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アルペンルート



アルペンルート行きてぇ!

GWといえば、昨年までは「窯のある工場」にいたため10連休などというスーパー長期連休だったわけだが、今年は江戸に進出したことにより、暦どおり3連休というこぢんまりしたウィークとなってしまった。しかも、最終日の5/5にはモー娘。保田圭卒業ライブが控えており、それを除くと2日間しか無いのである(それは自分のせいか?)。というわけで、今年は「どこにも行かず、テレビで野球でも観てビール飲んで家での~んびり過ごしますか~」という計画を立てていたのだが、GWの2週間ぐらい前になって、西横浜駅の壁に貼ってあったポスターを見て「アルペンルート行きてぇ!」となってしまった。そのポスターにはバスが雪の壁の間を走っている光景が描かれており、この「雪の大谷」と呼ばれる風景は4月末から5月にかけてしか見られないということもあり、「これは!」となったのである(ポスターや広告は効果絶大で砂~)。
いつものように、早速時刻表やインターネットで計画を練る。立山黒部アルペンルートはその名のとおり、富山県側の立山と長野県側の黒部を結ぶ道で、マイカーでの乗り入れは出来ないが、そのかわり公共のバス・ケーブルカー・ロープウェーなどが整備されているらしい。当初は富山県側からのアクセスを考えたが、富山行きの夜行バスが既に満席だったこともあり、長野県側から入ることに決定。運良く、長野県側入口の信濃大町駅を通る夜行列車「ムーンライト信州81号」もゲット出来、準備は整った。

ムーンライトで早速出発!

当日。仕事を終え、一旦家に帰って準備してから新宿駅に向かった。ムーンライト信州81号は新宿発白馬行なのだ。駅のホームには既にムーンライトが鎮座していた。昔の特急列車という感じだが、単なる快速列車なので特急料金は無く、運賃プラス座席指定(全席指定)510円というお値打ちな列車だ。
さすがにGWということで車内は満席、デッキには指定席を取れなかったものと思われる人々もゴロゴロしている。ムーンライトは寝台列車ではなく単なる普通の列車なので、よっぽどの図太い人間でないとなかなか眠れない。筆者もそのごたぶんにもれず、まんじりとも出来ない長~い夜を過ごす。仕事中の眠さがうらめしくて仕方無い。
列車は中央本線から大糸線に入り、5時をまわったところで定刻どおり信濃大町駅に到着。同じ目的の輩が多いらしく、こんな早朝だというのに大勢の客がこの駅で下車していた。それにしても、寒い。筆者はTシャツにトレーナーという「ちょっと寒さに弱い都会人風いでたち」であったため、内陸部ではかなりキツいことが判明。これから山の上2,300mぐらいまで登るというのに、この後どうなってしまうのだろう。不安だ。駅の外には扇沢行のバスが待っていた。こんな時刻なのに、一部のアルペンルーターのためにご苦労である。アルペンルート内ではどうやら乗り物の接続がまあまあ良いようで、乗り込んだらすぐに発車した。今頃になって眠くなってきた。少しうとうとしている間に、アルペンルートの出発点ともいえる扇沢駅に到着した。
なにやらえらい長蛇の列が出来ている。旨いラーメン屋でもあるのだろうか?と思ったら、アルペンルートの当日券売場だった。ツアー客や事前に予約をしてあったおりこうさん以外は全てこの駅で当日券を買うため、まさにスペースマウンテン入口のような盛況ぶりである。黒部ダム行きのトロリーバスは6時半始発だが、筆者は6時25分にギリギリ順番が回ってきたため、第1陣に乗ることが出来た。
トロリーバスはガソリンやディーゼルではなく、電気で走る低公害バスである。よって、正確に言えば「バス」という名前ながら、電車の仲間。上にはちゃんとパンタグラフや架線もある。レールの無い電車といった感じであろう。そんな電気仕掛けの乗り物が不思議なほど急勾配を駆け抜けて行く。トロそうな名前の割にはなかなかたくましい。いくつかのトンネルを抜け、黒部ダムに到着した。
駅からは道が二手に分かれており、「自信のある人は展望台経由でダムへ、自信の無い人は直接ダムへ」ということだった。筆者は迷わず自信のある人ルートを選択、200段ほどもある階段を皆の先頭に立って突き進んだ(へろへろっす)。展望台からはダムはもちろん、遠くの槍ヶ岳なども一望でき、ナイス眺め。売店のラジカセではお約束(?)の中島みゆきが流れており、旅愁が漂ってこれまた良い感じである。
人だかりの方へ行ってみると、地下水が湧き出ているようで、早速味見。さっき階段を上ってきたせいもあり、かなり美味であった。
逆側から長い階段を降り、ダム底とダム湖の間にある道を歩って行く。黒部ダムは深さが日本一ということで、高い場所の平気な筆者は良いが、苦手な人は下を覗いただけで足のすくむ思いだろう。それにしても、昔友人に「ダムにはダムダム人がいる」と教わったのだが、それは一体どこにいるのだろうか。湖の水は凍っている部分もあり、下界との気候の違いを感じる。
道を渡り切ったところにケーブルカー乗り場があった。ここではケーブルカーと次のロープウェーの整理券を配っていたが、それほど待たずにケーブルカーに乗車出来た。ケーブルカーは全てトンネル内だったので景色は見られないが、鉄風味の筆者は「真ん中ですれ違う時のレールはどうなってんだろー」などと、人とは違った変な部分に興味があったりして、人よりほんの少し得である(ほんと?)。ほどなくして、終点の黒部平に到着。

そびえ立つ雪の大谷!

黒部平はもう雪まるけ。ロープウェーで少し待ち時間があるようなので、建物の外に出て山々を見たり、もうだいぶ下の方へ行ってしまった黒部湖などを見たりして、のんびり過ごす。それにしてもこの日は雲ひとつ無い晴天。雨男の筆者もヤキが回ったものである。
中ではいろいろな土産物などを売っていたが、少々腹も減ったので、何か食べることにした。「立山そば」と書かれたソバ屋の前に行ってみると、筆者の目を引いた商品が全て「天ぷらそば:準備中」「鱒の寿司:売り切れ」となっており、欠品中のようなので他の店へ。おやきの店で「きのこおやき」が売っていたので、それを1つ買って食べた。おやきは野沢菜が基本だが、このきのこおやきもなかなかイケた。
やっとロープウェーの順番が回ってきたので早速乗り込む。このロープウェーは日本で唯一の「途中に柱の無いロープウェー」だそうで、確かにブラーンとなっているだけなので、景色的には面白い。今は雪しか見えないが、夏あたりには下の平原が良い感じだろう。ロープウェーの終点は「大観望」だ。
大観望にもいくつかの展望台があり、遠くの山々の眺めが最高。個人的には雪景色よりも緑の山の景色が好きなので、今度違う季節に訪れたいものである。売店で「幻の酒、大観望」というのを売っており、試飲させてくれるようなので一口いただいたが、なかなかの美味だった。どうやら世界でここでしか買えない酒だそうで(そういう文句に弱いのよね~)、ついつい購入。
大観望からはまたトロリーバスが出ており、狭いトンネル内をトバす。到着地は室堂ステーション。日本一高い場所にある電車駅である(トロリーバスは前述のように電車の仲間なので、そういうことになりますわな~)。
室堂では、筆者と一緒のルートで来た者・室堂に宿泊した者・富山県側からやって来た者が混ざり合う場所のようで、まるでカタクチイワシのように活気に満ち溢れていた。
室堂では外に出て、ちょっと歩ってみた。ビミョ~な起伏のある雪道ゆえ、無防備な子供が転んでゴロゴロしていたりしたが、大人の筆者は転ぶことなく10分程度で「みくりが池温泉」に到着した。この温泉は日本で一番高所にある温泉らしく(実際、アルペンルート内には無数の日本一があるようだ)、是非入浴したいと思ったのだが、うっかりタオルを忘れてしまい、「タオル300円」と書かれた札を見て悩んだ挙げ句「今度来るからいいや」と、断念。そのまままた室堂へと来た道を戻った。
逆サイドに出ると、憧れだった「雪の大谷」がすぐそこにあった。「おぉ~!」。かなり感動である。人々が壁の上や下を歩っているのが見えたので、筆者も行ってみた。近くで見ると、本当に高い。なんせバスの頭より高いのだから、当たり前である。聞くところによると、最高で17mもあるそうな。大変な豪雪地帯であり、道を作るために除雪する方々の苦労も伺えようというものだ。壁の上に上ると、バスが下を通っており、非常に良い気分。しかしさすがに高いところが得意とはいえ、滑って転んで下に落ちる可能性も高い(柵などは一切無し)ため、注意が必要である。
室堂からは美人平行きのバスが出ている。途中で降ろしてくれるバスも出ているため非常に悩ましいが、まあトレッキングはまた今度の機会にということで、そのまま美人平へ向かって下山することにした。下りのバスは、まさに爆睡。バスの運ちゃんが見所でゆっくり運転してくれたりマイクで教えてくれたりするのだが、それも子守唄にしかならないのであった。いつのまにやら美人平に到着した。
美人平はさびれた土産物屋という雰囲気。下りのケーブルカーがまた整理券で待ち状態だったので仕方無く見て回ったが、特に買うものは無かった。唯一牛乳が美味しそうだったので一杯いただき、ケーブルカーで下山する。7分程で立山駅まで降り、事実上、アルペンルートの旅はここで終焉となった。行程は乗り継ぎの便が非常に良く、信濃大町を5時過ぎに出て、立山駅着が昼前。本来ならば途中で寄り道したり、場合によっては室堂などで宿泊したりするのも良いだろうが、今回は初めてなのでこれぐらいにしておこう。信濃大町では寒さのあまりどうなることかと危惧したが、日中は汗ばむぐらいのぽかぽか陽気で、山の上でも全く平気だった。今回は運が良かったが、次回からは一応ちょっとした防寒具ぐらいは必要であろうと反省も欠かさない筆者である。

地鉄で富山市内へ!

立山駅は富山地方電鉄の終点の駅で、そのまま富山市まで行くことが出来る便利な列車だ。発車までしばらく時間があったので、駅構内を散策。ついに鱒の寿司を発見したので、一番小さいやつを注文。筆者は鱒の寿司が大好物であり、腹も減っていたため「幸せ~」であった。
電鉄富山駅行の列車では得意のかぶりつき。2両編成のワンマンカーで、情緒あふれるたたずまいである。もちろん単線で、立山連峰を望みながら、山間を時速40km/hぐらいでのこのこと進む。そういえば富山県は昔ガソリンスタンドで給油中にちょこっと足を付けただけの「一応行ったことのある県にカウントしている県」だった。これでやっとお天道様のもとで「行ったことあり」と顔を挙げて言える。2時間ほどでようやく終点の電鉄富山駅に到着した。
富山の街はとっても暑かった。聞くと、どうやら27度ぐらいあるそうな。さっきまで山の上にいただけに、容易に対応できない(歳?)。
さて、富山といえば、ブラックラーメンのメッカ。駅近くの「大喜」という店に突入だ。テレビでもたまに登場する有名店なので行列を覚悟していたが、店の前には誰もいないばかりか、店の中にもほとんど誰もいない。やっぱり東京と富山では人の数が違うようだ。メニューはラーメンのみで、大か小か選ぶぐらいである。筆者は一応大を注文(何が「一応」なのかよくわからんが)。出てきたラーメンはスープが本当に真っ黒。八百善のそれとどっちが黒いだろ~といったところ。まずはメンマを食べてみた。辛い!!塩辛いのだ。辛い辛いとは聞いていたが、これほどとは思わなかった。まるで塩加減を間違えたチャーハン(筆者作)のような味だ。元々塩辛いのに、よく見ると表面に黒コショーみたいなものまでかかっている。壁を見ると「食べる前によくかき混ぜてから食べるとまろやかになります」と書いてあった。おっしゃるとおりかき混ぜてから再チャレンジしたが、ここまで辛いものがすぐまろやかになろうはずもなく、前途多難の様相を呈してきた。麺・スープ・チャーシューはそこまで塩辛くはなく、メンマさえクリアすれば、多少の慣れも手伝って少しはマシになる。チャーシューは細切りのものがドバドバ入っていて、ちょっと嬉しい。さすがの筆者もスープを飲むことは出来ず、終了。この塩辛さが病み付きになった人は通うであろうし、そうでない人は二度と敷居をまたがないであろう。なんにしても2、3回は行ってみるべきであろうが、筆者は出来ればあまり行きたくないクチである。誰か興味のある方はお試しいただきたいところだ。

蜃気楼確率、70%!

この日は本当に良い天気。気温も高い。そこで筆者は急に思い付いた。「もしかして蜃気楼が見えるのでは!!」。JR富山駅まで戻り、早速蜃気楼で有名な魚津を目指す。車窓からはさっきまでいた立山がそびえ立っており、なんだか不思議な気分になる。30分程で魚津駅に到着。駅の構内には「蜃気楼確率」というボードが掲げられてあり、この日はなんと70%!!大変な高確率である。「ジャンケンに勝つかあいこ」より高いのだ。
15分ほど早足で歩って行くと、日本海が見えて来た。見ると、たくさんの人が座ってボーッと海を眺めている。どうやらここは「しんきろうロード」とかいう蜃気楼を見るためのスポットのようであり、筆者も人と人の間の空いているところに腰を降ろすことにした。
遠くに見えるは能登半島らしく、なにやら電力会社の煙突のようなものが見える。近くにいたおっちゃんに「あれはもしかして蜃気楼?」と聞いてみると、「あれは電力会社の煙突や。」と返って来た。
蜃気楼は、立山連峰からの冷たい雪融け水が海に流れ込み、その温度差で海面上の空気に歪みが生じて起こるらしい(詳しくは自分で調べい!)。そのメカニズムは未だに全て解明されておらず、それ故出現する日の予想も難しいとのこと。この日は気温も高く、絶好の蜃気楼日和らしいのだが、今のところ出ていないようだ。どうやら昨日は新聞やニュースでも大々的に取り上げられるほど良いものが見られたそうで、一日違いで見られないとあっては大変悔しいため、是非とも出て欲しいところだが、2時間ほど粘ったものの、残念ながら出現せず。遠くの船がちょこっと縦に膨張しているのは確認出来たが、それぐらいでは蜃気楼とは言えないようだ。
さっきの近くのおっちゃんは実はもう何十年もここで写真を撮り続けているような地元の大ベテランで、「今日は出ると思ったんだけど、ちょっと風が足りないねぇ」とおっしゃっていた。仕方が無いのでそのおっちゃんが過去に撮影した写真などを拝見し、無念の退散となった。蜃気楼は一生に一度見てみたいと思っており、この日が最大のチャンスだった。今後このような大チャンスが訪れるかどうかわからないが、諦めたわけではないのでまたチャレンジである。ちなみに見頃はちょうど今頃だが、冬でも見られるそうである。

気を取り直し、富山市街を散策!

失意のズンドコな中、また富山に戻る。今回も珍しく宿を抑えてあったので、そのホテルに向かって歩く。駅から神通川方面に徒歩5分ぐらいで、この日の宿泊所である「ホテルコーホー」に到着。部屋は狭いが、内装や備品類はキレイで、3,990円という安さを考えれば超お値打ちといえる。いっぱい歩って少し疲れたので一休みし、夕方になってから出掛けることにした(まだ遊ぶ気?)。
夕方。雑誌で良さそうな寿司屋を発見したので行ってみたいのだが、昼間の辛いラーメンを大盛りにしたのがたたり、あまり腹が減っていない。そこで、富山市内をちょこっと散歩してみることにした。そういえば、旅に出る前に陰の部長様が「私の母校である西田地方(にしでんぢがた)小学校に、暇で死にそうだったら行ってみてくんろ~」とおっしゃっていた。別に暇で死にそうではないが、ちょっくら行ってみることにしよう。
富山駅からすずかけ通りという大通りを南下して行くとさっきの大喜があり、今回は店には入らずに(当たり前)真っ直ぐ進む。前に一度地図を見たっきりだったので場所がよくわからないが、道路標識に「西田地方まっすぐ」と書かれているのを見ると、方角はそんなに間違ってはいないようだ。あるところまで行ったところで「大通り沿いではなくって、確か一本入ったセコ道沿いだったような?」という曖昧な記憶をもとに、適当に一本入った道をさらにまっすぐ進む。しばらく歩くと、いきなり右手に西田地方小学校が出現。「は?もう見付かったの?」という感想だ。我ながら、動物的カンには恐れ入る(犬。)。正門の「考える人」や校庭などを写真に撮り、特に用事も無いのでさっさと退散した(後で写真を陰の部長様に見せたら、??年前の記憶が蘇ったらしく、感無量の面持ちであった)。
大通りに戻って目的の寿司屋を目指していたら、右手に「総曲輪(そうがわ)商店街」というキラキラが見えた。「あ~、あれも陰の部長様がおっしゃっていたねぇ~」と思い、総曲輪小学校横を通ってそちらの方に行ってみると、まあまあ立派な商店街が軒を連ねていた。
商店街を通り抜けて左に曲がってちょっと行ったところに「富山城址公園」があった。たぶん再建されたものだとは思うが一応天守閣風味も残っており、都会の中のオアシスといった感じで良い公園だ。公園の中を反対側まで歩くと最初のすずかけ通りに戻ったので、ようやく目的の寿司屋を目指すことにした。
通り沿いの「夢八」はまあまあ賑わっていたが、カウンターが空いていたので入店に成功。最近出来た店なのか、なかなか小奇麗で良い感じだ。ツケ場に立っているのはガンコそうな大将一人なので忙しそうだが、その合間に「何にいたしましょう?」と聞いてくれるので、ひとつひとつ注文。なかでも今が旬の「白えび」や名物の「ほたるいか」などは非常に美味。また、寿司に合う酒を大将が独自に作った「夢八」という酒も白ワインのような感じで飲みやすく、大変美味である。隣に座ったカップルも「白えび!」「ほたる!」と注文しており、筆者と同じ雑誌を見てやって来た観光客に違いなく、面白い。しかも「後でラーメン屋行くんです」と言っており、おそらく大喜だと思った筆者は昼の出来事を教えてやろうとも思ったが、一応自分の舌で確かめていただきたいとも思い、秘密にした(洗礼を浴びるがよい)。
最初はぶっきらぼうに思えた大将も口を開くとそうでもなく、筆者に「実は酒はほとんど飲めないんですよ~」などといろいろな話をしてくれた。会計を済ませて店を出ると、店の女の子2人がわざわざ見送りに出て来て「今日はあたふたしてすみませんでした」と頭を下げている。「いやいや、大将も厳しい人で大変でしょうけど、間違い無いですよ。がんばってくださいね」とねぎらいの言葉をかけ、酒に酔って人に酔って自分にも酔ってホテルへ帰る筆者なのでありました。

宇奈月温泉とトロッコ列車!

やっと2日目だ。えらく充実した1日目だったが、負けずにいきたいところである。
この日も旅恒例の6時起き作戦。仕度を整え、昨日の地鉄(富山地方電鉄の略らしい)に乗り込んだ。黒部峡谷鉄道のトロッコ列車に乗るため、宇奈月まで行くのである!!トロッコ列車は人気があるため、乗車券を取っていない筆者は乗れるかどうかわからないが、「まあダメだったら温泉でも入って帰ってくればいいや~」と気楽に考え、そうと決まれば何も考えずに驀進だ。
急行列車なのにほとんど各駅に泊まり、うとうとしている間に宇奈月温泉着。ここはもう「温泉以外何もやってません」というような温泉街で、活気はあまり感じないが、非常に良い雰囲気である。
黒部峡谷鉄道の宇奈月駅までは200mあまり。早速当日券売場に行くと、1時間後のトロッコ列車が取れた。駅でソバを食べたりちょっと散歩したりして改札に戻ると、人でうじゃうじゃになっていた。乗車整理券は「○号車」と書いてあるだけで、指定席ではない。よって、なるべく良い席を取ろうという人達で我も我もとごった返しているのである。確かに、窓際の席と中側の席ではやはり窓際の席に座りたいと思うのが世の常であり、気持ちもわかる。
筆者は「遅く来ちゃったんだから、良い席じゃなくても仕方無いなー」と思っていたが、いつの間にか気付くと良い場所に並んでいた(謎)。改札が済むと、走ることなく窓際席をゲット出来た。トロッコ列車はギューギューで横に4人乗れるぐらいの小さな車両の集まりで、おもちゃみたいな感覚。普通車・特別車・デラックス車などいろいろな種類の車両を連結しているが、筆者はもちろん普通車だ(基本に忠実な男)。窓が無いため、風景がそのまま生で眼に飛び込んで来る感じであり、臨場感あふれる仕組みである。
ついに出発。速度はママチャリと同じぐらいで、本当にゆっくりゆっくり進む。川に赤い橋が架かっていたり、ダムから水が放流されていたり、もちろん山がきれいだったり、景色は最高。トンネル内は半袖ではちょっと寒いが、それ以外はものすごく快適だ。川向こうの旅館の人が手を振ってくれたり、すれ違いの列車の人が「ワー」と言ったりして、なかなか面白い。それにしても、良い席を取ったはずが、ちょっと失敗した。川や山の良い風景は全て逆サイドなのだった(参考までに、行きは右手がよろしい)。
「くぅ~」と思っていたら、折り返し地点の「猫又駅」に到着。夏は終点の欅平(けやきだいら)駅まで行くのだが、この時季は残念ながら猫又駅での折り返しなのだ。駅員のカワイ子ちゃんが我々に向かってこう言った。「列車は折り返しとなりますので、皆さん後ろを向いて座り直してください。また、できれば左右も交代してください!」。素晴らしい。ベストポジションにいた逆サイのおばちゃんも「替わろっかねぇ~」と快諾してくださり、帰りは筆者がベストポジションを獲得した。同じ行程でも、やはり良い席だと景色も違う。行き帰りちょうど100分だが、あっという間に宇奈月まで戻って来た感じだった。
折角宇奈月まで来たのだから、温泉に入りたい。そういったわけで、ちょっとリッチにホテルオークラの立ち寄り温泉に入ることにした。ここは入浴料1,000円とちょっと高いが、プッチな露天風呂はあるし、内風呂も広くて湯加減も最高。宇奈月温泉は上流からパイプでお湯を引いているそうだが、無味無臭無色透明。肌はスベスベになる感じがあり、天然温泉の証であろう。
それにしても、困ったことが発生した。持ち金がなんと、6千円になってしまったのである。宇奈月から戻るだけでも5千円ぐらいかかるかもしれぬ。早いところ銀行を探して調達しないと、皆の衆へのお土産がゼロになってしまう(殺されます)。宇奈月に銀行は無かった(コンビニも無いぞ)ので、仕方無く都会を目指す。次の目的地は金沢である。
地鉄で来た路線を戻り、魚津でJRに乗り換え。魚津では車窓から海を見るが、昨日以上に霞んで見えるため、蜃気楼は今日も期待薄だろう。富山で乗り換え、金沢までは1時間程度。百万石の城下町に初上陸を果たした。

金沢の街を歩きまくり!

金沢といえば兼六園だが、お金が無いためバスで行きたいところをグッとこらえ、歩って兼六園を目指す。兼六園までは2、3kmなので、まあがんばれば歩けない距離ではない。途中やっと銀行を発見した(北国銀行や北陸銀行ばかりなので、目当ての銀行を見つけるのは大変)ので一安心。金沢随一の繁華街である香林坊・片町を通り、どんどん進む。途中、犀川という川を渡った。どうやら室生犀星ゆかりの川らしいが、詳細は不明(自分で調べてください)。なんぼなんでも遠い気がして振り向いて標識を見ると、どうやら行き過ぎであることが判明。香林坊まで戻って「KORINBO109」の交差点を曲がってすぐだった。
兼六園はさすが日本三名園に数えられるだけあって、見事な景観。それほど広くはないが、ちょっとした山があったり、日本最古の噴水があったり、兼六園のシンボル「ことじ燈篭」があったり、見所が凝縮されている感じだ。
そういえば、受付嬢のうのっち様から「昔台風で折れてしまった松はどうなったのかしら。無理しないでいいから、調べて来て」と言われていた。うのっち様の「無理しないでいいから」は「ど~してもやってくれなきゃいや」の意であるので、絶対命令だ。園の中に、昔の台風で折れてしまった「姫小松」という松があった。結局根元を残して伐採されたようで、そのかわり隣に「二代目姫小松」が植わっていた。以上の事実をうのっち様にお伝えしたところ「そうか~、二代目に引き継がれたか~」とのこと。その松に何か想い出でもあるのだろうか(同じ「姫」だし)。ついでに隣の金沢城公園にも立ち寄り、リッチにバスで(200円)駅へと戻った。
夕飯はこの日も寿司に決定。雑誌に載っている回転寿司屋が旨そうだったので、駅からかなり遠いが、歩って行ってみた。西口から30分は歩っただろうか、国道8号線沿いにその店はあった。これがまたえらい人ごみで、30組ぐらい待っている様子(みんな暇人か!)。折角歩って来たが、スゴスゴと引き返す。よく見ると、隣に「なんでんかんでん」という環七沿いのラーメン有名店があるではないか。「ラーメン食べた後でもちょっとぐらい寿司食えるだろ」ということで、早速入店。東京の店には入ったことが無いのでなんとも言えないが、味はまあまあ。店員の教育がもう少ししっかりすれば、1ランク上がるだろう。
来る時はまだ明るかったが、戻りの道はもう真っ暗。駅に着いたらもうヘトヘトだったので、駅構内の寿司屋で我慢することにした。「六兵衛寿司」とかいう名前だったろうか。大衆的な店で、居酒屋風。カウンターに座ったが落ち着いて食べることも出来ず、早々に店を出た。金沢も富山もそうだったが、街は歩道や緑などが整備されていて大変歩きやすく、良い印象を受けた。また近々来たいものである。
横浜行きのバスが来た。金沢からは横浜直行便があるので大変便利。増発便が出ても車内は満席。金沢から横浜は北陸道→名神→東名と渡り歩く。GWのためかなり混雑しているようで、「モー娘。間に合うかしらん?」と少し不安になったが、最後かなり盛り返して30分遅れで横浜到着となった。
3連休の内の2日間という変則的な日程となった今回の旅だが、思いのほか内容の濃い良い旅になった。ズルっこだった富山県も改めて制覇できた。今度は是非夏頃にアルペンルートを通ってみたいし、チャンスがあれば蜃気楼も見たい。金沢は兼六園だけだったが、他にも見所がありそうだ。能登半島にも行ってみたいところである。
参考までにモー娘。だが、保田圭が卒業。加護の「無理だと思うけど、卒業しないで欲しい~」というコメントに、会場中が涙にくれるのだった。そして、旅のせいかモ。のせいか、張り切り過ぎた筆者は寝坊で翌週2度も会社を遅刻するのであった。もう無理は出来ませんな。
おわり。