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北海道



悲しみ本線、日本海3号!

今年の春頃から強引に押し進めてきた「全国制覇計画」も、ついに大詰めとなった。たけちんと行った四国ラーメンツアー、一人で行った九州一周大雨洪水ツアー、あぷ~夫妻のお邪魔虫として行ってきた宮古島シュノーケリングツアーによって、残すは「秋田・青森」という、厄介な場所のみである。厄介ではあるが「佐賀と石川」などというように離れてはいないので、一度大きな休みを取れば達成できそうな状態であった。
12月にシブシブ海外へ行かねばならないため、事態は急を要する。そして11月中旬、ついに実行される時が来た。金曜日に有休を取り、木曜の夜に出発して日曜日に帰って来るというプランだ。ハワイがあるためそうそう長期の休暇は取れない(工場は厳しいのよ)が、まあ十分だろう。
今回はこないだ覚えた「飛行機」でも使ってみようと思い、行きは寝台特急、帰りは飛行機という今までにないパターンの計画を練った。これなら帰りに昼間っから電車で帰省するなどということもなく、時間を余すことなく使えるはずである。飛行機のおかげで随分幅が広がった。なぜ今まで使わなかったのか悔やまれて仕方がない。
宮古島の時はあぷ~女将に航空券を取ってもらったため自分で手配するのは初めてだったが、インターネットのANAページで「早割21」という格安チケットの存在を発見。これによると、青森空港から帰るよりももう少しキバって函館から帰った方がお値打ち風である。青森空港発着便は早割対象外なのだ(田舎だからか?)。もちろん青森から函館までの運賃を考えるとそんなに得でもないが、同じような値段で函館まで楽しめるのならそちらのが断然得だ。などと考えてモタモタしている内に、あろうことか函館発の早割21キップが売り切れてしまった。無常の世の中を甘く見ていた罰といえよう。
打ちひしがれた筆者だが、考えに考えた末、ついに妙手を発見。「札幌まで行っちゃえ!」。早速千歳空港で検索すると、関空行きの早割はまだまだ空いている様子。今度は躊躇することなく予約し、ついに初の航空券自力ゲットに成功した。行きは大阪発青森行きの「日本海3号」に決定。まさに「悲しみ本線日本海」といった風情の列車だ。そしていつもながら「その間は未定」で、宿も取らなければ計画も練らないという行き当たりばったりの旅行計画が完成した。
出発当日。行き先表示板には朝から「本日1秒たりとも残業できませぬ。」と書いて周囲の協力を促す。実際、大阪発20:17の日本海3号に乗るには、最寄り駅を18:03に出なければならず、ノンフレックスの部署で働く従業員にはかなり手厳しい。京都から乗ればもう少し余裕があるのだが、そこはやはり「始発駅から乗りたいっ」というちょっとしたワガママによって大阪なのである。
辛くも最寄り駅の電車に跳び込み、日本海3号出発10分前に大阪入り。既に停まっていた日本海3号に乗り込むと、しばらくしてすぐに発車した。日本海3号は、思ったよりもヘボかった。本当に「素泊まり」という感じだ。同じ料金でトワイライトエクスプレスなどに乗れることを思うとちょっぴり不公平感を感じるが、これも経験だと自分に言い聞かせる筆者である。車内は思いの他混んでいて、隣には学生を連れた先生らしきオッサンが乗ってきた。オッサンはビールを飲んでいたが、発車ギリギリに跳び込んだ筆者は飲食できるものをひとつも持っておらず、羨ましい限りだ。ヘボい列車なので自動販売機もない。オッサンは他の乗客と話していたが、就寝時刻が過ぎても(っていうか、筆者が眠くなってからも)ずっとダベっていたのでちょっと興ざめし、結局そのオッサンとは一言も口を聞かぬままおやすみモードに入った(どうやらこのオッサンは卓球部の顧問で、秋田まで試合をしに行くらしい。ご苦労なこった。負けろコノヤロー)。これまでに寝台特急には何回か乗ってきたので随分慣れたかと思っていたが、「すごい地震に怯える夢」をかなり長いこと見続け、その後はまんじりとも出来ぬまま夜明けを迎えるのであった。

秋田県、ゲット!

そういえば今回の必須科目は「秋田・青森」である。この青森行きの日本海3号で「秋田」をゲットするには、最低でも秋田に足を付けねばならないのだから、「停車中に駅のホームに降り立つ」というセコ技を使わなければならない。当初、秋田駅で下車して田沢湖とか角館とか見て回ることも考えたが、どれもこれといったトキメキ感がなく、結局秋田はスルーすることになってしまったのだ。出発前にたけちんが「秋田に行ったらたぶん私を思い出しますよ?」と怪しげな笑みを浮かべていたが、特に興味も湧かないのでやっぱり秋田はスルーである(どうせタ○ヤミソの支店でもあるのだろう)。というわけで、夢の中で秋田を通り過ぎてしまっては一大事なので、山形県に入ったぐらいから外を眺めて秋田県を逃がさないよう見張ることにした。
秋田県にもいろいろと駅があるが、5分以上停車するのは秋田駅だけである。他の駅で足を付いてもよいのだが、うっかり扉が閉まったりすると困っちゃうので、やはり狙いは秋田駅だ。
そしてしばらく時間が過ぎ、ついに秋田駅に到着。早速秋田駅に降り立ち、これで46都道府県目をゲットである。こないだ吟部長が「足を付いただけではダメっす。何かをしなければならないっす。」といらんことを言っていた。たいがいにして欲しいものである。秋田駅の6分間でできることは少ない。筆者は「秋田の空気を思いきり吸い込んで深呼吸をする」という大事業を見事成し遂げ、新ルールによっても秋田ゲットとあいなった(冷静に考えると別に吟ルールに合わせる必要はないような気もするが、まあよい)。列車に戻ってからはずっと車窓の景色を眺めていたが、どんどん淋しい風景になってきたところで終点青森に到着した。

イマイチながら、全国制覇達成!

昨日の昼から何も口にしていない筆者はとりあえず「市場団地」の食堂を目指した。この市場の一番奥にある「市場食堂」という小さな店で、ウニ・イクラ・ホタテの「三色丼」を食べる。ホタテと言えばいつぞやの大晦日にエ○マ~邸で貝柱を食べ過ぎ、除夜の鐘に合わせてトイレに駆け込んだ忌まわしい記憶を未だ拭い去れないが、やはり青森といえば「ホタテりょうりや」であるため、やむをえない。
青森では十和田湖や奥入瀬渓流に行ってみたかったのだが、冬季はバスが運行されていないようで、残念ながら行くことが出来ないようだった。その他、恐山や竜飛岬なども無理ということで、あまり行くところがない。浅虫温泉も日帰り入浴はあまり無いみたいだし、奥薬研温泉もちょっと遠い。結局、雑誌に載っていた「大寿司」という寿司屋でも目指すことにした。
青森駅から3駅ぐらいの小柳駅を降りてかなり迷いながらも道のおばちゃんに聞いてやっとたどり着いた。店に客はおらず、カウンターのド真ん中独占だ。筆者は特上寿司2,000円の品を食べたが、まあまあであった(やっぱり「穴子」とか「イワシ」とかいった庶民的なネタが口に合うような気がするなあ。単品でたのんだ「サーモン」は絶品だった)。店の主人はあまり面白くない人間で、「この時季に来たって何も見るところないよ」とか「そんな荷物ロッカーに預けて来ればよかったのに」といやに否定的な見解をおっしゃり、少々気分が悪い。折角こんな遠くまで来たのに、ひどく煮え切らない気持ちのまま店を出、スゴスゴと青森に戻った。
電話で5,000円ぐらいの安いホテルをゲットし、チェックインの後すぐに駅に戻って津軽鉄道でも乗りに行ぐべ(考え方も一応みちのく風)と思ったが、ホテルまでの道のりをまたしても迷ってしまい、結局日が暮れてしまったのでそのままホテルで中華料理を食べて寝た。

貴重!海底駅探検!

もう土曜日がやってきた。この日は早起きして昨日の市場食堂で「ウニ・イクラ丼」を注文。この市場はさすがに市場だけあって朝6時頃からやっており、使える。食べている最中に、一見しただけで普通じゃないと直感できるオッサンが入ってきた。これがまたえらいかんしゃく持ちで、店のおばちゃんの態度が何か気に入らなかったらしく、筆者の目の前で喧嘩が始まってしまった。オッサンは「何で返事せんのじゃー!殺すぞオマエ!」などとかなり怒鳴っていたが、最後に「ホッケ追加じゃー」と言った時にはコケそうになった。そんなこともあって青森にあまり良い印象を持たないままそそくさと列車に乗り込み、単なる全国制覇のためだけに訪れたようなみちのく紀行は終わりを告げた。
冴えないみちのくだったが、ここからは面白そうなイベントが目白押しだ。まずは「青函トンネルの吉岡海底駅見学」である。青函トンネルに海底駅が2つあることはご存知の方もいるだろうが、見学した人は滅多にいまい。見学する以外に用事はないだろうから、まあ当然といえば当然だ。
乗り込んだ列車は「海峡5号」。このうち先頭の1両目が海底駅見学者専用の車両なのだが、扉を開けてみてビックリ。筆者しかいないのである。海底を1人で見学は、説明者がいるとは言えかなり心細い。でも、より詳しい説明を受けるにはその方のが都合が良い。などと一喜一憂していると、発車寸前に変な団体が乗り込んで来た。後で聞いた話によると、中国政府の何かの集団らしく、日本人が1人と、日本語の出来る中国人が1人、あとは全員普通の中国人(知らんけど)らしい。そんな人達が海底を見学してどうするのか知らぬが、既に列車は海底へ向けてスタートしていた。
青函トンネルはいつ何時通ってもワクワクする。ただの暗い空間なのに、いろいろな表情があって面白いのだ。
しばらく行くと、吉岡海底駅に到着。筆者は、海底駅は光も差し込まない大変寒い場所だと思って防寒に余念なく準備して行ったのだが、ところがどっこいトンネルの中は年がら年中20℃前後で、大変快適なのだそうだ。もちろん暖房を付けているわけでもないらしい。年中同じ温度なので、レールの収縮もない。よって、トンネル内の53.85kmは全て1本のレールで出来ており、「世界一快適な線路」ということでギネスブックにも載っているそうである。実際、トンネル内を走る「はつかり」という特急列車は新幹線以外では日本一速いスピードで走るらしい。レールに継ぎ目がないからである。
単なる海底駅だが、説明を聞いているとかなり面白い。列車の通るトンネル以外にも2本の別のトンネルが掘られてあるとか、トンネル内の蛍光灯は15,000本だとか、吉岡海底駅は世界で最も低い位置にある駅だとか、世界で2番目なのが隣の竜飛海底駅であるとか、ホームの長さ500mも世界一だとか、実は新幹線対応がされているだとか、いろいろ教えてくれた。「でも新幹線が通るのは30年後ぐらいだべな。てへ。」と舌を出す説明者だが、まだ全然計画もされていないのに新幹線対応されているとはかなりの先見だ。我が社も今の内に1万年対応をしといた方がよいのでは?などと思ったりしてしまう。
避難用のトンネルを歩っていろいろ回り、最後に新幹線修理用の広いロビーに出た。「まだ新幹線は走ってないもんで、お客さん用にいろいろ置いてあります」というこの部屋は、ドラえもんグッズであふれていた。たぶん「のび太の地底探検なんとか」という映画かなにかの舞台になったのだろう(そういえば来る時に乗った「海峡」という快速列車にもドラえもん関係の絵がぎっしり描かれていたような)。この部屋には小さな水槽に魚が泳いでいたりするが、どうみても子供だましであり、苦労が伺える。こういう不思議な空間が好きな人なら何もなくても飽きないだろうし、好きでない人なら5分で飽きるだろう。筆者にとっては見学の2時間はあっという間だった。中国人ズは何かを得ることができたのだろうか。

函館名物チンチン電車に乗りまくり!

列車に乗り込んでトンネルを抜けると、そこは北海道であった。昔「北島三郎のために作られた駅でーす」と説明された知内駅などを通過し、1時間ぐらいで函館に到着した。
もう昼過ぎだったので、とりあえず宿をゲット。この宿がラッキーなことに広い部屋しか空いていなかったらしく、それでいて一人の料金で泊めてくれるというものだから即決である。ベッドが3つもあるゴージャスな部屋で料金は約5,000円だ。今後何人かで函館に行くならこの宿をお勧めしたい。
さて、早速ラーメン屋へ向かう。よく考えたらみちのくではラーメンを食べていないのだ。まったくもって何しに行ったかわからない秋田青森である(秋田は元々深呼吸しかしていないが)。函館名物チンチン電車で「1日1,000円乗り放題券」を購入し、むやみに乗りまくる。
まずは五稜郭タワー目の前の「あじさい」という店に入った。函館名物塩ラーメンと、チャーハンである。ラーメンもまずまずだが、チャーハンは塩ラーメンのスープと一緒に食べると塩味が利いてかなり旨い。その後「トラピスチヌ修道院」に行く予定が、降りた駅への道を間違えて迷ってしまい、断念。珍しく迷うことの多い今回の旅行である。
この日は異常に寒く、ついに雪まで降り出した。あまりの寒さに「温泉入ろう!」と思いつき、チンチン電車を終点から終点まで乗って「谷地頭(やちがしら)温泉」というところにたどり着いた。ここは鉄のサビたような色の温泉で、なかなか効きそうである(何に効くんだろ)。雪の中入る露天風呂はまさに絶品。雪見で一杯といきたいところだ。
さて、そろそろホテルに戻ろうと温泉を出たらあら不思議、えらい吹雪になっているではありませんか。洗い髪も芯まで冷えつつチンチン電車でホテルの前まで行き(函館のチンチン電車は5分毎ぐらいで来るので本当に使える)そのまま寝るつもりだったが、「そういえばGWに行ったバーのおねえさんまだ働いているかなあ」と思い、急遽予定を変更して函館駅前に向かった。駅前の「ビロングス」というビール園の端の「ADDICT」というバーに入ると、懐かしのおねえさんが立っていた。涙が出そうである。彼女はどうやらこの大雪で転んだらしく、両ヒザにバンソーコが貼ってある。髪型は5月と全く変わっておらず、良い(短い)感じだ。筆者は地ビールを3種類全て飲み干し、昔食べて旨かった「カニミソバターのトースト」みたいなやつを食べ、満足して店を後にした。ホテルに戻る頃には雪もかなり積もり、えらいことだった。部屋ではどのベッドに寝るか迷ったが、やはり一番大きいのに決めた。

この日も朝から食べまくり!

ついに最終日風がやってきた(風って?)。昔マリゾーが「函館朝市はめちゃくちゃ旨いぞう」と言っていたのを思い出した筆者は、この日も早起きして朝市の食堂へ向かった。ところがこの日の早朝も大変な大雪が続いており、しかもまだ早いためチンチン電車は走っておらず、「はう~」と言いながら吹雪の中を歩く。予想以上の寒さ&雪で、なぜか「おしん」という単語が脳裏に漂いつつ、30分ぐらいでやっと駅前に到着。まったく、北国の寒風に吹かれて自分を見つめ直すとか言って出かけた今回の旅だが、寒過ぎて自分を見つめ直す暇もありゃしない。
市場では「海峡」という店で「トラピストバター入り塩ラーメン」を食べたかったのだが、なぜかこの店が開いていなかったので近くの「いくら亭」という店でいくら丼を食べた。この時筆者は思った。「三色丼などの方がいろいろ楽しめて得な気がするけど、1つに絞って楽しんだ方が断然旨いしお得!」と。
いくら丼は最高だった。これならイクラ出してもよい(うまいね、どうも)。出来ることなら魚も食べたかったが、お腹が一杯となってしまったのでまた今度の機会にとっておこう。
当初は函館から帰るはずだったのだが飛行機のキップを取りそこなった都合上、電車で札幌へ向かう。途中有珠山のそばを通ったが、今は街も随分復興してきているようだ。
札幌に着いたら雪はやんでいたが、積もった量は函館より多かったようで、道が全て氷漬けになっていた。北海道の人はいくら雪が降っても転んだりしないのだろうと思っていたが、かなりの人が転ぶのを見かけた。「北海道の人も人間だなぁ~」という感想だ。
既にお腹が空いてきたので、早速すすきののラーメン横丁を目指す。なんだかんだいって今までラーメン横丁には行ったことがないのである。「新ラーメン横丁」の「新」が見にくい字で書いてあったりしてズルいなあと思いつつ、やはり元祖の旧ラーメン横丁の方へ行ってみた。今回入ったのはその中の「ひぐま」という店だ。期待していたよりもイマイチだった気がする。店のオヤジがテレビのコンサドーレ戦に夢中になっていたが、「ちゃんと作れい」と言いたくなる。とはいえ、やはり札幌ではコンサドーレJ1昇格にかなり沸いている様子なので、まあやむをえまい。

まさかの大事件発生!

その後、腹ごなしに大通り公園などを歩って回り、ちょっと早いが千歳空港へ向かうことにした。この「ちょっと早い」が後のえらいことにつながる重要ポイントである。札幌から千歳までは電車で30分。「そろそろ飛行場に行こっかね~」と思ったのが15時、飛行機が17:45なので、「ちょっと早いけどまあ仕方ないか~」などと思っていた。ところが、そんな折「全日空千歳行きバス乗り場」という看板が目に入った。どうやらバスだと65分、しかも料金も電車より200円安い。それでいていつもの電車の風景と違った景色を眺められるとあっては、筆者がこちらを選ぶのは自明の理である。筆者の脳裏には「でも、雪降ったけど大丈夫なのかしらん?」という思いもあり、全日空のおねえさんとバスの運ちゃんに尋ねたところ、「1時間半ほどかかりますが、17時台の飛行機なら大丈夫ですよ」ということなので、バスに決定。さすがに15:20のバスが17:45に間に合わないことはあるまい。
ところがどっこい。いざ発車してみると、思いの他ノロノロである。最初は「まあそれも見越して1時間半なので砂」と思っていたが、他の乗客が運転手に聞くと「17時を超えるかもしれません」と返ってきた。筆者はそれでも余裕があるから良いが、後ろの席のアベックなどは17:20発らしく、かなり焦りの色を見せ始めた。それにしても動かない。他の乗客には携帯電話で予約便の変更などをする人も出てきた。
ついに17時を過ぎる。運転手は「道を変えます。迂回して高速に乗ります。」と言っている。どうやら本当にタダゴトではないあんばいだ。しかも、「17:30に着けるかどうか…」と言っている。筆者の便もちょっと危うくなってきた。しばらくして、やっと高速に入る。インターの名前は「札幌南」だった。札幌駅からこれだけの時間走って、まだ「札幌南」なのである。気が遠くなりそうだ。
高速の千歳インターを降りたのは17:30過ぎだった。もはや祈るしかない。クラウチングスタートの態勢でダッシュ寸前の筆者を乗せたバスが空港に到着したのは、まさかまさかの17:44だったのである!右も左もわからぬ千歳空港内を疾走し、ANAカウンターのおねえさんに「45分の便乗れますかっ!?」と尋ねた。そのおねえさんも真剣に「140便いけますかっ!?」とオペレータに聞いてくれたが、奥の女性は指で×印を作って申し訳なさそうに首を振った。

札幌に戻ってラーメンヤケ食い!

筆者は事の次第をカウンターのおねえさんにカクカクシカジカと説明し、なんらかの補償を懇願した。その甲斐あって、おねえさんがバス会社から遅延証明書を取ってくれたため、チケット代金は全額返還された。残念ながら新たな飛行機代は自腹を切るしかないが、2万円が返ってくるか来ないかはえらい違いである。ANAのカウンターおねえさんに感謝したい。しかも、この後帰る飛行機はあるか、着いたら何時か、など、こと親切に教えてくれるばかりか、関空から果たして今日中に上野までたどり着けるかどうかまで調べてくれる。結局「三重じゃ無理ですね。明日の朝イチになさった方がよろしいかと存じます」という結論に至り、北海道もう一泊が決定してしまった。
「ええーい、こうなったらラーメンヤケ食いじゃーい!」ということで、普通なら千歳に泊まるであろうところをまた札幌まで電車で引き返す。「電車は速いなあ。200円をケチったばっかりに。トホホ。」という車中での感想だ。札幌に着いたらとりあえず宿探しだが、ラッキーにも駅近くの安いホテルが取れた。「明日休みま~す」と会社の人に一応電話を入れ、札幌での思わぬ一夜がスタートした。
今回の旅ではラーメン杯数がまだ2杯だったため、思いきりラることに決定。まずは狸小路の「山岡家」に入る。ここのラーメンは旨い!麺の太さがちょうどいい。スープも旨い。ハシゴの予定だったのにスープを飲み干してしまった。次は、昔一度入ったことのある「火の鳥」。ここのラーメンは化学調味量などを一切使っておらず、一見少々寝ぼけた味だが、味わうにつれて良さがわかってくるという一品だ。どちらかといえばハシゴの一軒目にもってきたい。
ところで、札幌では偶然にもこの週末から「ホワイトイルミネーション」というクリスマス用の飾りが大通り公園でやっているようで、「一人で行ってもなー」と思いつつ、行ってみた。今までで一番多い38万個の電球を使ったイルミネーションは恋人達を魅了し、ついでに筆者をも魅了していた。ちょうど雪が降ったこともあって美しさは倍増、しかも樹々に積もった雪をライトアップさせて幻想的なイメージを作り出している場所もあり、かなり面白い。バックにテレビ塔もそびえ立って、すばらしい景観であった。飛行機に乗り遅れたことによる産物であって複雑な心境ではあるが、まあぶっちゃけた話、ラッキーである。
次の日はさすがに寝坊できないということもあって夜もオチオチ眠れず、始発で千歳に向かって飛行機に乗った。あとは乗り物が伊賀上野までいざなってくれる。飛行機搭乗も慣れたものである。会社にたどり着いたのは15時。係長は「しばらくおとなしくしておれい」と自粛ムードを促したが、来月にハワイが控えていることを係長は忘れているのだった。
なにはともあれ全国制覇を達成した。今までは広く旅することが目的となっていたが、今後はもっと深くその土地に触れるよう旅をしたいと思う。というわけで、早く正月休みの予定を立てなくっちゃ!
おわり。