戻る



上越



中国地方から一転、新潟県へ!

中国一周旅行の余韻に浸る間もなく、翌日からまた旅立つ筆者である。お盆後半戦は、あぷ~一家の待つ新潟県は柏崎市に向けて出発だ。
あぷ~先生とは群馬大学1年生の頃からの付き合いで、知多においてもなぜか有名なおヨシさんと結婚して柏崎市に移住したつわものである。現在3歳の子供「コー君」がおり、おヨシさんのお腹の中には早くも2人目の怪獣が宿っているのであった。
そういえば柏崎市といえばあの「幼女監禁事件」でもお馴染みで、彼らの最寄りテニスコートは現場のすぐそこにあるということだった。くわばらくわばら。彼らとは去年の宮古島以来であり、楽しみである。
16日朝、始発の伊賀線で伊賀上野に出て、関西線を名古屋へ向かう。高速バスなら1時間以上早く名古屋入りできるのだが、まだ青春18切符が2回分残っているためやむをえない。
名古屋からは中央本線で中津川を経由して長野へ。山登りの軍団か何かだろう、大きな荷物を背負った客がやたらと多い。
長野駅では「快速妙高号」という、一見特急列車風の電車が入線してきた。かなりかっこいい。筆者はこれに乗り込んだが、あまりにも普通の普通列車と差があるため「もしかして変な追加料金取られるんじゃないか?」と心配になってきた。「快速はタダで乗れるはずだよなあ。でももしかして、快速とは『快速急行』の略なのだから急行料金と追加運賃を払えなどと言われたりしないかしら。客も少ないし。」などと考えていると、車内のアナウンスで「1~5号車は自由席、6号車は指定席でございます。」と聞こえてきた。なぬ~!筆者が乗っていたのは1号車(筆者は昔から先頭車両に乗るのがクセであった)だから一応自由席だが、指定席の存在する普通列車など聞いたことがない。筆者は覚悟を決めた。18切符の説明書には「特急・急行以外の普通車」なら乗れると書いてあるし、JR時刻表には「特急・急行は赤字です」と書いてある。これらを合わせると「赤字以外の列車なら乗れまっせ」ということになる。そして、この妙高号は黒字で載っていた。車掌が来たらこの2つの資料で理論攻めにし、終点まで粘る戦法でいくことに決めた。惜しむらくは、所有しているJR時刻表が新春1月号であることだ(お金をケチりまして。ちなみに山陰線はその間にダイヤ改正があったらしく、それで上野到着に苦労したので砂)。
不退転の決意で臨む筆者を乗せた妙高号は妙高高原の素晴らしい景色の中を優雅に進み、結局車掌は一度も顔を見せぬまま終点の直江津駅に到着。「直江津まで来て出迎えい。」という筆者の命令に忠実に従って馳せ参じたあぷ~一家が改札口で手を振っているのが見え、ホッとした。

1年ぶりのあぷ~一家!

あぷ~一家とは1年会ってないだけなのに、別家族のようになっていた。あぷ~先生は幸せ太り。おヨシさんは腹ボテ。コー君は2倍ぐらいに大きくなっている。また数ヶ月すると出産によってこの状況が大きく変わることが予想される。無常の世の中とはこのことを言うのだろう。
さて、どうせ直江津まで来たのだからということで、駅近くにある「五智国分寺(だったかな?)」というお寺へお参りに。この寺には立派な三重塔がそびえ立っており、誰かが鐘をゴーンと鳴らしたりして良い雰囲気である。おヨシさんもマネをしてゴーンとやっていた。大晦日前に少しでも煩悩を減らしておくのは良いことだ。
そういえば、酒田のあぷ~父が先日三重塔の設計をし、立派なものができあがったそうだ。酒飲んで寝ているだけだと思ったら、なかなか侮れない。一度その塔もお目に掛かりたいところである。
直江津(ちょっと前に合併して上越市となり、現在直江津という町はないらしい)から柏崎までは少しあるので、あぷ~先生おススメの「大雅」という中国料理屋で少し早い夕食をとることにした。おススメといいつつ「一度適当に入ったら春巻きが旨かった」というだけのことらしいが、春巻き好きの我々は躊躇することなく入店。筆者は中国料理屋など久しぶり(ラーメン食べまくっている割には意外)だったので、チャーシューメン・チャーハン・ギョーザ・春巻きと気前良く注文し、あぷ~先生のタンタンメン・おヨシさんの大雅セット(中身忘れた)などと合わせてテーブルはいっぱいとなった。さすが最上川の寒風で鍛えられた絶対味覚の持ち主であるあぷ~先生のおっしゃるとおり、春巻きは美味。しかも、適当にたのんだと思われるタンタンメンが異彩を放つ旨さである(ちょっともらったのよ)。「あ~、タンタンメンにすればよかった~」とちょっぴり後悔しつつ、チャーシューメンやチャーハンもまあまあ美味だったので満足。ギョーザがまたジャンボサイズで、ダイエット中の小さい胃袋にはちょっとキツかった。コー君は終始店内を走りまわっており、ポスターを破っては店の人がそれを直すという気の毒な風景が続いていた。
さて、国道を少し走るとほどなくして柏崎市に突入。誰もいない海水浴場を通り抜け、ついにあぷ~邸に到着した。
コー君ご就寝の直後、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべたあぷ~先生が何やら怪しい黒い箱をぶら下げて現れた。「でで~ん」という効果音と共に箱から出てきたのは、なんと「バイオリン」であった。彼の口による「でで~ん」という効果音は10年前から何か企てている時に多用されていたが、それにしても驚きのブツが出てきたものである。頼みもしないのに「それでは一曲。」といってビギナー用の「メリーさんのひつじ」を弾き始めたが、初心者にしてはなかなか上手である。ピアノで腕を鍛えたおヨシさんのスパルタ教育の賜物であろうか。本人は「ピンキリでいえばキリっすよ~」と謙遜していたバイオリンだが、なかなかどうして、奥の深いなめらかな音色で筆者を魅了してくれる(たとえメリーさんのひつじだったとしても)。
驚いたことに彼のレパートリーはメリーさんのひつじだけにとどまらず、「かえるの歌」「きらきら星」まで披露していただき、ビミョ~に高尚な雰囲気の夜は更けていくのであった。
一曲のあとは、やはり一局が待っていた。碁の9路盤対決である。将棋ではおそらく100回やっても1度も負けないであろうが、碁の9路盤となれば話は違う。ヘタ打つと100回の内1回ぐらいはやられそうなだけに、油断は禁物である。コミは5目半で、いつものようにあぷ~先生が黒番。初回ということもあってかなり集中して打ったはずだった。しかし結果は黒の半目勝ち。「えっ、負け?」。しばらくぼう然とする筆者。「最近の試合はコミ6目半が多いもんで。オレの半目勝ち。」と減らず口を叩き、ヤケ酒をかぶって就寝。寝返りしまくりの寝つけない夜となった。

鯨波ビーチはおあずけ!

次の日は、筆者のたっての頼みで柏崎原発を見に行くことになった。あぷ~邸から原発までは車でほんの十数分といったところ。放射能測定器の「ベータ君」を肌身放さず持ち歩かないと安心できない地域にお住まいのあぷ~一家である。原発本体には潜入できなかったが、実物の縮小サイズの模型やCGなどで説明してくれる館に向かう。
到着するや否や、あぷ~先生がまわりの柵のサイズを測り始めた。どこから持参したのか、右手に巻き尺まで携えている。場所が場所だけに、怪しさ爆発である。どうやらあぷ~父がここを訪れた際になぜかこの柵をいたくお気に召したらしく、注文するために実物の調査を息子に依頼したらしい。「逃げろ!」の合図で全員散り散りに退散し、館の玄関で再びおちあった。玄関では懐かしの「でんこちゃん」人形が愛想を振り撒いていた。
中はスゴいハイテク(ハイテクという単語自体久しぶりに使った気がする)で、実際の原子炉と同じように自動で動くプラモデル風のものがあったり、ニュースステーションのサッカーの順位表のようなヴァーチャルな生き物が説明をしてくれたり、いきなり緊急時の水が放水されたり、恐ろしい金のかかりようだ。最上階からの眺めは見事で、緑の中に原発本体のエントツがそびえ立ち、その向こうには紺碧の海が広がる。原発周辺の景色は美しいとだいたい決まっているが、それにしても素晴らしい。コー君も気に入ったらしく、なかなか立ち退こうとはしなかった。
昼食は市内の「とみや」。ジャンボエビフリャーなど、迫力満点な食材がウリのようだ。筆者はジャンボエビ天丼を注文したが、エビは本当に大きかった。放射能で巨大化したのだろうか(考えすぎ?)。
一旦家に帰ってビデオを見ながら昼寝。このビデオがまたビミョ~な一品で、ディズニーのくまプーだったのだが、プーが性格ワルワルなのである。うさぎさんが大事にしていたハチミツを全てたいらげ、出口にはまって出られなくなるとは、全くもって愚の骨頂だ。くまプー好きのハマちゃ~ん女将に是非ともご覧いただきたい。
昼寝をしたら海水浴と相場は決まっている。筆者としては是が非でも若者向けの鯨波ビーチに赴きたいところではあったが、あぷ~一家の熱烈な要望(鯨波はめちゃくちゃ混むらしい)により、ファミリー向け海岸で手を打つことに。
お盆過ぎとあって全盛期よりは人ごみも和らぎ、日差しもほどほどで良い感じ。シュノーケルグッズで海に潜ってみたが、思ったより水がキレイで魚(特にイカが多かった)もうようよ。ビキニギャルはちょぼちょぼだったが、量より質で、満足である(ほんと?)。太平洋で魚見ようと思ったら相当遠くまで行かないと無理のような気がするが、どうだろうか。
あぷ~先生が「どうしても」というのでわざわざ遠回りして鯨波ビーチまでドライブしたが、時間が遅かったこともあって収穫は芳しくなかった(収穫って?)。
夜はおヨシさんが腕をふるってボンゴレスパゲティーをごちそうしてくれた。体育会系の割には料理上手な嫁さんである。昨日の飲みかけのワインを飲りながら碁に興じたが、この日の夜は一度も負けることなくリベンジ達成。さわやかな気分で床につく筆者であった。

新潟水族館でご近所さんが大水難!

翌日は、高崎まで行こうという計画が持ち上がった。そのついでに(ついでと言うにはだいぶ遠いが)新潟市内のマリンパークという日本海最大(級)の水族館に寄り、群馬を目指すこととなった。
柏崎から新潟まで1時間ぐらいか。マリンパークはさすが日本海最大(級)というだけあって、大勢の人で賑わっていた。
まずはワキ目もふらずにイルカショーの会場へ向かった。下関ではごなつよのばかやろうのせいでイルカショーを見逃しているため、今回は目を皿のようにして観賞せねばならぬ。実は昨日あたりから少々コンタクトの調子が悪いものの、血眼になってでもイルカを目に焼き付けるのだ(別にそこまで情熱的ではないのだけど)。
我々は前から2番目の席に鎮座したのだが、座席や床が妙に水っぽいのが少々気になる。
水槽の中で4匹(頭?)のイルカたちが優雅に泳いでいたが、係のおねえさんの合図とともに芸が始まった。それにしても、上空にぶらさがっている赤いボールは何であろうか。水槽の深さよりも高い場所にあるが、まさかあんなところまでイルカが跳ぶのだろうか?と思っていたら、跳んだのである!高さ6m。「いやはや鳥人だ。」の人より高い。ひょっとしたらブブちゃんより高いやも知れぬ。
しかし、高いところにある物体が水の中に自然落下した後のことなど考えていなかった。スゴい音と共に水しぶき(というにはあまりにも大量のアクア)が我々を襲ったのだ。かぶりつきが空いていたのはこのためであった。水は、幸運にも隣の隣に座っていた少年をメガヒット。「ぐわぁ~。」という声にならぬ声をあげて彼は去った。コー先生もその惨劇を見て泣きながら避難。筆者とおヨシさんは懲りずに粘っていたが、神の御加護によりその後ぬれねずみになることなくショーを満喫した。
お昼は軽くやきそばなどで小腹を満たし、各種水槽を回る。コー君は大きなタコが気に入ったらしく、長い間にらめっこをしていた。あぷ~先生は「あの人、欽ちゃんの番組に出ていた人に似てない?」と、あまり魚には興味のない様子。おヨシさんも「あら、あの魚、美味しそうだわ?」などと別の観点から物事をとらえているもよう。筆者の好きなペンギンエリアを抜け、人ごみの中をみんなで出口へ向かうのであった。

名湯、伊香保温泉!

新潟名物といえば、笹だんごらしい。柏崎で寄った笹だんご屋は本格的で、ひとつだけしか食べていないがかなり美味だった。よもぎ風の餅の中にあんこが入っており、笹でくるんであるのだ。しかし本格的であるが故に日保ちせず、お土産購入は涙を飲んで諦めたのだった。
新潟市内にも笹だんご屋があるというので行ってみたが、ここのオヤジがやや無愛想であり、「何日もつんですか?」と聞いたら「夏は3日冬は5日トランクなどの暑いところだと半日」とハンで押したような答えが返ってきたため、断念。何事も無かったように群馬へ向かう。
新潟に来て100以上は聞いたであろうコー君の「なんで着かないの?」というどちて坊や風問いかけに平静を装いながらもかなりうんざり気味の筆者を乗せたブルーバードは関越道をぐんぐん進む。筆者は群馬県民を5年もやった割には群馬の名湯にほとんど入ったことがなかったため、無理を言って伊香保温泉経由高崎行きに路線変更。
インターを降りてから伊香保までは30分ぐらいか。るるぶで決定していた「石段の湯」に、少し迷ったものの無事到着。伊香保温泉は鉄分豊富な茶色いお湯で有名だが、ここのお湯もまっ茶色。美人の湯のようなスベスベ感はないが、「温泉~」という雰囲気を十分楽しめるお湯だ。洗い場でコーどんが「おしっこ~」と言ってのたうち回っていたりしてこっちまでヒヤヒヤするが、親のあぷ~先生は慣れたものである。最初嫌がっていた感じのコー君もお湯に慣れ、なかなかあがらせてくれないあぷ~先生はゆでだこのようになって帰還。お湯に入らなかったおヨシさんの手厚い看護を受けていた(ほったらかしにも見えた)。
水沢うどん(密かに名物らしい)屋に寄ろうと思ったら銭湯の女将が「水沢うどんは17時までだよ~~~」と教えてくれた(全ての店が17時なのか?)ので、おヨシさんが学生の頃好きだったという屋台風ラーメン屋へ向かう。
車窓からの景色が全て懐かしい。風で飛びそうなボロいラーメン屋だが、10年たった今も存在した。しかし残念ながら準備中。やむをえず、前橋市のうどん屋に入った。
ここのうどんは絶品。そばも絶品。コシがあって最高だ。しかも、うどんの後にはゴハンを投入しておじやまで作って食べることができ、ボリュームも満点だ。なぜ昔もっと来なかったのだろうか。毎日牛丼食っとる場合ではなかった。
やっとおヨシさんの実家、高崎に着いた。庭に新たに家が建っており(兄君のものらしい)、びっくり仰天である。しばし父君母君と談笑し、24時間テレビでなっちのドラマなぞを見て、泣いて、腹減って、就寝した。
早いもので、もうお盆休み最終日となった。お世話になったあぷ~家族に高崎駅まで送ってもらい、お別れである。
帰りは小海線などで清里などの山奥を通って行くか、普通に高崎線で東京を経由するか悩んだが、最終日にあんまり無理するのもナンなので東京回りに決めた。横浜でラーメンでも食べようかとも思ったが、苦労して行っても混んでいたりするとガッカリなので、そのまま東海道本線で名古屋へ(まだ18切符かい)。上野にたどり着いたのは21時過ぎだった。
モー娘。に始まり、長いようで短いお盆休みだったが、初めての18切符によるぶらり旅はなかなかのものであった。あぷ~一家には筆者が伊賀上野からいなくならない前に一度遊びに来て欲しいものだ。それにしても、冬休みが待ち遠しいですな。
おわり。