事に凍り付いていた。
さて富士だが、日本海3号のようなオンボロポンコツ車両をイメージしていたが、内装を新調したのであろうか、思いの他キレイである。おまけにサロンカーまでついており、夜中だから外の景色は何も見えないけれども一応缶ビール1杯分だけサロンカーでゆったりとくつろげば多少リッチな気分になる。
さすが正月だからか、思ったよりも人が多い。筆者の隣も既に誰かが眠っているようだ。このお隣さんは筆者と同じく大分まで乗っていたのだが、結局ずっとカーテンを閉めたまんまで一度も顔を拝見することがなかった。お日様が苦手なのか、人が苦手なのか。旅の醍醐味を少し損しているお隣さんである(旅ではないのかも知れないけど)。
北行きの列車だと「今どこ走ってるんだろう」などと気になって全然眠れないのだが、西行きの列車はなぜかトキめき度が少なく、広島で一度起き上がった以外は明日に備えて眠りほうけていた。
いつのまにか朝になり、列車は下関から九州へ。筆者は関門海峡の橋を越えるのを楽しみにしていたのだが、実は列車は海底トンネルを通るらしく、ガックリである。富士は何事もなく別府、そして終着駅大分へ。

そば屋に露天風呂!由布院温泉!

筆者は由布院温泉へ行きたかったのだが少し時間が早かったので、大分市内で名物「だんご汁」を食べることにした。雑誌に載っていただんご汁のおいしそうな店に入ったら「今日はだんご汁まだ出来ないんですぅ」と言われ、やむをえずビールに変更(だんご汁でもビールは飲むけど!)。美味しそうな魚があったので「これ何ですか?」と聞くと、店のおばちゃんは「塩サバだよ」という答えを返してきた。筆者的には「関サバでっせ~!」とかいう答えを期待したのだが、「そうですか~、塩サバですか~、それください。」と動揺を隠して注文。何サバかは知らぬが、旨かったからまあよい。
その店を出て駅に戻ると、切符売り場の対面に「だんご汁」と書かれた喫茶店を発見。大分では何の店でもだんご汁が出てくるのだろうか。早速入店し、だんご汁を注文。名古屋みたいに「だんご!」と言っただけでだんご汁とトーストとおつまみが出てくるのかなぁ~と期待したが、だんご汁だけだった(それが普通)。実は筆者の父は熊本出身なのでだんご汁は家でも定番メニューだったのだが、大分のそれは少々形状が異なり、熊本の(っていうかウチだけかも知れんけど)は本当にダンゴのように小麦粉を固めた形なのに対し、大分のはきしめんをもっと平たくしたような形で、食べやすいけれども歯ごたえは少ない、といった感じであった。参考までにウチでは「だんごじゅる」という変な発音で親しまれているが、これもウチだけなのだろうか。
お腹も落ちついたところで、由布院目指して久大本線(久留米と大分を結ぶ路線)を西へ。この日も大変な寒さで、九州なのに雪までちらつく始末。なんと大分では37年ぶりの雪らしい(ウソ)。
由布院に到着。金鱗湖などを散策していると、そば屋なのに「露天風呂あります」と書かれた店を発見。たぶんこの辺りではどこでも湯が湧くのだろう。「ビール付き500円!」と書いてあったため迷わず入店。意外にもしっかりとした露天風呂で、由布岳も臨んでなかなか心地よい。湯加減も最高だ。お湯は無色透明で、匂いも少なく、ぬめりも少ない。おまけのビールを飲み干してもう一軒ぐらい行きたいところであったが、残念ながら時間がなくなったので由布院駅へと戻る(参考までに、温泉は「由布院」だが町名は「湯布院」だ)。

豪華特急ゆふいんの森で博多入り!

この駅から博多までは筆者の野望のひとつである「ゆふいんの森」という特急列車がいざなってくれる。そういえば電車ファンのcontinue氏もこの列車に乗りたいと言っていたのを思い出す。
車内の座席は普通の列車よりも高い位置にあり、少しだけ見渡しが良い。車両毎にスチュワーデス風の女性がついており、一人ひとりに食事の注文を聞きに来たり、何かと世話をしてくれる。列車のスピードもどちらかといえばゆっくりで、車窓を眺めるにはもってこいだ。車内には食堂・トイレはもちろん、なぜか美術館まであり、いつもチープな筆者も高級感に満ち足りたひとときを過ごすことができた。
列車は終点博多に到着。博多と言えば、やることはひとつである(一応断っておくが、ラーメンである)。
まずはホテルをゲット。このホテルがまたなかなかの掘り出し物で、全室シングルで一人旅の君にはもってこい。2年前ぐらいに建ったばかりで内外装ともに美しく、部屋は少々狭いながらも設備は充実しており、なかでも筆者の目を引いたのは「トイレと風呂が別々」というところだ。これはなかなかない。かなりの利点だ。今回泊まった部屋は10階建ての9階で見晴らしもよく、気になるお値段は税込み4,700円。安い!一人で行くならこのホテルをおススメしたい。「ホテルエトスイン博多」という名前で、博多駅から歩って5分とロケーションも抜群だ。
そんなことはどうでもよくって、ラーメンである。まずはノドから手が出るほど食べたかった「一蘭」だ。天神の繁華街にあるそれは、今日も行列ができていた。それにしても、えらい数の有名人のサインである。一蘭といえば隣の人や店員が見えないようにできていてラーメンに集中することができるというのがウリなのに、これだけの有名人が見つかっているとは、謎だ。それとも、有名人自ら「サインして差し上げます」とシャシャリ出るのだろうか。
そんなことを考えていると、もう出番である。一蘭では「こってりにしますか?」「青ネギにしますか?」などと問診票みたいな紙に記入し、自分の好みでいただけるようになっている。筆者はとりあえず「全て基本」でいってみた。秘伝のタレがちょっとピリ辛で、筆者はもう少し甘口の方がよさそうである。しかしここのラーメンの旨さは不思議なほどである。
次に、もう少し足をのばして長浜へ。屋台群の一番手前の「ナンバーワン」という店に入ったが、ここのラーメンがこれまた旨く、「むうっ、一蘭とどっちが旨いかしらん」と食べながら悩んでしまうほどだった。一緒のテーブルに座った女の子もかなりの常連らしく、「私はカタ麺、こっちの2人はヤワ麺ね~」と専門用語で注文しており、微笑ましい。普段2軒目はスープをあまり飲まないのだが、ここのは全てたいらげ、大満足で帰った。

足を伸ばして佐賀県へ!

翌日。普段の一人旅であればたいがい6時か7時に早起きしてどこかに行くのだが、今回は珍しくチェックアウト直前まで眠り、10時のラーメンに備えた。
この日はまず10時開店の博多駅地下街にある一蘭(またか)へ。昨日のデータをもとに、この日は「麺かた目、秘伝のタレ1/2」と基本から少しいじってみた。これが見事にヒット。筆者好みの味だ!朝っぱらからスープをぐいぐい飲み、退散。これぐらいの時間であれば並ぶこともなく、コーヒー替わりの一杯という感じでなかなかよい。
さて、ここからなぜか佐賀へと向かう。雑誌に載っていたラーメンが美味しそうだったのだ。できたてホヤホヤの「特急かもめ」に乗りたかったが、それだとものの数十分でついてしまって味気ないため、普通列車に揺られて佐賀を目指す。
途中、鳥栖駅で乗り換えだ。筆者はこの時気が付いた。「あれー?鳥栖って、サ○ントスのトスじゃないー?」。見渡すと、「がんばれサガ○トス!」などと書かれた看板がデーンと掲げられており、その向こうにはデデデーンとスタジアムが鎮座ましましていた。こんなに駅近くにあったのか!という感想だ。彼(だれ?)は毎回こんな遠くまで来ているのだろうか。おそるべし。
鳥栖から佐賀までは普通列車でもすぐであった。駅から歩くこと十数分、片田江という交差点の路地裏に「三九軒」はひっそりと存在していた。店内はカウンターのみ10席。小汚い感じで、ラーメン的には旨そうである。この店も細かい注文を聞いてくれるようで、「ゴマ油はどうする?」「こってり?普通?」などといろいろ質問を受けた。「久留米ラーメンの元祖」だといわれるこの店のラーメンはやはりトンコツで、予想に違わず美味。久留米ラーメンを食したことがないのでそれについてはよくわからないが、普通のラーメンとしてみれば満足な一品だ。ゴマラー油風の風味が心地よかったように思う。
この日も2杯目のスープまで飲み干し、帰途につく。再度訪れた博多では小腹が空いたため、この日2回目の一蘭を食すため地下街へと潜る。店員と顔を合わせない仕組みのため「あら?この人また来たわ。おかしいんじゃないの?」などと思われたりしないところがまたよろしい。この旅3度目の一蘭は「2回目と同じだけどちょっとこってり」を選択。出てきたラーメンは、ちょっと辛かった。こってり度が増すと辛さも増すようである。やはり2回目の調合が筆者にはベストだったのかもしれない。といいつつ、スープを丸飲みしてしまう程旨いことに変わりはないのだが。
さすがに3連発はラーメン慣れしている筆者のお腹も驚いたらしく、少々違和感を感じながらの帰省とあいなった。帰りは久しぶりの新幹線。偶然乗ることになった「ひかりRailstar」は超高速で、最高時速285km/hをマークしていた。寝台列車でのんびりも良いが、たまにはシビレるような高速も良いと感じる筆者である。
ただ今ダイエット中の筆者だが、振り返ってみると年末年始で12杯のラーメンを食していた。だめだこりゃ。
おわり。